おはようございます。
しかし、最近、都内をへろへろーっと歩いていたりすると、
「暑さ寒さも彼岸まで」って言葉が思い出されますね。
昨日なんか、ほんと、日差しの割には、日陰などは、気持ちいい風が吹いてきて、
随分、過ごしやすくなりました。
いやあ、季節は急速に秋に向かっていて・・・夏の終わりって事でしょうかねー。
さて、その時、僕はイケメン貴島くん(29)、事務所の御島社長(31)、辛辣姫ユキちゃん(28)と、事務所の近所の蕎麦屋さんで、
ランチを取っておりました。
「先日、僕、テレビで、湘南を散歩する企画の番組を見て・・・やっぱ湘南っておしゃれな街ですよね」
「感心しちゃいました・・・」
と、貴島くん。
「でしょ?でしょ?・・・湘南はなんか空気感から違う感じがするんだよねー」
と、僕。
「ゆるちょさんは、会社員時代、ずーっと湘南に住んでいた・・・だから、ゆるちょさんは将来、家を建てる時は、絶対、湘南に戻る!って決めてるんですよね?」
と、ユキちゃん。
「まあ、子供達を湘南で育ててみたいって気持ちがあるね」
「ちょっと行ったら、すぐに海だし、自然もたくさんあって、何より街がスポーツマンに優しい、いい街だからね・・・」
と、僕。
「風景も綺麗ですよね。湘南なら、何度もゆるちょさんに連れられて、自転車、走りに行ったから、よく覚えています」
と、ユキちゃん。
「でも、ゆるちょさんが湘南に住んでいて・・・いつの間にか、いろいろな要素に魅了されてサイクリストになった経緯ってすごくわかります」
「だって、湘南って、自転車で走っていても、楽しい街ですからね。あれ、他の場所だったら、ちょっと違ってたかも」
と、ユキちゃん。
「まあ、一度、134号線を海を見ながら、自転車で走ってみれば・・・それが素晴らしい体験だって、よくわかるよ・・・」
と、僕。
「確かに、あの道は自転車が最高ですよね。僕も彼女と去年、レンタサイクルで走って・・・実感した所です」
と、貴島くん。
「でも、今回のお散歩の場所は、江ノ島から、東側の七里ヶ浜とか、稲村ヶ崎の方じゃなくて・・・」
「江ノ電江ノ島駅から・・・茅ヶ崎のサザンビーチのCマークのモニュメントまででしたから・・・ちょうど逆側・西側でしたね」
と、貴島くん。
「なんでサザンビーチなのに、Cマークなんだろ?」
と、辛辣姫。
「茅ヶ崎の「ち」・・・Chiから取ったんだろうね」
と、僕。
「そっか・・・さすがゆるちょさん、ジモティー情報」
と、ユキちゃん。
「でも、江ノ電江ノ島駅から、サザンビーチまでって、けっこうあるよ。僕は、ちょっとこの時期、散歩は嫌だな」
「自転車なら、全然楽しめるけど・・・」
と、僕。
「そういうもんなの?」
と、御島さん。
「ええ。距離的には10キロ以上あると思うし・・・自転車なら、前から風が来ますから、過ごし易いんですけど」
「歩くのは、この炎天下の中、結構地獄ですよ・・・」
と、僕。
「番組でもそんな感じでした。皆、汗、超かいてたし・・・」
と、貴島くん。
「それって旅人は誰だったの?」
と、御島さん。
「つるの剛士さんと相川七瀬さんと、藤田ニコルちゃん・・・でしたね」
と、貴島くん。
「それって世代が・・・ニコルちゃんってポップティーンのモデルですよ。確か、17歳くらい・・・」
と、ユキちゃん。
「つるのさんと相川さんは、アラフォーって言ってました」
と、貴島くん。
「なんか親子ほどの違いですね」
と、ユキちゃんは笑う。
「でも、湘南って、印象的には、江ノ島があって、海があってまず、楽しそうだし、景色も綺麗で・・・で、おしゃれな店がたくさんあって・・・」
「なんか、街に、おしゃれな人が多い印象でしたね。あと、皆大らかって言うか・・・」
「茅ヶ崎では、パン一でバトミントンをやってる人達とか居て・・・上半身裸は普通って感じでしたね・・・」
「それってちょっと東京の感覚では、ないですよね・・・」
と、貴島くん。
「茅ヶ崎はそもそもサザンオールスターズの街だし、藤沢や茅ヶ崎は根底にサーファー文化があるからね・・・」
と、僕。
「湘南って、夏になると、普通にサーファーの人が街を歩いているんですか?」
と、ユキちゃん。
「うん。サーファーの人達は、夏になると、サーフィンのボードを自転車に・・・横にアタッチメントがついてて、そこにボードを乗せるんだけど」
「そのカタチで、上半身裸で、海に向かう人間が普通に多いしね・・・」
と、僕。
「そっか。街がそういう空気なんですね。なんか南の海岸の街的な・・・オアフな雰囲気?」
と、ユキちゃん。
「うん。夏の湘南は、そういう雰囲気だなあ。湘南は、ハワイ系の店も結構多いし・・・」
「フラの店なんて普通に街ナカにあるし、フラやっているオトナの女性って多いからね」
と、僕。
「なんだか、そういう雰囲気、あこがれちゃいますね。他には無い湘南の独特の雰囲気っていうか・・・」
と、ユキちゃん。
「なんだか、街に住んでいるだけで、楽しい時間が過ごせそうね」
「特に女性には・・・」
と、御島さん。
「ええ。そういう意味じゃあ、女性はいい笑顔をしていますよ」
「自分に自信のあるスポーツ好きなオトコ・・・多いですからね」
と、僕。
「そうね。それって、懐かしいな・・・」
と、御島さんは、意味深に言葉にした。
「ゆるちょさんが湘南を好きだって、理由は・・・具体的に言うと、どんなモノがあります?」
と、貴島くん。
「うん。まずは、やっぱそういうサーファー文化的な、開けっぴろげな雰囲気が好きって言うのがあるね」
「なんか、街に住んでいる人達も、スポーツやっている人間に圧倒的にやさしいって言うか、目線が最初から微笑ましいって感じかな」
と、僕。
「へー、そうなんですか?」
と、辛辣姫。
「うん。そうなんだ・・・あのね、湘南って、前に出て、一匹狼で頑張っている人間をすごく評価してくれるんだよね・・・」
と、僕。
「それは具体的には、どういう感じなんですか?」
と、貴島くん。
「まあ、サーファーとか、サイクリストとか、ウインドの人間達とか、ヨットやってる奴とか・・・とにかく、自然に向かってがんばっている人間達に」
「普通にリスペクトがある街なのが、湘南と言う所なんだ」
と、僕。
「それは男性も女性も変わらず、ですか?」
と、貴島くん。
「うん。例えばさ、湘南って、波があまり立たないんで有名なんだけど、シーズンに何回か、相模湾の南を行く、台風のうねりが入って」
「3,4メートルの波が来る事があるわけ。そういう時は、皆、稲村ヶ崎の辺りで、そういう波に挑戦していくサーファーを応援しながら」
「その様子を見て楽しむわけ。皆、温かい目で、ね・・・」
と、僕。
「ゆるちょさんは、その風景に偶然、出くわしたんですよね?」
と、ユキちゃん。
「そう。普通の週末だったんだけどさ。たまたまトレーニングで、稲村ヶ崎を西に向けて登って行ったら、そこに人だかりがしていてね」
「地元の女性達が、嬉しそうに海を見ていたわけ。だから、すっげー、楽しそうだったから、「どうしたんですか?」って聞いたら」
「30歳くらいのこんがり焼けた美しい大人の女性が、「いいうねりが入ったのよ。ほら、サーファーとしては、いい波が来てるじゃない。ショーの始まりよ」」
「っていい笑顔で言うんだよ・・・」
と、僕。
「ゆるちょさんの事だから・・・その美しい女性に食いついたんでしょう?」
と、辛辣姫。
「うん。100%そうだけどね。でも、すごく話しやすい雰囲気だったから、僕もその雰囲気に乗って」
「・・・そのお姉さん達と肩を並べて笑顔で、サーファー達が波に挑戦する様を、楽しんでたって事だね・・・」
と、僕。
「それって、天気のいい日だったんですか?」
と、貴島くん。
「うん。すごく良くてね・・・で、サーファー達が波に向かってテイクオフしていくんだけど、皆、カッコイイんだよ。皆いい身体しててさ。しかも、陽に焼けてて」
「髪の毛なんか、無頓着って感じで、長く伸ばしていて・・・しかも、皆精悍な感じ。そりゃあ、女性だったら、一発で気持ちを持って行かれちゃうよね」
「でも、そういう奴らが、手強い波に次々と立ち向かっていく姿は・・・男性の僕でも、ドキドキしちゃったからね」
「しかも、波が強くて、結構な猛者もやられていたみたいだから・・・真剣に見入っちゃったね・・・」
と、僕。
「そういうショーがあるんですか。僕、湘南のサーファーって、ある意味、陸サーファーみたいな物かと思っていました」
と、貴島くん。
「いや、あの緊迫感のある、波乗りの風景を見たら・・・彼らの真剣さにやられるし、結構、波に負けながらも、皆、次々とテイクオフしていくシーンは感動的ですら、あるよ」
と、僕。
「実は・・・わたしも、そのシーンにやられた事あるの。大学生の頃、友達に連れられて、たまたま、鵠沼のサーファーズ、ショップに遊びに行ってたら」
「「稲村ヶ崎沖に、波が来てる。ジョージクラスの波だ。ひょっとすると、デニス級まで行くかもしれない・・・」ってサーファー達が騒いで」
「いつの間にかスタッフ達に連れられて稲村ヶ崎まで、行って・・・サーファー達の本気の波乗りを見たの」
と、御島さん。
「わたし、本気で感動したわ。それまで、サーファーなんて、ただ女性にいい格好をしたい、チャラチャラしたオトコ達だと思っていたから・・・」
「でも、本気の彼らは違った。テイクオフしては、次々と失敗していくんだけど、それでも、なんの躊躇もなくテイクオフしていく・・・」
「彼らは、本気で、大自然と戦っていたわ。大自然を組み伏せようと、本気で戦っていたの。その真剣な表情を見たら、わたし、一度で恋に落ちてしまって・・・」
と、御島さん。
「へー。そんな事があったんですか?初耳です」
と、貴島くん。
「それは当たり前よ。それは、ただのひとりよがりだったから・・・その彼に告白する事も出来ず、瞬殺。だって、稲村ヶ崎で、目をハートマークにしてた、私の横には」
「その彼の波乗りを心配そうに見つめる素敵な大人の女性が立っていたから・・・」
と、御島さん。
「それが、御島さんが恋した男性の恋人さんだったんですか?」
と、辛辣姫。
「そうよ。それに、その女性、わたしが束になっても敵わないような、素敵なオトナの女性だったの」
「だから、自分で、失笑しただけだったわ」
と、嬉しそうに御島さん。
「御島さんも、湘南のサーファーの真剣な姿にやられた一人でしたか」
と、僕。
「ええ。でも、湘南って素敵な大人の女性が多いわね。わたし、その時、何人かの女性と出会ったけど、皆ハートが強くて、素敵な彼を本気で愛している」
「・・・守っている女性達ばかりだった・・・わたしは、お子ちゃまな自分が恥ずかしかった・・・もう遠い過去の記憶だけどね」
「・・・それがわたしの湘南の印象」
と、御島さん。
「皆、大自然と戦っている素敵なオトコ達が大好きなのよ。湘南の女性は皆そう。そして、ハートが強いから、初対面の男性や女性にもやさしく出来る」
「学生時代の一時期、わたしは、ああいうオトナの女性にあこがれたわ・・・ゆるちょくんもそういう女性のあり方にやられたんじゃない?」
と、御島さん。
「・・・でしょうね。何より、湘南の女性の目が暖かいし、すっごく優しいんですよね」
「「ふーん、ゆるちょくんって言うんだ。わたしは、サイクリストも好きよ。もし、よかったら、わたしの店にも顔を出して」なんて言われてさ」
と、僕。
「なんか、いつものゆるちょさんの話っぽくなってきましたね」
と、貴島くん。
「いや、この場合は、湘南の女性の強さや、やさしさって話だと思うよ。皆フレンドリーだし、笑顔が素敵だよ」
と、僕。
「で、どうなったんですか?」
と、ユキちゃん。
「そのオトナの女性と、すぐに仲良くなってさ。134号沿いで、ハワイグッズを売っているお店のママだったんだけど、何度か遊びに行ったりしてたよ」
「ま、もちろん、旦那さんのいる女性だったけど・・・」
と、僕。
「ゆるちょさんって、すぐ女性と仲良くなりますよね。ほんとに」
と、ユキちゃん。
「いや、まあ、その話はいいんだけどね」
と、僕。
「結局、湘南の人達って、そうやって、一人で前に出る事が大変な事を知っているからこそ、一人で前に出る人間にリスペクトを抱いているわけさ」
「そのママだって、一人でハワイグッズのお店をやってるわけだから、一人で前に出るって意味じゃあ、サーファーのお兄さんも、そのママも同じ土俵で戦ってるって」
「事なんだよね」
と、僕。
「だから、一人で前に出て戦っている人間に寛容と言うか・・・リスペクトがまず、あるし、お互いがお互いを支えあってるカタチになってるのね」
と、御島さん。
「なるほど・・・ハワイグッズのお店のママが、サーファーのお兄さん達を笑顔で応援するのも・・・サイクリストであるゆるちょさんをそれに巻き込むのも」
「それぞれ皆に、お互いへのリスペクトがあるからなんですね」
と、辛辣姫。
「そうなんだ。だから、素敵なお店も多いんだ。素敵なお店って、やっぱり、その人なりにアイデアを作って、開店しているお店だから、常にそのセンスが問われるし」
「湘南って、そういうセンスで戦う場所なんだよね・・・」
と、僕。
「だから、皆、一人で前に出て戦う・・・ある意味、ライバルでもあり、仲間なんだ。そういう意識、湘南って高いんだよね・・・」
と、僕。
「前にゆるちょさんと、サイクリストの格好で、湘南の海岸沿いのおしゃれなパスタ屋に入った時・・・マスターや、店員の女性に、すごく歓迎されましたよね」
「あれって、そういう事なんですね?」
と、ユキちゃん。
「うん。サイクリストも、ごつい車の中を、自分のボディラインさらして、自分のセンスさらして、走っているからね」
「そういう意味では、湘南ではどこでも歓迎されたよ、サイクリストとして」
と、僕。
「デパ地下のカレー屋さんの女性アルバイトにやたら、歓迎されたって、そう言えば、以前、言ってましたよね、ゆるちょさん」
と、貴島くん。
「いやあ、もう、遠い昔だから、時効だけどね。当時は、デパ地下にそのままの格好で現れるハートの強いサイクリストは、少なかったからね」
「自然、目立ったし、目立つ事の出来る人間こそ、湘南では、リスペクトの対象だったし・・・女性達から、割りと好待遇だったな。あの頃・・・」
と、僕。
「でも、わたしも女性としての立場から、言わせてもらうけど・・・ゆるちょくんのサイクリスト姿は、女性のハートを直撃だから・・・ちょっとルール違反な感じもあるわね」
と、御島さん。
「でも、ゆるちょさんは、そういう事もすべてわかっていて・・・よく飲み会であの姿になってくれますから・・・女性としては、そのサービス精神に」
「やられちゃう感じ・・・ほんと、ゆるちょさんってサービス精神旺盛で、ハートが強いですよね。でも、女性はそういうハートの強い男性を好みますから・・・」
と、ユキちゃん。
「ゆるちょさん・・・なんか、女性陣から、随分、好反応ですよ」
「もっともゆるちょさんは、そういう状況に引き込む為に・・・すべて戦略しているんだから、すごい人ですよ」
と、貴島くん。
「いやいや・・・僕も湘南に長くいたから、女性へのプレゼンって事をまず考えるようになっちゃったんだろうね」
と、僕。
「でも、それって、湘南のオトコ達は、当然って感じじゃない?むしろ、それより、大自然と戦うからこそ、そういうハートの強い男性が出来上がるって」
「わたしは、理解しているけどね」
と、御島さん。
「大切な事は、本気で、大自然と戦うって事よ。大自然を組み伏せようと真剣になって、すべてを賭けて戦うって事よ」
「そういう経験こそ、オトコを磨くわ。タカのような、強い目と何にも負けない、強いハートを持つオトコを作るのよ。それこそが、大事だわ」
と、御島さん。
「そういうオトコ達を愛しているから、湘南のオトナの女性は、かっこいいんでしょうね。なんだか、あこがれちゃう」
と、ユキちゃん。
「そういう意味では、湘南の人達は、皆、大切なモノを守りながら、強いハートで、がんばっている人達ばかりだよ」
「パスタ屋さんだって、デパ地下のカレー屋のお姉ちゃん達だって、ハワイグッズの店のママも、サーファーやウィンドの人達も、そして、サイクリスト達も」
「基本、一匹狼で、前に出て、戦っている人達ばかりだったもの。だから、そうやって前に出る事の大変さも、リスクも知り抜いているから」
「湘南のオトコ達、女性達は、自然、お互いをリスペクトし合っているんだ。だから、皆、そういう人間には、優しいし、素直に笑顔になれるんだよ」
と、僕。
「前に出ているって言っても、大自然を組み伏せようとする意識で戦っているって・・・ちょっとすごい事だし、同じ男性として、やっぱ、リスペクトしちゃいますよ」
「確かに、女性だったら、そういう姿見たら、イチコロでしょうね、実際」
と、貴島くん。
「人ってどういうカタチでも、戦っている姿が一番美しいし、魅力的だと思うわ。それは大自然を相手にって言うだけじゃなくて」
「普段の生活でも、そうじゃない?・・・そういう中で、前に出て戦える人間にこそ、魅力がある・・・わたしは、そう思うわ」
と、御島さん。
「前に出ている人間は、風当たりは強いからこそ、リスペクト対象になる。人の後ろに逃げ込んでいる人達は、一生相手にされない・・・この法則って」
「どこででも通用しますね。スポーツ全般、そうだし、店を構えた人間は、前に出た人間だし、やっぱり、前に出る一匹狼こそ、リスペクトの対象なんですね」
と、辛辣姫。
「結局、日本って、自分の進むべき道を探し当てて、その自分の仕事をどこまでも追求出来る人間こそ・・・そして、その道で価値を持つ事を貫いている人間こそ」
「価値を持つんだよ。前に出るからこそ、いろいろ風当たりも強い。でも、その風に毎秒磨かれる。だからこそ、ダイヤモンドのように輝き始めるんだ」
「ダイヤモンドだって、磨かれなければ、単なる輝け無い石だ。そこには大きな違いがあるんだ」
と、僕。
「リスペクトって、そういう前に出る行為で、自分を磨けた人間だからこそ、当然、起きる行為なんですよね」
「自分で、自分の道を見つけられたって事は・・・すごく価値のある事だと思うし・・・それは自分で時代を作っていく事にもなりますからね」
と、ユキちゃん。
「最近は、時代に流されて、他人の指図通り生きてて・・・何の魅力も感じない人間も増えてるものね・・・そういう人間達に比べたら」
「大自然と戦う、あのサーファーたちや、そのオトコ達を守る、強いハートのオンナ達・・・そういう人間達が多く住む、湘南って、街は・・・やっぱり魅力的な街だわ」
「その湘南の街に・・・ゆるちょくんが魅了されるのも、当たり前の話ね。あなたこそ、常に、一匹狼で戦う、素敵なオトコだもの」
と、御島さんは、嬉しそうに言葉にした。
「七里ヶ浜のちょっとした丘にいい店があってさ。夕方になると、江ノ島の向こう側に落ちる夕日を見られる場所がある」
「「彼女が出来たら、この御店に連れて来なさい。女性は絶対に、落ちるから」と、平日のランチにその店に連れて行かれた事があるんだ」
と、僕。
「そのハワイグッズのお店のお姉さんに?って事ですか?」
と、貴島くん。
「いや。そこは内緒・・・でも、素敵なお店が多い場所である事は確かだなあ・・・将来、僕は、絶対に湘南に復帰しよ」
と決意した僕は、皆より、ちょっとだけ早く、天ぷらそばを食べ終わった。
(おしまい)
しかし、最近、都内をへろへろーっと歩いていたりすると、
「暑さ寒さも彼岸まで」って言葉が思い出されますね。
昨日なんか、ほんと、日差しの割には、日陰などは、気持ちいい風が吹いてきて、
随分、過ごしやすくなりました。
いやあ、季節は急速に秋に向かっていて・・・夏の終わりって事でしょうかねー。
さて、その時、僕はイケメン貴島くん(29)、事務所の御島社長(31)、辛辣姫ユキちゃん(28)と、事務所の近所の蕎麦屋さんで、
ランチを取っておりました。
「先日、僕、テレビで、湘南を散歩する企画の番組を見て・・・やっぱ湘南っておしゃれな街ですよね」
「感心しちゃいました・・・」
と、貴島くん。
「でしょ?でしょ?・・・湘南はなんか空気感から違う感じがするんだよねー」
と、僕。
「ゆるちょさんは、会社員時代、ずーっと湘南に住んでいた・・・だから、ゆるちょさんは将来、家を建てる時は、絶対、湘南に戻る!って決めてるんですよね?」
と、ユキちゃん。
「まあ、子供達を湘南で育ててみたいって気持ちがあるね」
「ちょっと行ったら、すぐに海だし、自然もたくさんあって、何より街がスポーツマンに優しい、いい街だからね・・・」
と、僕。
「風景も綺麗ですよね。湘南なら、何度もゆるちょさんに連れられて、自転車、走りに行ったから、よく覚えています」
と、ユキちゃん。
「でも、ゆるちょさんが湘南に住んでいて・・・いつの間にか、いろいろな要素に魅了されてサイクリストになった経緯ってすごくわかります」
「だって、湘南って、自転車で走っていても、楽しい街ですからね。あれ、他の場所だったら、ちょっと違ってたかも」
と、ユキちゃん。
「まあ、一度、134号線を海を見ながら、自転車で走ってみれば・・・それが素晴らしい体験だって、よくわかるよ・・・」
と、僕。
「確かに、あの道は自転車が最高ですよね。僕も彼女と去年、レンタサイクルで走って・・・実感した所です」
と、貴島くん。
「でも、今回のお散歩の場所は、江ノ島から、東側の七里ヶ浜とか、稲村ヶ崎の方じゃなくて・・・」
「江ノ電江ノ島駅から・・・茅ヶ崎のサザンビーチのCマークのモニュメントまででしたから・・・ちょうど逆側・西側でしたね」
と、貴島くん。
「なんでサザンビーチなのに、Cマークなんだろ?」
と、辛辣姫。
「茅ヶ崎の「ち」・・・Chiから取ったんだろうね」
と、僕。
「そっか・・・さすがゆるちょさん、ジモティー情報」
と、ユキちゃん。
「でも、江ノ電江ノ島駅から、サザンビーチまでって、けっこうあるよ。僕は、ちょっとこの時期、散歩は嫌だな」
「自転車なら、全然楽しめるけど・・・」
と、僕。
「そういうもんなの?」
と、御島さん。
「ええ。距離的には10キロ以上あると思うし・・・自転車なら、前から風が来ますから、過ごし易いんですけど」
「歩くのは、この炎天下の中、結構地獄ですよ・・・」
と、僕。
「番組でもそんな感じでした。皆、汗、超かいてたし・・・」
と、貴島くん。
「それって旅人は誰だったの?」
と、御島さん。
「つるの剛士さんと相川七瀬さんと、藤田ニコルちゃん・・・でしたね」
と、貴島くん。
「それって世代が・・・ニコルちゃんってポップティーンのモデルですよ。確か、17歳くらい・・・」
と、ユキちゃん。
「つるのさんと相川さんは、アラフォーって言ってました」
と、貴島くん。
「なんか親子ほどの違いですね」
と、ユキちゃんは笑う。
「でも、湘南って、印象的には、江ノ島があって、海があってまず、楽しそうだし、景色も綺麗で・・・で、おしゃれな店がたくさんあって・・・」
「なんか、街に、おしゃれな人が多い印象でしたね。あと、皆大らかって言うか・・・」
「茅ヶ崎では、パン一でバトミントンをやってる人達とか居て・・・上半身裸は普通って感じでしたね・・・」
「それってちょっと東京の感覚では、ないですよね・・・」
と、貴島くん。
「茅ヶ崎はそもそもサザンオールスターズの街だし、藤沢や茅ヶ崎は根底にサーファー文化があるからね・・・」
と、僕。
「湘南って、夏になると、普通にサーファーの人が街を歩いているんですか?」
と、ユキちゃん。
「うん。サーファーの人達は、夏になると、サーフィンのボードを自転車に・・・横にアタッチメントがついてて、そこにボードを乗せるんだけど」
「そのカタチで、上半身裸で、海に向かう人間が普通に多いしね・・・」
と、僕。
「そっか。街がそういう空気なんですね。なんか南の海岸の街的な・・・オアフな雰囲気?」
と、ユキちゃん。
「うん。夏の湘南は、そういう雰囲気だなあ。湘南は、ハワイ系の店も結構多いし・・・」
「フラの店なんて普通に街ナカにあるし、フラやっているオトナの女性って多いからね」
と、僕。
「なんだか、そういう雰囲気、あこがれちゃいますね。他には無い湘南の独特の雰囲気っていうか・・・」
と、ユキちゃん。
「なんだか、街に住んでいるだけで、楽しい時間が過ごせそうね」
「特に女性には・・・」
と、御島さん。
「ええ。そういう意味じゃあ、女性はいい笑顔をしていますよ」
「自分に自信のあるスポーツ好きなオトコ・・・多いですからね」
と、僕。
「そうね。それって、懐かしいな・・・」
と、御島さんは、意味深に言葉にした。
「ゆるちょさんが湘南を好きだって、理由は・・・具体的に言うと、どんなモノがあります?」
と、貴島くん。
「うん。まずは、やっぱそういうサーファー文化的な、開けっぴろげな雰囲気が好きって言うのがあるね」
「なんか、街に住んでいる人達も、スポーツやっている人間に圧倒的にやさしいって言うか、目線が最初から微笑ましいって感じかな」
と、僕。
「へー、そうなんですか?」
と、辛辣姫。
「うん。そうなんだ・・・あのね、湘南って、前に出て、一匹狼で頑張っている人間をすごく評価してくれるんだよね・・・」
と、僕。
「それは具体的には、どういう感じなんですか?」
と、貴島くん。
「まあ、サーファーとか、サイクリストとか、ウインドの人間達とか、ヨットやってる奴とか・・・とにかく、自然に向かってがんばっている人間達に」
「普通にリスペクトがある街なのが、湘南と言う所なんだ」
と、僕。
「それは男性も女性も変わらず、ですか?」
と、貴島くん。
「うん。例えばさ、湘南って、波があまり立たないんで有名なんだけど、シーズンに何回か、相模湾の南を行く、台風のうねりが入って」
「3,4メートルの波が来る事があるわけ。そういう時は、皆、稲村ヶ崎の辺りで、そういう波に挑戦していくサーファーを応援しながら」
「その様子を見て楽しむわけ。皆、温かい目で、ね・・・」
と、僕。
「ゆるちょさんは、その風景に偶然、出くわしたんですよね?」
と、ユキちゃん。
「そう。普通の週末だったんだけどさ。たまたまトレーニングで、稲村ヶ崎を西に向けて登って行ったら、そこに人だかりがしていてね」
「地元の女性達が、嬉しそうに海を見ていたわけ。だから、すっげー、楽しそうだったから、「どうしたんですか?」って聞いたら」
「30歳くらいのこんがり焼けた美しい大人の女性が、「いいうねりが入ったのよ。ほら、サーファーとしては、いい波が来てるじゃない。ショーの始まりよ」」
「っていい笑顔で言うんだよ・・・」
と、僕。
「ゆるちょさんの事だから・・・その美しい女性に食いついたんでしょう?」
と、辛辣姫。
「うん。100%そうだけどね。でも、すごく話しやすい雰囲気だったから、僕もその雰囲気に乗って」
「・・・そのお姉さん達と肩を並べて笑顔で、サーファー達が波に挑戦する様を、楽しんでたって事だね・・・」
と、僕。
「それって、天気のいい日だったんですか?」
と、貴島くん。
「うん。すごく良くてね・・・で、サーファー達が波に向かってテイクオフしていくんだけど、皆、カッコイイんだよ。皆いい身体しててさ。しかも、陽に焼けてて」
「髪の毛なんか、無頓着って感じで、長く伸ばしていて・・・しかも、皆精悍な感じ。そりゃあ、女性だったら、一発で気持ちを持って行かれちゃうよね」
「でも、そういう奴らが、手強い波に次々と立ち向かっていく姿は・・・男性の僕でも、ドキドキしちゃったからね」
「しかも、波が強くて、結構な猛者もやられていたみたいだから・・・真剣に見入っちゃったね・・・」
と、僕。
「そういうショーがあるんですか。僕、湘南のサーファーって、ある意味、陸サーファーみたいな物かと思っていました」
と、貴島くん。
「いや、あの緊迫感のある、波乗りの風景を見たら・・・彼らの真剣さにやられるし、結構、波に負けながらも、皆、次々とテイクオフしていくシーンは感動的ですら、あるよ」
と、僕。
「実は・・・わたしも、そのシーンにやられた事あるの。大学生の頃、友達に連れられて、たまたま、鵠沼のサーファーズ、ショップに遊びに行ってたら」
「「稲村ヶ崎沖に、波が来てる。ジョージクラスの波だ。ひょっとすると、デニス級まで行くかもしれない・・・」ってサーファー達が騒いで」
「いつの間にかスタッフ達に連れられて稲村ヶ崎まで、行って・・・サーファー達の本気の波乗りを見たの」
と、御島さん。
「わたし、本気で感動したわ。それまで、サーファーなんて、ただ女性にいい格好をしたい、チャラチャラしたオトコ達だと思っていたから・・・」
「でも、本気の彼らは違った。テイクオフしては、次々と失敗していくんだけど、それでも、なんの躊躇もなくテイクオフしていく・・・」
「彼らは、本気で、大自然と戦っていたわ。大自然を組み伏せようと、本気で戦っていたの。その真剣な表情を見たら、わたし、一度で恋に落ちてしまって・・・」
と、御島さん。
「へー。そんな事があったんですか?初耳です」
と、貴島くん。
「それは当たり前よ。それは、ただのひとりよがりだったから・・・その彼に告白する事も出来ず、瞬殺。だって、稲村ヶ崎で、目をハートマークにしてた、私の横には」
「その彼の波乗りを心配そうに見つめる素敵な大人の女性が立っていたから・・・」
と、御島さん。
「それが、御島さんが恋した男性の恋人さんだったんですか?」
と、辛辣姫。
「そうよ。それに、その女性、わたしが束になっても敵わないような、素敵なオトナの女性だったの」
「だから、自分で、失笑しただけだったわ」
と、嬉しそうに御島さん。
「御島さんも、湘南のサーファーの真剣な姿にやられた一人でしたか」
と、僕。
「ええ。でも、湘南って素敵な大人の女性が多いわね。わたし、その時、何人かの女性と出会ったけど、皆ハートが強くて、素敵な彼を本気で愛している」
「・・・守っている女性達ばかりだった・・・わたしは、お子ちゃまな自分が恥ずかしかった・・・もう遠い過去の記憶だけどね」
「・・・それがわたしの湘南の印象」
と、御島さん。
「皆、大自然と戦っている素敵なオトコ達が大好きなのよ。湘南の女性は皆そう。そして、ハートが強いから、初対面の男性や女性にもやさしく出来る」
「学生時代の一時期、わたしは、ああいうオトナの女性にあこがれたわ・・・ゆるちょくんもそういう女性のあり方にやられたんじゃない?」
と、御島さん。
「・・・でしょうね。何より、湘南の女性の目が暖かいし、すっごく優しいんですよね」
「「ふーん、ゆるちょくんって言うんだ。わたしは、サイクリストも好きよ。もし、よかったら、わたしの店にも顔を出して」なんて言われてさ」
と、僕。
「なんか、いつものゆるちょさんの話っぽくなってきましたね」
と、貴島くん。
「いや、この場合は、湘南の女性の強さや、やさしさって話だと思うよ。皆フレンドリーだし、笑顔が素敵だよ」
と、僕。
「で、どうなったんですか?」
と、ユキちゃん。
「そのオトナの女性と、すぐに仲良くなってさ。134号沿いで、ハワイグッズを売っているお店のママだったんだけど、何度か遊びに行ったりしてたよ」
「ま、もちろん、旦那さんのいる女性だったけど・・・」
と、僕。
「ゆるちょさんって、すぐ女性と仲良くなりますよね。ほんとに」
と、ユキちゃん。
「いや、まあ、その話はいいんだけどね」
と、僕。
「結局、湘南の人達って、そうやって、一人で前に出る事が大変な事を知っているからこそ、一人で前に出る人間にリスペクトを抱いているわけさ」
「そのママだって、一人でハワイグッズのお店をやってるわけだから、一人で前に出るって意味じゃあ、サーファーのお兄さんも、そのママも同じ土俵で戦ってるって」
「事なんだよね」
と、僕。
「だから、一人で前に出て戦っている人間に寛容と言うか・・・リスペクトがまず、あるし、お互いがお互いを支えあってるカタチになってるのね」
と、御島さん。
「なるほど・・・ハワイグッズのお店のママが、サーファーのお兄さん達を笑顔で応援するのも・・・サイクリストであるゆるちょさんをそれに巻き込むのも」
「それぞれ皆に、お互いへのリスペクトがあるからなんですね」
と、辛辣姫。
「そうなんだ。だから、素敵なお店も多いんだ。素敵なお店って、やっぱり、その人なりにアイデアを作って、開店しているお店だから、常にそのセンスが問われるし」
「湘南って、そういうセンスで戦う場所なんだよね・・・」
と、僕。
「だから、皆、一人で前に出て戦う・・・ある意味、ライバルでもあり、仲間なんだ。そういう意識、湘南って高いんだよね・・・」
と、僕。
「前にゆるちょさんと、サイクリストの格好で、湘南の海岸沿いのおしゃれなパスタ屋に入った時・・・マスターや、店員の女性に、すごく歓迎されましたよね」
「あれって、そういう事なんですね?」
と、ユキちゃん。
「うん。サイクリストも、ごつい車の中を、自分のボディラインさらして、自分のセンスさらして、走っているからね」
「そういう意味では、湘南ではどこでも歓迎されたよ、サイクリストとして」
と、僕。
「デパ地下のカレー屋さんの女性アルバイトにやたら、歓迎されたって、そう言えば、以前、言ってましたよね、ゆるちょさん」
と、貴島くん。
「いやあ、もう、遠い昔だから、時効だけどね。当時は、デパ地下にそのままの格好で現れるハートの強いサイクリストは、少なかったからね」
「自然、目立ったし、目立つ事の出来る人間こそ、湘南では、リスペクトの対象だったし・・・女性達から、割りと好待遇だったな。あの頃・・・」
と、僕。
「でも、わたしも女性としての立場から、言わせてもらうけど・・・ゆるちょくんのサイクリスト姿は、女性のハートを直撃だから・・・ちょっとルール違反な感じもあるわね」
と、御島さん。
「でも、ゆるちょさんは、そういう事もすべてわかっていて・・・よく飲み会であの姿になってくれますから・・・女性としては、そのサービス精神に」
「やられちゃう感じ・・・ほんと、ゆるちょさんってサービス精神旺盛で、ハートが強いですよね。でも、女性はそういうハートの強い男性を好みますから・・・」
と、ユキちゃん。
「ゆるちょさん・・・なんか、女性陣から、随分、好反応ですよ」
「もっともゆるちょさんは、そういう状況に引き込む為に・・・すべて戦略しているんだから、すごい人ですよ」
と、貴島くん。
「いやいや・・・僕も湘南に長くいたから、女性へのプレゼンって事をまず考えるようになっちゃったんだろうね」
と、僕。
「でも、それって、湘南のオトコ達は、当然って感じじゃない?むしろ、それより、大自然と戦うからこそ、そういうハートの強い男性が出来上がるって」
「わたしは、理解しているけどね」
と、御島さん。
「大切な事は、本気で、大自然と戦うって事よ。大自然を組み伏せようと真剣になって、すべてを賭けて戦うって事よ」
「そういう経験こそ、オトコを磨くわ。タカのような、強い目と何にも負けない、強いハートを持つオトコを作るのよ。それこそが、大事だわ」
と、御島さん。
「そういうオトコ達を愛しているから、湘南のオトナの女性は、かっこいいんでしょうね。なんだか、あこがれちゃう」
と、ユキちゃん。
「そういう意味では、湘南の人達は、皆、大切なモノを守りながら、強いハートで、がんばっている人達ばかりだよ」
「パスタ屋さんだって、デパ地下のカレー屋のお姉ちゃん達だって、ハワイグッズの店のママも、サーファーやウィンドの人達も、そして、サイクリスト達も」
「基本、一匹狼で、前に出て、戦っている人達ばかりだったもの。だから、そうやって前に出る事の大変さも、リスクも知り抜いているから」
「湘南のオトコ達、女性達は、自然、お互いをリスペクトし合っているんだ。だから、皆、そういう人間には、優しいし、素直に笑顔になれるんだよ」
と、僕。
「前に出ているって言っても、大自然を組み伏せようとする意識で戦っているって・・・ちょっとすごい事だし、同じ男性として、やっぱ、リスペクトしちゃいますよ」
「確かに、女性だったら、そういう姿見たら、イチコロでしょうね、実際」
と、貴島くん。
「人ってどういうカタチでも、戦っている姿が一番美しいし、魅力的だと思うわ。それは大自然を相手にって言うだけじゃなくて」
「普段の生活でも、そうじゃない?・・・そういう中で、前に出て戦える人間にこそ、魅力がある・・・わたしは、そう思うわ」
と、御島さん。
「前に出ている人間は、風当たりは強いからこそ、リスペクト対象になる。人の後ろに逃げ込んでいる人達は、一生相手にされない・・・この法則って」
「どこででも通用しますね。スポーツ全般、そうだし、店を構えた人間は、前に出た人間だし、やっぱり、前に出る一匹狼こそ、リスペクトの対象なんですね」
と、辛辣姫。
「結局、日本って、自分の進むべき道を探し当てて、その自分の仕事をどこまでも追求出来る人間こそ・・・そして、その道で価値を持つ事を貫いている人間こそ」
「価値を持つんだよ。前に出るからこそ、いろいろ風当たりも強い。でも、その風に毎秒磨かれる。だからこそ、ダイヤモンドのように輝き始めるんだ」
「ダイヤモンドだって、磨かれなければ、単なる輝け無い石だ。そこには大きな違いがあるんだ」
と、僕。
「リスペクトって、そういう前に出る行為で、自分を磨けた人間だからこそ、当然、起きる行為なんですよね」
「自分で、自分の道を見つけられたって事は・・・すごく価値のある事だと思うし・・・それは自分で時代を作っていく事にもなりますからね」
と、ユキちゃん。
「最近は、時代に流されて、他人の指図通り生きてて・・・何の魅力も感じない人間も増えてるものね・・・そういう人間達に比べたら」
「大自然と戦う、あのサーファーたちや、そのオトコ達を守る、強いハートのオンナ達・・・そういう人間達が多く住む、湘南って、街は・・・やっぱり魅力的な街だわ」
「その湘南の街に・・・ゆるちょくんが魅了されるのも、当たり前の話ね。あなたこそ、常に、一匹狼で戦う、素敵なオトコだもの」
と、御島さんは、嬉しそうに言葉にした。
「七里ヶ浜のちょっとした丘にいい店があってさ。夕方になると、江ノ島の向こう側に落ちる夕日を見られる場所がある」
「「彼女が出来たら、この御店に連れて来なさい。女性は絶対に、落ちるから」と、平日のランチにその店に連れて行かれた事があるんだ」
と、僕。
「そのハワイグッズのお店のお姉さんに?って事ですか?」
と、貴島くん。
「いや。そこは内緒・・・でも、素敵なお店が多い場所である事は確かだなあ・・・将来、僕は、絶対に湘南に復帰しよ」
と決意した僕は、皆より、ちょっとだけ早く、天ぷらそばを食べ終わった。
(おしまい)