ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

ドイツで極右政党が

2024-09-04 11:46:19 | 日記
人体が異物の侵入を防ごうとするように、人の集合からなる共同体、つまり社会も異物の侵入を防ごうとする。ーー先日のブログで、私はこう書いた。こう書いたとき、私はもう一つの記事を思い浮かべていた。

ドイツの州議会選挙で移民や難民に対して排他的な主張を掲げ、極右と批判される右派政党『ドイツのための選択肢』が、第1党となりました。ナチスへの反省から寛容さや多様性を重視してきたドイツで、極右とされる政党が主要な選挙で第1党になるのは初めてで、地元メディアは『将来世代への警告だ』などと大きく伝えています。
(NHK NEWS WEB 9月2日配信)

ドイツに限らず、ヨーロッパでは今、(移民を敵視する)極右政党の増殖が著しい。この極右化現象は、私が先に述べたことと関係しているのではないか。(移民という)社会の異物を排除しようとする動きが、ユーロ圏の国々で(移民に矛先を向ける)極右政党の増殖となって現れたのだ。

移民がヨーロッパ社会の成員から敵視されるはっきりした理由がある。移民が多数流入したために、この社会の(昔からの、真っ当な)成員は職を奪われ、食うに困ることになる。あるいは、「そのうち職を奪われるのではないか」と怯えて暮らさなければならなくなる。
だから移民の流入を制限するなど、積極的な移民対策を公言する政党(つまり極右政党)が歓迎されることになるのである。

極右政党は(ヒトラーが率いた)かのナチスと同類視され、リベラル派から危険視されるが、この見方は半分は当たっている。半分は間違っている。
ナチスはユダヤ人を「寄生害獣」と見て、その根絶を訴えたが、今ヨーロッパを席巻する極右政党は、このようなレイシズムとはさしあたり関係がない。

だが、ナチスがユダヤ人を排除しようとした理由が「異物でありながら、この民族は社会の要職についている」ということであったように、今の極右政党も「異物でありながら、移民は我々の社会のパイを奪っている」という理由で、移民の排除を標榜している。

極右政党に危険があるとすれば、この過激政党の党首が大衆の反移民感情をイデオロギー化し、過激な「反移民」のイデオロギーをバネにして、社会の支配を企てるときである。異物を排除しようとする社会の免疫反応は、その活動が過度に活発化すれば、過敏なアレルギー反応となって社会を脆弱なものにしてしまいかねない。

日本の政府はドイツとは違い、移民や難民の受け入れに積極的ではないから、日本ではドイツのような極右化現象は起こらないが、これを対岸の火事とは思わないほうがよい。「異物」は移民や難民だけとは限らないからである。


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