ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

民主主義か専制主義か

2021-03-27 14:02:04 | 日記
米バイデン大統領は就任後初の記者会見を開き、米中対立を「民主主義と専制主義の戦い」として特徴づけた。こうしたレッテル貼りに「うん、尤もだ」と頷く人は多いだろう。ーーだが、ちょっと待てよ、と天邪鬼爺は一言口を挟みたくなる。

私が気にかかるのは、レッテルを貼ったバイデン大統領も、このレッテルを見て溜飲を下げる大多数のアメリカ国民も、「民主主義は善だ。専制主義は悪だ」と決めてかかっていることである。私が問題にしたいのは、「民主主義は善だ」とする決めつけである。

民主主義は善だ。この決めつけは西側諸国では今や常識に近いが、それでは民主主義は無条件に「善だ」と言えるほど、問題のない完璧な政治システムだと言えるのだろうか。

私の見るところ、民主主義には大きな問題がある。1つは、古代ギリシアの哲学者アリストテレスが指摘したように、それが衆愚政治( ochlocracy )に陥りがちな傾向を具えていることである。民主主義( democracy )とは、文字通り、民衆( demos )が権力( cratia )を握るような政治システムだが、民衆は政治指導者の煽動に動かされやすく、また、世論の同調圧力に流されやすい。アメリカのトランプ前大統領が「偉大なアメリカを!」と唱え、アメリカ国民の利己心と愛国心を煽った結果、この大国が自国中心主義に走り、国際協調と平和主義の精神を破壊したことは、まだ記憶に新しい。それでも「民主主義は善だ。民主主義は素晴らしい」と言えるのだろうか。

民主主義にはもう1つ大きな欠点があるが、それについてはまた次回に述べることにしよう。
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