自民党の幹事長といえば、政権与党のど真ん中に位置する役職であり、政権の政策立案に深くコミットする、そういう役柄である。
岸田政権は防衛力強化の軍拡路線をとるとともに、少子化対策にも力をそそいだ。その結果、予算規模を大幅にふくらませ、その不足分を増税によって賄おうとしたことは、まだ記憶に新しい。
岸田首相が「増税メガネ」と揶揄されるゆえんだが、この増税政策は岸田首相一人が責任を負うべきものではない。
政策立案のプロセスにはいろんなケースがあるが、政権のナンバー2である幹事長にもその責任の一端があることは言うまでもない。
ところがである。その幹事長である茂木氏が、今回の自民党総裁選への出馬を表明し、「私が総裁になったら(つまり、首相になったら)、『増税ゼロ』政策を実行する」と宣言したのである。
「(茂木氏は)岸田政権のもとで決まった▽防衛力の抜本的強化のための増税と、▽少子化対策の強化のための支援金の保険料の追加負担、それぞれ1兆円は停止し、代わりとなる財源として経済成長により見込まれる税収増などをあげています。」
(NHK NEWS WEB 9月6日配信)
これに対しては、「どの口が言っているのだ」、「幹事長のおまえが言うな!」と党内からブーイングの声があがったのは当然である。
岸田政権の官房長官であり、同じく自民党総裁選への出馬を表明している林芳正氏が、この茂木氏の言動について「党内からいろいろな反発が出ており、一度決めたことを動かしていいのかという議論がある」と指摘した。その上で「国民に見える形で財源を調達する形になっており、これがあいまいになると日本国内だけでなく他国に『こんな財源で本当にやれるかどうかわからない』というメッセージを出してしまうという視点も持たないといけない」と批判した。
さて、問題はここからである。舌の根の乾かぬうちに前言を撤回する、この茂木氏の態度は朝令暮改もはなはだしい。こんな不実な人物には首相になってもらいたくないと私は思うが、今はそのことは問題にしないことにしよう。
それとは別に、何よりも問題なのは、茂木氏のこの「増税ゼロ」の主張が現実的な政策としてどこまで実行可能かである。
ライバルの石破元幹事長は「スローガンだけ言っても、どうしようもない」と批判するが、「増税ゼロ」は、ホントにただの(口先だけの)スローガンにすぎないのかどうか。
茂木氏は次のように述べている。
「生産性が1%上がれば税収が1.4兆円増えるのは間違いない。日本経済の成長により税収は上がると考えるのか、それとも経済が低迷し税収は上がらないと考えるのか。考え方の違いだ」
(NHK NEWS WEB 9月6日配信)
茂木氏の考え方は、「増税をやめ、軍拡路線や少子化対策もやめる」というものではない。その両方をやろうというのだから、当然、問題は「増税ゼロ」と「防衛力強化(軍拡路線)、少子化対策の維持」が両立可能かどうか、ということになる。
この点について、朝日新聞は次のように書いている。
「(茂木氏が)かわりの財源に挙げたのが、経済成長による税収増と、外為特会の剰余金など税外収入の活用だ。たしかに23年度の国の税収は72兆円を超え、過去最高を更新した。だが歳出の6割ほどしかカバーできておらず、国債(借金)頼みが続く。
外為特会にもそれほど頼れない。為替介入に備えて保有する外貨資産の運用で、毎年度2兆~3兆円の剰余金が発生しているが、すでに22、23年度分から約3・9兆円が防衛費に回っている。そもそも防衛費のような恒久的な施策にあてることの是非も問われている。
とても財源の見通しがあるとはいえない状況だ」
(朝日新聞9月6日)
なかなかしっかりした正論だが、こんなことは朝日が書く前に、財務官僚上がりで、今回の総裁選に最初の名乗りをあげたコバホーク(小林鷹之氏)に言ってほしかった。
さて、これに茂木氏はどう反論するのか。「朝生」的には、絶叫まじりの激しい反論を期待したいが、このとぼけたヌーボー面には無理だろうなあ・・・。
岸田政権は防衛力強化の軍拡路線をとるとともに、少子化対策にも力をそそいだ。その結果、予算規模を大幅にふくらませ、その不足分を増税によって賄おうとしたことは、まだ記憶に新しい。
岸田首相が「増税メガネ」と揶揄されるゆえんだが、この増税政策は岸田首相一人が責任を負うべきものではない。
政策立案のプロセスにはいろんなケースがあるが、政権のナンバー2である幹事長にもその責任の一端があることは言うまでもない。
ところがである。その幹事長である茂木氏が、今回の自民党総裁選への出馬を表明し、「私が総裁になったら(つまり、首相になったら)、『増税ゼロ』政策を実行する」と宣言したのである。
「(茂木氏は)岸田政権のもとで決まった▽防衛力の抜本的強化のための増税と、▽少子化対策の強化のための支援金の保険料の追加負担、それぞれ1兆円は停止し、代わりとなる財源として経済成長により見込まれる税収増などをあげています。」
(NHK NEWS WEB 9月6日配信)
これに対しては、「どの口が言っているのだ」、「幹事長のおまえが言うな!」と党内からブーイングの声があがったのは当然である。
岸田政権の官房長官であり、同じく自民党総裁選への出馬を表明している林芳正氏が、この茂木氏の言動について「党内からいろいろな反発が出ており、一度決めたことを動かしていいのかという議論がある」と指摘した。その上で「国民に見える形で財源を調達する形になっており、これがあいまいになると日本国内だけでなく他国に『こんな財源で本当にやれるかどうかわからない』というメッセージを出してしまうという視点も持たないといけない」と批判した。
さて、問題はここからである。舌の根の乾かぬうちに前言を撤回する、この茂木氏の態度は朝令暮改もはなはだしい。こんな不実な人物には首相になってもらいたくないと私は思うが、今はそのことは問題にしないことにしよう。
それとは別に、何よりも問題なのは、茂木氏のこの「増税ゼロ」の主張が現実的な政策としてどこまで実行可能かである。
ライバルの石破元幹事長は「スローガンだけ言っても、どうしようもない」と批判するが、「増税ゼロ」は、ホントにただの(口先だけの)スローガンにすぎないのかどうか。
茂木氏は次のように述べている。
「生産性が1%上がれば税収が1.4兆円増えるのは間違いない。日本経済の成長により税収は上がると考えるのか、それとも経済が低迷し税収は上がらないと考えるのか。考え方の違いだ」
(NHK NEWS WEB 9月6日配信)
茂木氏の考え方は、「増税をやめ、軍拡路線や少子化対策もやめる」というものではない。その両方をやろうというのだから、当然、問題は「増税ゼロ」と「防衛力強化(軍拡路線)、少子化対策の維持」が両立可能かどうか、ということになる。
この点について、朝日新聞は次のように書いている。
「(茂木氏が)かわりの財源に挙げたのが、経済成長による税収増と、外為特会の剰余金など税外収入の活用だ。たしかに23年度の国の税収は72兆円を超え、過去最高を更新した。だが歳出の6割ほどしかカバーできておらず、国債(借金)頼みが続く。
外為特会にもそれほど頼れない。為替介入に備えて保有する外貨資産の運用で、毎年度2兆~3兆円の剰余金が発生しているが、すでに22、23年度分から約3・9兆円が防衛費に回っている。そもそも防衛費のような恒久的な施策にあてることの是非も問われている。
とても財源の見通しがあるとはいえない状況だ」
(朝日新聞9月6日)
なかなかしっかりした正論だが、こんなことは朝日が書く前に、財務官僚上がりで、今回の総裁選に最初の名乗りをあげたコバホーク(小林鷹之氏)に言ってほしかった。
さて、これに茂木氏はどう反論するのか。「朝生」的には、絶叫まじりの激しい反論を期待したいが、このとぼけたヌーボー面には無理だろうなあ・・・。
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