ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

QUADのワクチン・プロジェクトを嗤うな

2021-03-17 11:53:41 | 日記
QUAD(日米豪印4カ国の枠組み)が計画しているコロナワクチン・プロジェクトについて、私は認識を改め、前言を撤回しなければならない。
このプロジェクトは「中国のワクチン外交」に対抗し、途上国にワクチン供与を行うことで、アジア、アフリカの諸国を自陣に引き入れようとする企てである。このプロジェクトにカネを使うぐらいなら、「日本政府はまずは自国のワクチン供給のためにそれを使うべきではないのか。まずは自国の窮状にこそ対処すべきではないのか」、ーー以前の本ブログで、私はそう書いた(3月11日《ワクチンをめぐる政府の不可解》)。

だが、こう書いたとき、私は「木を見て森を見ず」の状態、あるいは「木を見て根っこを見ず」の状態に陥っていたと告白しなければならない。「森」あるいは「根っこ」の部分とは、国家の安全保障という、このプロジェクト本来の狙いの部分である。ワクチンの供与はインドを始めとして、中国の脅威にビビり、中国包囲網の形成に二の足を踏んでいる国々を、自陣に引き入れるための方便に過ぎないのだ。そのためにカネを使うのは、「自由で開かれたインド太平洋戦略」を補強して、(「海警法」を盾に尖閣諸島を乗っ取ろうとする)中国の暴挙に対抗するためなのである。

(QUADの枠組みで推進する)ワクチン・プロジェクトが、日本の国土防衛に資するものであり、日本の国益を守ろうとする企てだという、その狙いの部分が、以前の私には見えていなかった。コロナ禍に対処する、という国内問題と、中国の膨張主義に対抗して国益を護る、という国家の安全保障問題と、その2つの問題に日本は今、迫られている。この2つは次元を異にする問題であり、そもそも優先順位の付けられない問題である。まずは妖怪コロナに対処し、その後で怪獣チャイナに対処を、などと悠長なことを言っていたら、日本はすぐにでもこの怪獣の餌食になってしまうだろう。怪獣チャイナへの対処も、喫緊の要事なのである。

怪獣チャイナへの目配りを疎かにしないあたり、スガ首相もなかなかやるな、この人、ただ者ではないぞ、と思ったら、さにあらず。QUADの枠組み構想といい、ワクチン・プロジェクトの構想といい、これを主導しているのは米バイデン政権なんだってね。この構想に乗り気なのは、相変わらずの対米追従路線ということか。やれやれ。
コメント
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