石破発言は「(金融所得課税の強化を)実行したい」というものだった。この発言はどこがマズいのか。
この石破発言に対して、小泉進次郎元環境相は「貯蓄から投資への流れに水を差すような議論をするタイミングではない」と批判した。林芳正官房長官も「貯蓄から投資へという流れとどう調和を取っていくのかも考えなければならない」と批判している。
「貯蓄から投資へ」ーーどこかで聞いた言葉だが、これは岸田政権が掲げたスローガンにほかならない。朝日新聞は次のように書いている。
「岸田政権が目を付けたのは、家計の金融資産だった。半分以上を占める現預金が投資に向かえば企業の成長の支えとなり、果実を家計に還元すればさらなる投資や消費につながる――。そんなもくろみから、『資産所得倍増』『資産運用立国実現』などの政策を打ち出し、投資を促した。
その象徴が1月に始まった新NISA(少額投資非課税制度)だ。投資によって得られる利益が非課税となる限度額を、従来の600万円(つみたてNISAは800万円)から1800万円に拡大。対象期間も無期限にした。」
(朝日新聞9月4日)
岸田政権は「貯蓄から投資へ」の気運を醸成することによって、一般国民の(株式への)投資を促し、企業の成長をもたらそうとした。株価が上がればそれは企業の成長の支えになる。企業が成長し、社員の給与を上げれば、一般家庭の消費は拡大し、それがさらに企業の成長につながる、というわけである。
そんなもくろみから、岸田政権は「新NISA(少額投資非課税制度)」を創設したが、小泉元環境相や林官房長官の眼には、石破元幹事長の「(金融所得課税の強化を)実行したい」発言が、岸田政権のこの「新NISA(少額投資非課税制度)」の発想を真っ向から否定するものに映ったのである。
行き違いの原因ははっきりしている。石破元幹事長が「(金融所得課税の強化を)実行したい」と言ったとき、石破氏の念頭にあったのは(超富裕層=カネ持ちが得た)金融所得(株式売買益)であるが、岸田政権が「新NISA(少額投資非課税制度)」を創設したとき、その利用者として想定していたのは、(必ずしもカネ持ちではなく)中間所得層の一般国民だった。
岸田政権の「資産所得倍増」政策を支持する自民党員にとっては、石破発言は、「新NISA」という(一般国民に対する)優遇枠をも否定するものに映ったのである。
そういう行き違いに気づいたため、石破元幹事長はあわてて「金融所得全てに課税強化するという考え方には反対だ」と強調し、課税強化は一部の富裕層に限定すべきだとして、発言を修正したのである。
来たるべき総裁選に向けて、トップを走る石破元幹事長を蹴落そうとねらっているライバルたちは、この石破元幹事長のうっかりドジの真意をきちんと理解しようとするだろうか。自分の発言をむしろ悪い方向へ曲解しようとするライバルたちの意地悪に対して、石破元幹事長は自分のうっかりドジの失点を今後、どうやって挽回するのだろうか。もう後の祭りなのか。そうでなければいいが・・・。
この石破発言に対して、小泉進次郎元環境相は「貯蓄から投資への流れに水を差すような議論をするタイミングではない」と批判した。林芳正官房長官も「貯蓄から投資へという流れとどう調和を取っていくのかも考えなければならない」と批判している。
「貯蓄から投資へ」ーーどこかで聞いた言葉だが、これは岸田政権が掲げたスローガンにほかならない。朝日新聞は次のように書いている。
「岸田政権が目を付けたのは、家計の金融資産だった。半分以上を占める現預金が投資に向かえば企業の成長の支えとなり、果実を家計に還元すればさらなる投資や消費につながる――。そんなもくろみから、『資産所得倍増』『資産運用立国実現』などの政策を打ち出し、投資を促した。
その象徴が1月に始まった新NISA(少額投資非課税制度)だ。投資によって得られる利益が非課税となる限度額を、従来の600万円(つみたてNISAは800万円)から1800万円に拡大。対象期間も無期限にした。」
(朝日新聞9月4日)
岸田政権は「貯蓄から投資へ」の気運を醸成することによって、一般国民の(株式への)投資を促し、企業の成長をもたらそうとした。株価が上がればそれは企業の成長の支えになる。企業が成長し、社員の給与を上げれば、一般家庭の消費は拡大し、それがさらに企業の成長につながる、というわけである。
そんなもくろみから、岸田政権は「新NISA(少額投資非課税制度)」を創設したが、小泉元環境相や林官房長官の眼には、石破元幹事長の「(金融所得課税の強化を)実行したい」発言が、岸田政権のこの「新NISA(少額投資非課税制度)」の発想を真っ向から否定するものに映ったのである。
行き違いの原因ははっきりしている。石破元幹事長が「(金融所得課税の強化を)実行したい」と言ったとき、石破氏の念頭にあったのは(超富裕層=カネ持ちが得た)金融所得(株式売買益)であるが、岸田政権が「新NISA(少額投資非課税制度)」を創設したとき、その利用者として想定していたのは、(必ずしもカネ持ちではなく)中間所得層の一般国民だった。
岸田政権の「資産所得倍増」政策を支持する自民党員にとっては、石破発言は、「新NISA」という(一般国民に対する)優遇枠をも否定するものに映ったのである。
そういう行き違いに気づいたため、石破元幹事長はあわてて「金融所得全てに課税強化するという考え方には反対だ」と強調し、課税強化は一部の富裕層に限定すべきだとして、発言を修正したのである。
来たるべき総裁選に向けて、トップを走る石破元幹事長を蹴落そうとねらっているライバルたちは、この石破元幹事長のうっかりドジの真意をきちんと理解しようとするだろうか。自分の発言をむしろ悪い方向へ曲解しようとするライバルたちの意地悪に対して、石破元幹事長は自分のうっかりドジの失点を今後、どうやって挽回するのだろうか。もう後の祭りなのか。そうでなければいいが・・・。