さて、その時、僕は都内のコートで皆でテニスを楽しんだ後の中華料理店の個室でのビールで乾杯的な時間を過ごしていました。
「いやあ、今日は天気良くてよかったね。・・・まあ、ギンギラに晴れない程度の曇りだったけど」
「湿度も低かったし、風もやさしくて、気持ちよくテニスが出来た」
と、僕。
「あの施設いいですね。ロッカールームで、シャワーも浴びれたし・・・日曜日は気持ちよくスポーツって感じで」
と、若いミユウちゃん(25)。
「ほんと、汗も流せたし・・・テニスの程よい疲労感が・・・ビールを美味しくしてる」
と、辛辣姫ユキちゃん(28)。
「あそこって、前に美田園社長に教えて貰った施設で・・・美田園さんもお仲間と利用している施設みたいよ」
「まあ、でも、今日は日頃の運動不足を感じたわ・・・もう少し、基礎代謝を日頃からあげないといけないかもしれないわ」
と、御島さん(31)。
「でも、テニスのミックスダブルスなんて久しぶりでしたよ。大学時代以来だから」
「ちょっと感覚を忘れていましたね」
と、池澤くん(24)。
「僕は御島さんと組んだので、ヒヤヒヤしていましたけど・・・上手くフォロー出来るかわからなかったので」
「でも、一応、優勝って事で、ホッとしていますね」
と、貴島くん(29)。
「僕は大学時代、テニス経験者のユキちゃんがパートナーだったから、足を引っ張ってはいけないと思って」
「気張ったけど・・・ま、二位は順当かな」
と、僕。
「わたし、全然、足が動けなくて・・・ごめんね、池澤くん。足引っ張っちゃって」
と、ミユウちゃんが言ってる。
「いえ、僕らは動けていた方だと思いますよ。むしろ、いいように動かされて、いいところに決められた感じですよ」
と、池澤くん。
「ま、年齢重ねると、人生もテニスもどうやって勝てばいいか、見えてくるんだよ」
と、僕。
「それを言うなら、女性の動かし方もわかるようになる・・・そんなところじゃないですか?ゆるちょさーん」
と、貴島くん。
「うん、それはあるかな。それは経験だよ。それに女性にもいろいろ教わるし、ね」
と、僕。
「ゆるちょさんは、「男子は女性と言う大学に長い期間いて、いろいろ教わるから」」
「「結果、女性を悦ばせる事の出来る大人のオトコに成長出来る」って言う論理の持ち主ですものね?」
と、辛辣姫。
「そういう事。結局、女性の方が細かく濃密に繊細に物事を見ているから、「気付き」が多いんだ」
「だから、そういうしあわせになる為に必要な細かい知恵・・・それを知ることが出来る・・・」
「その知恵を、知っている人間と知らない人間じゃあ・・・年齢を重ねれば重ねる程、その差は大きくなる・・・そういう事じゃないかな?」
と、僕。
「なるほど・・・女性にいろいろ知恵を教えて貰う・・・大人のオトコになりたいなら、早くそういう立場になれ!って言う事ですね?」
と、池澤くん。
「その話ってよくわかるわね。結局、女性に愛される男性って、女性を本能的に癒せる男性だもんね」
「もちろん、可愛いいってだけでなくて、本当の男気を持っている、本当のオトコ・・・そういうオトコはかっこいいわよね」
と、御島さん。
「それに関して・・・今日は女性が3人も集まっていますから、改めて聞いてみたいんですけど」
「男性はどうやったら、女性にモテるんでしょう?これって男性だったら、一度、大人の女性に聞いてみたい質問だと思うんですけど」
と、池澤くん。
「うーん、だったら、今、池澤くんは、どうやったら、女性にモテるようになると思っている?」
と、御島さん。
「え?それは・・・女子を笑わせる事が出来たら、いけるんじゃないかなあって・・・それおかしいっすかね?」
と、池澤くん。
「ふーん、で、それって成功してる?」
と、辛辣姫。
「いえ、失笑されてるだけのような気がして・・・あまり上手く行きませんね」
と、池澤くんは頭を掻く。
「ねえ、具体的に池澤くんは、女性にモテようとして、何をしているの?」
と、ミユウちゃん。
「え?例えば・・・しゃれを言ってみたりとか、あえてボケてみたり・・・まあ、たまに自分の出身大学を言ってみたり・・・」
「そういう感じですかね・・・」
と、池澤くん。
「それってどういう女性相手に言ってるの?」
と、辛辣姫。
「え、まあ、同期の女性とか、ちょっと知ってる先輩の女性とか相手に・・・ですかね」
と、池澤くん。
「で、反応はどうなの?」
と、御島さん。
「え?だから、失笑レベルですよ・・・まるで、相手になって無い感じですね・・・どうしてなんですかね?それ」
と、池澤くん。
「だって、それは・・・女性が相手にしてくれるのは・・・その男性に興味を持っている・・・ううん、言い方が違う」
「その男性を好きになりたい・・・自分を好きになってもらいたい・・・と思った男性に対してだけよ?」
「そう思わない男性がいくら女性の前でおどけてみても、鼻に引っ掛ける事すらしないわよ、女性は」
と、辛辣姫。
「男性ってよくカン違いしているみたいだけど、女性はまあ、個人差はあるにしても、男性をパッと見た時に」
「「あ、このひと、いい!」って直感的に思うから、そういう男性に女性から挨拶したりするのよ・・・」
「そうされない男性は・・・その女性の記憶の中には存在しない・・・そういうシビアな評価になってるのよ?それ知ってた?」
と、辛辣姫。
「え?そんな事になってるんですか?例えば、課が一緒で隣で働いている男性が自分であっても・・・隣の女性にとって僕は存在していないも同じって事ですか?」
と、池澤くん。
「そういう事ね。だって、女性からすれば職場が一緒なんて、単なる偶然にしか過ぎないし、そこに意味はないわ」
「女性にとって意味のあるのは、自分が好きになってみたい男性が自分に振り向いてくれるかどうかだけ。わたしを見て笑顔になってくれるか、どうかだけだもん」
と、辛辣姫。
「じゃあ、何ですか?オトコは本来、自分を好きになって欲しい女性の前で、おどけてみせて、気を引くのが普通ですけど」
「それには意味が無いと言う事ですか?だって、クジャクだって繁殖期が来ると、好きなメスに求愛ダンスを踊るじゃないですか!」
と、池澤くん。
「前にも言ったけど、繁殖期に交尾の相手を決めるのは、あくまでもメスなのよ。メスにすべての決定権があるの」
「だから、オスが出来るのは、メスが魅了され、思わず決定してしまうような、女性に恋されるオトコの要素を身につける事だけ、なのよ」
と、辛辣姫。
「池澤くん、いい事教えてあげる・・・デパ地下でもスーパーでもいいから、女性従業員が声がけしてくる職場に行ってみて」
「銀座のデパートでも開店直後は、店員さんが皆挨拶してくれるけど、あの時間帯じゃない時間帯にそこに行って」
「どれくらいの女性が・・・あなたに挨拶してくれるか・・・カウントしてごらんなさい・・・」
「それ、ほんとは他人と比較する方がいいんだけどね・・・」
と、御島さん。
「え?それはどういうテストって言う事ですか??」
と、池澤くん。
「デパ地下の店員さんや、スーパーの店員さんは男性を見る目も肥えているから・・・そういう女性は自分が気にいった男性に」
「声がけするものなの。もちろん、長い間の常連さんに声をかける・・・なんて言う例外はあるけれど」
「女性からすれば、声をかけたい男性に声がけするわけだから・・・自分がそういう女性にどう評価されているか」
「シビアにわかるわけでしょう?・・・まったく声がけされなかったら、女性的な評価は低いって事になるわ」
と、御島さん。
「つまり、僕に女性に恋されるオトコの要素が身についていれば・・・多くの女性の店員さんに声がけされる・・・って事ですか?」
「それを実際に試せと・・・」
と、池澤くん。
「そういう事。要はあなたにオトコとしての魅力が備わっているかどうかを端的に知りなさいと言う事よ」
「だって、これ、やるのは簡単でしょう?結果もちゃんと出るし」
と、御島さん。
「遠い昔、その時代に時代の最先端を行っていたオトコ「寺山修司」が「書を捨てよ町へ出よう」と言ったわ。その頃からオトコ達は女性に対してカン違いしている」
「その頃から多くの男子達は、「書を読んでいるオトコこそ、モテる」とカン違いしていた。でも、街に出てみれば現実がわかる。書ばっかり読んでいる男は」
「からきしモテないと言う現実を、ね」
と、御島さん。
「大事なのは、自分の現実を知ると言う事なの。それと男性と言うモノは、女性に選別されるだけの存在だと言う現実も、知らなきゃいけないわ」
「その二つの大事な現実すら、知らないオトコがいかに多いか・・・笑っちゃうわね。そんなだから、現在の男性は女性にモテないのよ」
と、御島さんは言い切った。
「わたし、これ、ある人に聞いたんだけど・・・池澤くんも、そろそろ女性のいる飲み屋さんに先輩に連れていかれたり」
「するようになってきたでしょう?」
と、辛辣姫。
「ええ。それは・・・貴島さんにも連れて行かれたりしています。はい」
と、池澤くん。
「その時に・・・一度行ったお店に、もう一度行った時に・・・一度目で相手してくれた女性が、池澤くんの事を覚えているか」
「どうかで・・・池澤くんの男性度が判定出来るわ・・・もちろん、よーく覚えていて「この間は楽しかったわ。またあの話の」」
「「続きを教えて・・・」なんて確実に覚えられていたら・・・男性として、その容姿も含めて中身的にも魅力があるって」
「事になるわ・・・だって飲み屋の女性こそ、男性を見る目が最も肥えている男性接客のプロだもの」
と、辛辣姫。
「それって、その女性が、まったく覚えていないと言う結果だったら?」
と、ミユウちゃん。
「男性としては、評価が低いと言う事になってしまうわね・・・」
と、ユキちゃん。
「これ、カン違いしてはいけないわ。何度も通ってママにも顔を覚えて貰っても・・・それはそのオトコがカネを落としてくれるいい客だったから」
「ママが常連さんとして顔を覚えたと言う事なの。つまり、カネのチカラで顔を覚えて貰ったと言う事だから、それは男性としては意味の無い行動なの」
と、御島さん。
「あくまで、カネのチカラではなく男性として、相手に一回で覚えられるオトコか、どうか・・・そこが鍵になるの」
と、御島さんは言った。
「結局、女性と言うモノは・・・特に接客のプロの女性は、外見でも評価出来るけど、二人で話をしてみて・・・」
「その男性の評価を総合的に下すのよね・・・」
と、御島さん。
「じゃあ、例えば、どういう男性は、評価が低くなります?具体的に言うと・・・」
と、貴島くんが聞く。
「そうねえ。まず、外見的に言うと、印象が残らない人よね。これはインパクトが無いと言うよりは、その男性を見た時」
「その接客の女性は「無いわ、この人」って評価を下しているって事なの。だから、記憶に留める作業をしないと言う事なの」
と、御島さん。
「そうか。僕カン違いしていました・・・外見的インパクトが無いから、覚えられないんだと思っていたら、違うんですね」
「「この人、無い!」って見切られたから相手が記憶に留める必要性を感じなかったって事なんですね・・・」
と、池澤くん。
「そう。男性は女性の素直な反応を自分を傷つけない理由に変更して覚えるから・・・だから、ダメなのよね」
「真実に気づけず、カン違いしてしまう・・・ダメなオトコってそういう逃げを打っていると言う事ね」
と、御島さん。
「結局、女性って水準に達しない男性はすぐ忘れるから・・・そういう事ですよね」
「女性が覚えているのは、「彼、いい!」って思えた・・・女性を本能的に笑顔に出来る・・・目のキラキラした」
「人間性の大きな、精神的に強いオトコ・・・それだけですよね」
と、ミユウちゃん。
「女性って結局、男性に対して、父親的に甘えたい・・・って言うのがあるから」
「人間的に、ある程度大きな男性でないとダメよね。最近は、よく年の差婚って言う現象がもてはやされるけど・・・」
「あれは男性が大きい人間だからこそ、女性的に頼れる男性だからこそ、成り立っている現象だと思うもの」
「女性が年上の年の差婚って、あまり見ない現象だし」
と、御島さん。
「男性が年上の女性に甘えたいって気持ちはダメですか、やっぱり」
と、池澤くん。
「別にそれは悪くないけど・・・だって「年上女房は金のわらしを履いてでも貰え」って言うじゃない」
「年上女房くらいなら、いいけど、そこで歳の差婚と言うのは、どうかしらって事じゃない?」
「熟女好きを公言している男性がいても、実際、熟女と結婚する年下の男性っていないし、そういう男性と結婚する熟女もいないわよ」
「やっぱり、男性は頼りがいが命だもの・・・」
と、御島さん。
「わたし、思うんですけど、女性にとって結婚の中でも大事なのは・・・毎日、自分の話をやさしく聞いてくれるお父さん役を旦那さんがしてくれるって事だと思うんです」
「その代わりに自分が旦那の仕事を支えるって言うか・・・そういうモノだと思うんですね」
「そして、もうひとつ言えば、旦那がたくさん面白い話・・・もちろん、ここで言う面白い話って言うのは、わたしを笑わす話ではなくて」
「今後の二人の生活に活かせる、共感出来る話や、感動したり、怒ったり、泣いたり・・・やっぱり、共感出来る話か・・・そういう納得出来る話を」
「いっつもしてくれる、やさしくて賢い旦那である事が必須だと思うんです。わたし、夫婦で共感するって事がたくさんある程」
「しあわせな夫婦になれると思うし・・・違いますか?」
と、ミユウちゃん。
「それはそうね。夫婦とは、共感と納得で出来ている・・・なんか、夫婦の本質を突いた、いいことわざって感じがするわね」
と、御島さん。
「そういう意味で言えば、わたしは、旦那の生きる目標を同じ目線で眺めながら、旦那をサポートして生きていきたいと思っています」
「それがあるから、日々、旦那と共感、納得を同時に出来るのかなと思っているし」
と、辛辣姫。
「そっか。夫婦で、同じ目線で、同じ目標を見つめて、日々生きるからこそ、夫婦が共感出来、納得出来るのか」
「そして、共感こそ、夫婦の距離をドンドン近付ける効果がある・・・これ、すごいな」
と、貴島くん。
「日々、夫婦の距離を縮める事って、大事ですもんね・・・それ納得だなあ、夫婦のあり方として」
と、池澤くん。
「おい、いつの間にか、男女の恋を飛び越えて、夫婦の距離の縮め方になってるじゃないか」
「その前に、おまえはやる事があるだろ」
と、貴島くん。
「女性に評価される男性になりなさい。女性と二人きりになれる男性になりなさい」
「すべては現場で起こっているわ。まずは、相手の目を見た時に、笑顔であなたの目を見返してくれる大人の女性を探す事ね」
「すべては、そこから始まるわ」
と、御島さんは、言うと、満足気にウーロンハイを飲み干した。
(おしまい)