ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

米中対立と人権問題

2021-03-23 11:33:45 | 日記
「てめえ、ガンをつけたな」
「なにぃ、ガンをつけたのはてめえのほうじゃねえか」
これはDQN同士のケンカの通例だが、国と国との関係もこれとあまり変わらない。
ただし、「ガン(眼)をつける」という売り言葉は、国家同士の場合は「人権を踏みにじる」という言葉になる。

「あんたの国は人権を蹂躙している。これは許されないことだ。」
「いや、あんたの国こそ人権を踏みにじっている。あんたの国には、そんなことを言う資格はない。」

先日、米アラスカ州で開かれた米中高官級会談は、そんな非難の応酬で幕を開けたという。米側は、新疆ウイグル自治区や香港、台湾での中国政府の弾圧姿勢を問題にしたが、これに対して中国側は、「ブラック・ライヴズ・マター」問題に象徴される、黒人抑圧問題を取りあげて対抗したのである。

こんなふうに切り返されれば、米側はぐうの音も出ない。中国と渡り合う際の武器として長らく重宝がられてきた「人権を!」の決まり文句も、今では形なしである。今となっては、だれもアメリカが「人権尊重の国」だなどとは思っていない。人権問題で中国からいちゃもんをつけられるようになっては、アメリカも面目丸つぶれである。

「人権」の概念がタテマエ上の外交の舞台で武器としての役割を果たさなくなれば、そこには露骨な力の競り合いというホンネの巨岩が姿を現す。アラスカ会談の3日後、日本の海上自衛隊は米海軍と仏海軍が中東海域で合同軍事訓練をしたと発表した。日米仏は中国の軍事的覇権拡大に対抗して、「自由で開かれたインド太平洋」を実現する目的で一致しており、合同軍事訓練を通じて連携姿勢を示す狙いがあるとみられる。

でもなあ・・・。軍事的な衝突となれば、確実に人命は失われる。生存権という「人権」は間違いなく蹂躙される。こうした「恥の上塗り」行為を、米側と中国の首脳は一体どう考えているのだろうか。
コメント
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