我々は今、二つの仕方でプーチンのロシアと戦っている。一つは、正義を求め、不正義を糾弾する「正義の味方」の観点から。もう一つは、暮らしを守る「市民の味方」の観点から。
身近で解りやすい後者、「市民の味方」の観点から考えていこう。ここでは、戦いは「市民の暮らしVS.正義・不正義」という形をとって戦われる。正義を求め、不正義を糾弾する正義論の地平そのものが、我々市民の暮らしの敵となって現れるのだ。次の文章は、その構造をよく表している。
ロシア情勢などを受けて液化天然ガス(LNG)の調達環境が厳しさを増しているため、政府は需給逼迫(ひっぱく)時には家庭や企業に節ガスを求めるなど需要対策を実施することを検討している。
( Bloomberg 7月11日配信)
どういうことか。半年あまり前のことを思い出してほしい。ウクライナ侵攻というプーチン・ロシアの悪逆非道な不正義に対して、我々西側諸国はこれを激しく糾弾する観点から、ロシアに対して経済制裁を実施し、ロシアからの石油や液化天然ガス(LNG)の禁輸措置を行った。
これによって西側諸国では、石油や液化天然ガスが(供給不足から)おしなべて値上がりし、日本でも、(Bloomberg の記事にあるような)電力供給の逼迫という困った事態が生じたのである。もっと我々の身近なところでは、生活物資の値上がりがあり、この話題が連日、テレビのニュース番組を賑わしている。これもロシアへの経済制裁と無関係なことではない。
経済制裁という戦いを仕掛けたことにより、日本も含め、西側諸国は確実に返り血を浴びている。では、肝心のロシアはどうか。ロシアへの経済制裁はどの程度、効果があったのか。
それについては「意見が別れている」と日経ビジネスは書き(10月19日配信)、次のようにパラフレーズしている。
一方で、ロシアに対する経済制裁は大きな効果を上げていないとの声も少なくない。ロシア国債は事実上の「デフォルト(債務不履行)」と認定されたものの、一方で高騰したエネルギー価格により、輸出収益が拡大し、ルーブル高が進行しているためだ。
(日経ビジネス10月19日配信《ロシア経済の現状は? 欧米による経済制裁は効果があったのか》)
ロシアの不正義を糾弾する声そのものが、我々の暮らしを圧迫する。その一方で、この声によって仕掛けられたロシアへの経済制裁は、ロシアにはそれほどダメージを与えていない。なんとも皮肉な話ではないか。
ロシアと西側諸国との戦いは、長期におよぶにつれ、我慢くらべの様相を呈してきた。どこまで我慢したらいいのか。事の成り行きは我々の態度に関わっている。
身近で解りやすい後者、「市民の味方」の観点から考えていこう。ここでは、戦いは「市民の暮らしVS.正義・不正義」という形をとって戦われる。正義を求め、不正義を糾弾する正義論の地平そのものが、我々市民の暮らしの敵となって現れるのだ。次の文章は、その構造をよく表している。
ロシア情勢などを受けて液化天然ガス(LNG)の調達環境が厳しさを増しているため、政府は需給逼迫(ひっぱく)時には家庭や企業に節ガスを求めるなど需要対策を実施することを検討している。
( Bloomberg 7月11日配信)
どういうことか。半年あまり前のことを思い出してほしい。ウクライナ侵攻というプーチン・ロシアの悪逆非道な不正義に対して、我々西側諸国はこれを激しく糾弾する観点から、ロシアに対して経済制裁を実施し、ロシアからの石油や液化天然ガス(LNG)の禁輸措置を行った。
これによって西側諸国では、石油や液化天然ガスが(供給不足から)おしなべて値上がりし、日本でも、(Bloomberg の記事にあるような)電力供給の逼迫という困った事態が生じたのである。もっと我々の身近なところでは、生活物資の値上がりがあり、この話題が連日、テレビのニュース番組を賑わしている。これもロシアへの経済制裁と無関係なことではない。
経済制裁という戦いを仕掛けたことにより、日本も含め、西側諸国は確実に返り血を浴びている。では、肝心のロシアはどうか。ロシアへの経済制裁はどの程度、効果があったのか。
それについては「意見が別れている」と日経ビジネスは書き(10月19日配信)、次のようにパラフレーズしている。
一方で、ロシアに対する経済制裁は大きな効果を上げていないとの声も少なくない。ロシア国債は事実上の「デフォルト(債務不履行)」と認定されたものの、一方で高騰したエネルギー価格により、輸出収益が拡大し、ルーブル高が進行しているためだ。
(日経ビジネス10月19日配信《ロシア経済の現状は? 欧米による経済制裁は効果があったのか》)
ロシアの不正義を糾弾する声そのものが、我々の暮らしを圧迫する。その一方で、この声によって仕掛けられたロシアへの経済制裁は、ロシアにはそれほどダメージを与えていない。なんとも皮肉な話ではないか。
ロシアと西側諸国との戦いは、長期におよぶにつれ、我慢くらべの様相を呈してきた。どこまで我慢したらいいのか。事の成り行きは我々の態度に関わっている。