しかし、海軍主事、山本権兵衛は東郷をそのままにしなかった。
わざわざ戦場から「浪速」を帰国させ、東郷を海軍省に呼び出した。
権兵衛と東郷とは、同じく戊辰戦争に参加した薩摩の復員兵仲間だが、
東郷の方が五つ年上で、一時同じ軍艦に乗ったこともある。
いやあ、毎回思いますが、渡辺謙さんのナレーションいいね。すっかり慣れて、その味わいを
素直に感じられるようになりました(笑)。
「すごか決断じゃったなー。東郷さんのおかげで、制海での初戦は日本の勝利じゃ」ととりあえずアゲる山本さんです。
「陸軍省からも、えらく感謝されもした。じゃっどん、心配性の伊藤さんが、大変じゃった」確かにあんだけ大声あげて
ましたからねー。
「一軍艦の艦長は、その責務において、国家を代表するものである」要は首相である自分と同じ判断力が必要だ、と言ってるんですね。
「今度の処置は、周到なる考慮をへた決断とは思われん」と、情報が足りないので、伊藤さんもちょっとここは判断間違ってます(笑)。
「ふふ」と、自信たっぷりの団長さんです(笑)。
「おはんの用意周到さは、おいが一番よう知っちょう。国際法の研究が趣味じゃっちゅーこつもな」とまず前提として、自分は理解者であることを語るわけです。
「じゃっどん、東郷さんを監督せんにゃならん立場じゃって、ひとこと言わせてもらう」さて、説明はここまで、本音がでてきます。
「こげなこつが繰り返されっと、戦争遂行に重大なる支障をきたしもす」とそれでも情報が足りてない山本さんは、情報をひきだすべくまず軽く挑発です(笑)。
メッケルはんみたい(笑)。
「他に方法はほんのこて、なかったとか」これが山本さんの「きも」のセリフですね。
「もし、高陞号撃沈に際し、おはんが英国国旗をおろすことを命じたなら、英国世論はこげん騒がんかったとじゃなかか」山本さんの気にしたのは、英国世論だったんですね。
「さらにおいなら、別の処置をとったかもしれん」とさらに挑発です、山本さん情報ひきだすのうまいです(笑)。
「撃沈せんで拿捕する。どけんじゃ?」と山本さんは、東郷さんを試しています。
「こいなら、外交上、いささかの問題もおこらんじゃろ」俺の解答すごいだろ?とこれも挑発です(笑)。
「あん場合、英国国旗をおろすこつは、清国兵の妨害に会い、できんかったでしょう」と自分の現場判断が適切であったことを主張する東郷さんです。
「また、あいだけの大型船を拿捕するこつは、無理でごわんす」と現実論で異論を一蹴です。さすが東郷さんですね(笑)。
「じゃっどん、東郷さあ、英国海軍の論調には、こげなものもあったど」と山本さん、思わず立ち上がり窓に向かって、話します。ちょっと直接はいいにくい内容なんですね。
「東郷は波間に浮き沈みする千人の清国兵を一兵だに救わなかった」確かな真実です。だから、直接はいいたくない山本さんです。
「無力化した敵兵を救助するのは、ネルソン以来英国の伝統である」東郷さんは静かな表情でその内容を聞いています。
「日本人には、戦時の人道についての知識がないのではないかち」とまで言われた東郷さん、思わず立ち上がり山本さんの背中に話し始めます。
「軍人は、みすみす敵を逃すことは、できもはん」それを聞いて同じ軍人の山本さんもこちらを向きます。
「おいは、決めたことには責任をもつ。必要ならば腹もきる。じゃっどん後悔はしもはん」さすがの明治のサムライです。いやぁ、やっぱり中身はサムライだったんですね。
「戊辰のいくさ以来、おいはそげんして刀を抜き、戦ってきもした」あっぱれ、その意気やよし、というところでしょうか。薩摩武士の美意識ですね。そうか、薩摩か。
「用意周到な上に、しぶとか」そうか、こいつも薩摩だ。薩摩武士の美意識が、明治海軍をつくっとったんか(笑)。
「一軍の将たる者そのしぶとさが必要でごわす」お互い美意識を共有しているわけですからね。お互い納得がいくというもんです。
「今度のいくさは、おはんの力をば頼りとしておいもす」十分納得ですね。
このシーンは何を表現していたのでしょうか。
例の事件の対処法に問題があったのでは?、とする山本に対して、現場を知っている東郷さんが、山本の挑発と設問に解答し、問題のなかったことを
理解させた、ということですね。そして、その自分のサムライ的心境を説明し、理解を得、将としての信頼をさらに得る、ということですかね。
このシーンでは、結局東郷が、薩摩武士的美意識をそなえており、その気概をもち、さらに将として能力の高さが示されているわけです。
アゲられたのは、東郷ですね。サゲはなし。山本の疑念を解消する形で、東郷という将を視聴者に説明する、というのが、脚本の意図でしょうね。
まあ、東郷ってのは、薩摩武士的美意識をもった本物のサムライなんだよー、その将としての能力もめちゃくちゃ高い、
すげーかっこいー奴なんだよー、というところでしょうか。ま、いわゆる視聴者に対して東郷さんの説明ですな。
日本人的美徳の説明という観点からは、東郷さんの薩摩武士的美意識が語られておりますね。あと、「用意周到な上にしぶとか」という言葉も。
ということは、明治人にあれだけ見られる美徳というのは、サムライ的美意識から現れていると考えていいんですね。
日本人の美徳の源泉は、薩摩武士的美意識にあったのか・・・というよりサムライにあったんですね、やっぱり。
「ことに及んで、死をおそれず」とか、東郷さんの「決めたことには責任をもつ。必要ならば、腹を切る」といった、物事に対する
シンプルな考えが、そのひとを美しく見せていたんですね。いやあ、いい勉強になる。今後の生活にぜひとりいれたいね(笑)。
腹切るのは痛そうだけど(笑)。
ちなみにこのシーンは原作には別の形で書かれていて、それを合わせてこのシーンをつくったと言えるでしょうね。
清国遼東半島
秋山好古が、第二軍の騎兵第二大隊長として遼東半島に上陸したのは、10月24日である。
好古の騎兵大隊は、旅順要塞の敵情を視察するために前進した。
いやぁ、リアルケンシロウ降臨ですなぁ(笑)。黒王号にのったケンシロウがNHKで見れるとは(笑)。
ってか、ほんのちょっと前に、リアル謙信公やってたんですからね、このひと(笑)。いやいやいや、
もう、阿部ちゃん、かっちょ良すぎて、同じ男性としても萌えますなあ(笑)。
しかも騎兵大隊がしっかり映像化されちょる(笑)。燃える、燃えすぎる(笑)。
ナニゲに金かかってるよねぇ(笑)。
旅順要塞は、東洋一もしくは唯一の近代要塞であることは、確かであった。
フランスの提督クールベ-は、旅順にやってきて
「この旅順を落としいれるには、五十余隻の堅固な戦艦と十万の陸軍を投入してもなお半年はかかるであろう」といった。
いやあ、旅順要塞も映像化されちょるよ。ま、ちょっとした砲台だけど、でもがんばってるよー。
こういうギミックがしっかり表現されていると燃えるんだよねぇー。
騎兵第一大隊宿営地
ところが、たいしたことはなさそうだ、と知ったのは、騎兵を率いている秋山好古であった。
なんだそうで。好古さん、部下に口頭で内容を伝えて文書を書かせております。
「第二軍大山指令官宛上申書」
「はい」
「当捜索隊の情報によれば、敵は旅順城を死守することは確実」
「は」
「旅順攻撃の最も有効な方法は、夜明けに乗じ、軍の主力をもって、旅順本道から水師営をへて
旅順市街にすばやく飛び込むことである」
なるほど、そういうわけですか(笑)。これ書いていく秘書役のほうが大変だね。
「入ります」と部下のひとりが入ってきます。
「大隊長殿、驚くべき情報が入りました。旅順要塞最高指揮官ロショウヨが、船でシーフーに
脱出したとのうわさがながれております」と何、もう落ちちゃってるってこと?。
「なんじゃと」と驚く好古さんです。
「日本軍が総攻撃をしかけんうちに、敵の最高司令官が逃げ出したというのか。信じられん」と好古さんの気持ちを代弁です(笑)。
「おい、確認してこい」と好古さん、あたりまえの対応です。
「は」と部下が駆け出します。
「おい、どういうことじゃ」とひそひそ声。
「わしにもわかりません」と軽く混乱する周囲なわけです。
なんてところへ、まあ酒好き好古さんのお約束なシーンが登場(笑)。
「酒はどこへおくんだね」と清国じいさん登場です。
「やっときたばーい」と皆酒好きなんだね。
「じいさん、ご苦労様」と言いたくなる気持ちもわかります。
「大隊長殿、活力の元は調達致しました」とうれしそうにこのひとは軍服きていない、通訳さんなんですね。
「きたかー」と好古さん、うれしそうです。
「よーじーさん、いつもすまんなー」と一発で機嫌の良くなった好古さん、清国じいさんにお駄賃をあげます。
「とっといて。しばらくこの家もつかわせてもらうぞな」っていうものの、けっこうやってることは横暴ですけど(笑)。
「また、たのむぞ」と通訳さんに言われて、ちょっと難しい表情のじいさんなんですね。
「わしは、軍人はきらいじゃ」と清国じいさんは素直に自分の感情を表現します。
「軍人は、皆、人殺しで強盗じゃ」と、確かにそのとおり。しかし、このじいさん役の俳優さんもうまいねえ。
「旅順でいばってる奴らもあんたもな」なるほど、清国兵も嫌いだったわけだ。
「早く、この村から出て行ってくれ」もらうだけもらうけど、でも、もう、どっかいってくれ、というわけですな。
「こんじいさん、軍人はすかんといっちょります」ちょっと言いずらそうな通訳さんです。
「よかー。そらそうじゃろのう。じいさんにしてみりゃ、迷惑千万じゃ」と、素直に相手に同調する好古さんです。でかい器ですな。
「おーい、手伝わんか」なんて通訳さんが仕事をしているうちに、好古さん、近くにある酒がめを手にすると、
おもむろに飲みはじめちゃいます(笑)。おいおい(笑)。
「大隊長殿、なんばしちょっとですかあ」とそれを見た通訳さん、好古さんを止めます。
「あー、うまい。毒はないようじゃ」とのんきな大隊長です。
「大隊長殿、毒見はおいが仕事ですけん」と大隊長の体を心配する通訳さんです。
「そうじゃったのう。ついまーちきれんでのう」とのんきな酒好き好古さんなのでした(笑)。
「はははは」
「はははは」と、周りも笑ってますし、信頼されている将なんですね、好古さん。
「熊谷、じいさんにいうてやれ。もうすぐ、いくさが始まる。うまく逃げるんじゃと」と通訳さんの名前登場、熊谷さんですね。
「いくさが始まるうまくにげろよ」清国じいさん、それを聞いてびっくらこいて、立ち上がりました。それに対して好古さん、酒あんがと、のポーズで、
「稲垣、報告の続きじゃ」と報告を始めます。まず、かめの酒を飲んでから(笑)。
好古は第二軍の司令官の大山巌にあて意見書を送った。
さて、このシーンは何を表現しようとしたのでしょうか。
脚本意図は、酒大好きな好古さんと、それを暖かく見守る部下達といったところでしょうか。好古さんが、部下から慕われているという表現ですかね。あと、通訳熊谷さんと、
部下の稲垣くんの紹介。それと、日本兵が土地のひとに嫌われているといったあたりでしょうかね。それに、好古がしっかりとした戦略眼を持っているという
話しも入ってますね。これは、次のシーンにつながっています。ということで、好古さんの将としての高い能力と、器のでかさを描いているということですかね。
アゲてるのは、好古さんになるのかな。サゲは日本兵全体でしょうか。これは清国じいさんの言葉で表現されましたね。まあ、戦争の現実というものも
しっかり表現しておく、ということでしょう。このサゲは、最初の「浪速」のシーンでのわくわく感に歯止めをかける効果を与えています。
一方の戦争の現実、という表現でしょう。日本人的な美徳表現という面については、「相手の立場にたって、モノを考え、理解することが
できる」、という好古さんの「じいさんにしてみりゃ、迷惑千万じゃ」というセリフに表されていますね。それと、うらみがましいことを清国じいさんに
言われても、怒りもせず、酒あんがと、の礼までおくる好古の態度にも表されています。いやぁ、勉強になるなあ。
ちなみに、このシーンは原作を膨らました感じですね。
大山は西郷隆盛のいとこであり、少年の頃からその影響を受けた。
いかにも薩摩型の指揮官で大将になるためにうまれてきたような大雅量をもっている。
いやあ、大山登場ですよぉ(笑)。しかも、米倉さん、大山の写真になんか、似てるんだよね(笑)。
ちょっと笑っちゃいました(笑)。なんか雰囲気もねぇ、いい味だしてます。素晴らしい(笑)。
そうかー、「翔ぶが如く」ではあんなに若々しかった大山さあも、こうなったということか(笑)。感慨深い(笑)。
第二軍司令部
第一師団長は、隻眼のため、独眼竜と言われた中将山地元治である。その傘下に二つの旅団があり、
旅団長のひとりは、少将乃木希典であった。
とこれまた、この本では悪役、というか無能に描かれる乃木さん登場です。
と、こういう役をやらせたら、天下一品の柄本明さんです。ちょっと影のある感じで一本義という感じなのでしょうか。
「皆読んでくれたか。さすが秋山、まっこてみごとな上申書じゃ」といかにも満足そうな大山さんです。というわけで、先程の好古さんがまとめた上申書ですね。
「敵兵の配置情報、状況分析、攻略法、共に明快じゃ。おいはこん上申書を元にして、作戦をたてもした」
と、周りを見回しながら話す大山さん、なんか愛くるしいんだよね(笑)。
「おはんらに聞いてもらいたか」と立ち上がり、説明をはじめます。
「旅順要塞防衛線の北、我が方の右翼に敵主力がかまえちょっとは明らかじゃ。我が軍の精鋭部隊をここにおきたく、ついては・・・」
と、突然立ち上がる乃木さんなのでした。
「んー?」と驚く大山さん。
「我が第一旅団を、右翼攻撃にお命じ頂きたい。我が旅団は金州攻撃の先鋒として、わずか1日金州城を陥落させております。
この勢いをもってすれば、旅順城は敵ではありません」
と一気に言い切ります。このひとは、思いつめるたちなのかな。
「乃木さぁー、おはんは7日の砲台攻撃でも師団長の裁可なし一気に攻略したち聞いちょりもす。うんにゃーその気概やよし」
とりあえず、ほめるわけですな(笑)。
「なにとぞ、我が旅団を右翼に」
性急すぎる感じの乃木さんです。
「うーん、まあ、おいのー作戦をちっとは、聞いてくれてもよかじゃろーうー」
とうまくまとめて座る、かわいい大山さあ、なのでした。笑いなんか漏れて、乃木さん、まわり見回したりしてるんですねぇ(笑)。
で、笑われながら、憮然と座る乃木さんなのでした。
どうも、性急すぎで、まわり見えてない乃木さん、という表現みたいですね。
このシーンについて考えてみましょう。
ここでは、大山さんの紹介と、乃木の紹介。乃木の性格の紹介、といったところでしょうか。まあ、ある意味悪役なんですけれど、
どう悪役なのかを、ここで紹介していると。性急で、まわりがみえない乃木さん、といったところでしょうか。
そして、大山さんのその大きな器ぶり。それを比較することで、さらにお互いを強調しあった、というところでしょうか。
アゲられたのは、大山さんで、サゲが乃木さんですね。日本人の美徳表現については、大山さんの「その意気やよし!」
という、相手のいい部分を積極的にほめる態度でしょうか。まあ、だんだん自分でも、無理にこじつけてるような気もしますがね(笑)。
このシーンは原作にはありませんが、乃木さんと大山さんの紹介ということで、補足的につくられたシーンというとこでしょうか。
と今回はここまで、なにしろ、一回の投稿の量が決まっているので、
それ以上になると、システムに拒否されちゃうんですよ(笑)。
ま、文章はできているので、別の回にわけて、投稿します。
では、つぎの投稿で(笑)。
わざわざ戦場から「浪速」を帰国させ、東郷を海軍省に呼び出した。
権兵衛と東郷とは、同じく戊辰戦争に参加した薩摩の復員兵仲間だが、
東郷の方が五つ年上で、一時同じ軍艦に乗ったこともある。
いやあ、毎回思いますが、渡辺謙さんのナレーションいいね。すっかり慣れて、その味わいを
素直に感じられるようになりました(笑)。
「すごか決断じゃったなー。東郷さんのおかげで、制海での初戦は日本の勝利じゃ」ととりあえずアゲる山本さんです。
「陸軍省からも、えらく感謝されもした。じゃっどん、心配性の伊藤さんが、大変じゃった」確かにあんだけ大声あげて
ましたからねー。
「一軍艦の艦長は、その責務において、国家を代表するものである」要は首相である自分と同じ判断力が必要だ、と言ってるんですね。
「今度の処置は、周到なる考慮をへた決断とは思われん」と、情報が足りないので、伊藤さんもちょっとここは判断間違ってます(笑)。
「ふふ」と、自信たっぷりの団長さんです(笑)。
「おはんの用意周到さは、おいが一番よう知っちょう。国際法の研究が趣味じゃっちゅーこつもな」とまず前提として、自分は理解者であることを語るわけです。
「じゃっどん、東郷さんを監督せんにゃならん立場じゃって、ひとこと言わせてもらう」さて、説明はここまで、本音がでてきます。
「こげなこつが繰り返されっと、戦争遂行に重大なる支障をきたしもす」とそれでも情報が足りてない山本さんは、情報をひきだすべくまず軽く挑発です(笑)。
メッケルはんみたい(笑)。
「他に方法はほんのこて、なかったとか」これが山本さんの「きも」のセリフですね。
「もし、高陞号撃沈に際し、おはんが英国国旗をおろすことを命じたなら、英国世論はこげん騒がんかったとじゃなかか」山本さんの気にしたのは、英国世論だったんですね。
「さらにおいなら、別の処置をとったかもしれん」とさらに挑発です、山本さん情報ひきだすのうまいです(笑)。
「撃沈せんで拿捕する。どけんじゃ?」と山本さんは、東郷さんを試しています。
「こいなら、外交上、いささかの問題もおこらんじゃろ」俺の解答すごいだろ?とこれも挑発です(笑)。
「あん場合、英国国旗をおろすこつは、清国兵の妨害に会い、できんかったでしょう」と自分の現場判断が適切であったことを主張する東郷さんです。
「また、あいだけの大型船を拿捕するこつは、無理でごわんす」と現実論で異論を一蹴です。さすが東郷さんですね(笑)。
「じゃっどん、東郷さあ、英国海軍の論調には、こげなものもあったど」と山本さん、思わず立ち上がり窓に向かって、話します。ちょっと直接はいいにくい内容なんですね。
「東郷は波間に浮き沈みする千人の清国兵を一兵だに救わなかった」確かな真実です。だから、直接はいいたくない山本さんです。
「無力化した敵兵を救助するのは、ネルソン以来英国の伝統である」東郷さんは静かな表情でその内容を聞いています。
「日本人には、戦時の人道についての知識がないのではないかち」とまで言われた東郷さん、思わず立ち上がり山本さんの背中に話し始めます。
「軍人は、みすみす敵を逃すことは、できもはん」それを聞いて同じ軍人の山本さんもこちらを向きます。
「おいは、決めたことには責任をもつ。必要ならば腹もきる。じゃっどん後悔はしもはん」さすがの明治のサムライです。いやぁ、やっぱり中身はサムライだったんですね。
「戊辰のいくさ以来、おいはそげんして刀を抜き、戦ってきもした」あっぱれ、その意気やよし、というところでしょうか。薩摩武士の美意識ですね。そうか、薩摩か。
「用意周到な上に、しぶとか」そうか、こいつも薩摩だ。薩摩武士の美意識が、明治海軍をつくっとったんか(笑)。
「一軍の将たる者そのしぶとさが必要でごわす」お互い美意識を共有しているわけですからね。お互い納得がいくというもんです。
「今度のいくさは、おはんの力をば頼りとしておいもす」十分納得ですね。
このシーンは何を表現していたのでしょうか。
例の事件の対処法に問題があったのでは?、とする山本に対して、現場を知っている東郷さんが、山本の挑発と設問に解答し、問題のなかったことを
理解させた、ということですね。そして、その自分のサムライ的心境を説明し、理解を得、将としての信頼をさらに得る、ということですかね。
このシーンでは、結局東郷が、薩摩武士的美意識をそなえており、その気概をもち、さらに将として能力の高さが示されているわけです。
アゲられたのは、東郷ですね。サゲはなし。山本の疑念を解消する形で、東郷という将を視聴者に説明する、というのが、脚本の意図でしょうね。
まあ、東郷ってのは、薩摩武士的美意識をもった本物のサムライなんだよー、その将としての能力もめちゃくちゃ高い、
すげーかっこいー奴なんだよー、というところでしょうか。ま、いわゆる視聴者に対して東郷さんの説明ですな。
日本人的美徳の説明という観点からは、東郷さんの薩摩武士的美意識が語られておりますね。あと、「用意周到な上にしぶとか」という言葉も。
ということは、明治人にあれだけ見られる美徳というのは、サムライ的美意識から現れていると考えていいんですね。
日本人の美徳の源泉は、薩摩武士的美意識にあったのか・・・というよりサムライにあったんですね、やっぱり。
「ことに及んで、死をおそれず」とか、東郷さんの「決めたことには責任をもつ。必要ならば、腹を切る」といった、物事に対する
シンプルな考えが、そのひとを美しく見せていたんですね。いやあ、いい勉強になる。今後の生活にぜひとりいれたいね(笑)。
腹切るのは痛そうだけど(笑)。
ちなみにこのシーンは原作には別の形で書かれていて、それを合わせてこのシーンをつくったと言えるでしょうね。
清国遼東半島
秋山好古が、第二軍の騎兵第二大隊長として遼東半島に上陸したのは、10月24日である。
好古の騎兵大隊は、旅順要塞の敵情を視察するために前進した。
いやぁ、リアルケンシロウ降臨ですなぁ(笑)。黒王号にのったケンシロウがNHKで見れるとは(笑)。
ってか、ほんのちょっと前に、リアル謙信公やってたんですからね、このひと(笑)。いやいやいや、
もう、阿部ちゃん、かっちょ良すぎて、同じ男性としても萌えますなあ(笑)。
しかも騎兵大隊がしっかり映像化されちょる(笑)。燃える、燃えすぎる(笑)。
ナニゲに金かかってるよねぇ(笑)。
旅順要塞は、東洋一もしくは唯一の近代要塞であることは、確かであった。
フランスの提督クールベ-は、旅順にやってきて
「この旅順を落としいれるには、五十余隻の堅固な戦艦と十万の陸軍を投入してもなお半年はかかるであろう」といった。
いやあ、旅順要塞も映像化されちょるよ。ま、ちょっとした砲台だけど、でもがんばってるよー。
こういうギミックがしっかり表現されていると燃えるんだよねぇー。
騎兵第一大隊宿営地
ところが、たいしたことはなさそうだ、と知ったのは、騎兵を率いている秋山好古であった。
なんだそうで。好古さん、部下に口頭で内容を伝えて文書を書かせております。
「第二軍大山指令官宛上申書」
「はい」
「当捜索隊の情報によれば、敵は旅順城を死守することは確実」
「は」
「旅順攻撃の最も有効な方法は、夜明けに乗じ、軍の主力をもって、旅順本道から水師営をへて
旅順市街にすばやく飛び込むことである」
なるほど、そういうわけですか(笑)。これ書いていく秘書役のほうが大変だね。
「入ります」と部下のひとりが入ってきます。
「大隊長殿、驚くべき情報が入りました。旅順要塞最高指揮官ロショウヨが、船でシーフーに
脱出したとのうわさがながれております」と何、もう落ちちゃってるってこと?。
「なんじゃと」と驚く好古さんです。
「日本軍が総攻撃をしかけんうちに、敵の最高司令官が逃げ出したというのか。信じられん」と好古さんの気持ちを代弁です(笑)。
「おい、確認してこい」と好古さん、あたりまえの対応です。
「は」と部下が駆け出します。
「おい、どういうことじゃ」とひそひそ声。
「わしにもわかりません」と軽く混乱する周囲なわけです。
なんてところへ、まあ酒好き好古さんのお約束なシーンが登場(笑)。
「酒はどこへおくんだね」と清国じいさん登場です。
「やっときたばーい」と皆酒好きなんだね。
「じいさん、ご苦労様」と言いたくなる気持ちもわかります。
「大隊長殿、活力の元は調達致しました」とうれしそうにこのひとは軍服きていない、通訳さんなんですね。
「きたかー」と好古さん、うれしそうです。
「よーじーさん、いつもすまんなー」と一発で機嫌の良くなった好古さん、清国じいさんにお駄賃をあげます。
「とっといて。しばらくこの家もつかわせてもらうぞな」っていうものの、けっこうやってることは横暴ですけど(笑)。
「また、たのむぞ」と通訳さんに言われて、ちょっと難しい表情のじいさんなんですね。
「わしは、軍人はきらいじゃ」と清国じいさんは素直に自分の感情を表現します。
「軍人は、皆、人殺しで強盗じゃ」と、確かにそのとおり。しかし、このじいさん役の俳優さんもうまいねえ。
「旅順でいばってる奴らもあんたもな」なるほど、清国兵も嫌いだったわけだ。
「早く、この村から出て行ってくれ」もらうだけもらうけど、でも、もう、どっかいってくれ、というわけですな。
「こんじいさん、軍人はすかんといっちょります」ちょっと言いずらそうな通訳さんです。
「よかー。そらそうじゃろのう。じいさんにしてみりゃ、迷惑千万じゃ」と、素直に相手に同調する好古さんです。でかい器ですな。
「おーい、手伝わんか」なんて通訳さんが仕事をしているうちに、好古さん、近くにある酒がめを手にすると、
おもむろに飲みはじめちゃいます(笑)。おいおい(笑)。
「大隊長殿、なんばしちょっとですかあ」とそれを見た通訳さん、好古さんを止めます。
「あー、うまい。毒はないようじゃ」とのんきな大隊長です。
「大隊長殿、毒見はおいが仕事ですけん」と大隊長の体を心配する通訳さんです。
「そうじゃったのう。ついまーちきれんでのう」とのんきな酒好き好古さんなのでした(笑)。
「はははは」
「はははは」と、周りも笑ってますし、信頼されている将なんですね、好古さん。
「熊谷、じいさんにいうてやれ。もうすぐ、いくさが始まる。うまく逃げるんじゃと」と通訳さんの名前登場、熊谷さんですね。
「いくさが始まるうまくにげろよ」清国じいさん、それを聞いてびっくらこいて、立ち上がりました。それに対して好古さん、酒あんがと、のポーズで、
「稲垣、報告の続きじゃ」と報告を始めます。まず、かめの酒を飲んでから(笑)。
好古は第二軍の司令官の大山巌にあて意見書を送った。
さて、このシーンは何を表現しようとしたのでしょうか。
脚本意図は、酒大好きな好古さんと、それを暖かく見守る部下達といったところでしょうか。好古さんが、部下から慕われているという表現ですかね。あと、通訳熊谷さんと、
部下の稲垣くんの紹介。それと、日本兵が土地のひとに嫌われているといったあたりでしょうかね。それに、好古がしっかりとした戦略眼を持っているという
話しも入ってますね。これは、次のシーンにつながっています。ということで、好古さんの将としての高い能力と、器のでかさを描いているということですかね。
アゲてるのは、好古さんになるのかな。サゲは日本兵全体でしょうか。これは清国じいさんの言葉で表現されましたね。まあ、戦争の現実というものも
しっかり表現しておく、ということでしょう。このサゲは、最初の「浪速」のシーンでのわくわく感に歯止めをかける効果を与えています。
一方の戦争の現実、という表現でしょう。日本人的な美徳表現という面については、「相手の立場にたって、モノを考え、理解することが
できる」、という好古さんの「じいさんにしてみりゃ、迷惑千万じゃ」というセリフに表されていますね。それと、うらみがましいことを清国じいさんに
言われても、怒りもせず、酒あんがと、の礼までおくる好古の態度にも表されています。いやぁ、勉強になるなあ。
ちなみに、このシーンは原作を膨らました感じですね。
大山は西郷隆盛のいとこであり、少年の頃からその影響を受けた。
いかにも薩摩型の指揮官で大将になるためにうまれてきたような大雅量をもっている。
いやあ、大山登場ですよぉ(笑)。しかも、米倉さん、大山の写真になんか、似てるんだよね(笑)。
ちょっと笑っちゃいました(笑)。なんか雰囲気もねぇ、いい味だしてます。素晴らしい(笑)。
そうかー、「翔ぶが如く」ではあんなに若々しかった大山さあも、こうなったということか(笑)。感慨深い(笑)。
第二軍司令部
第一師団長は、隻眼のため、独眼竜と言われた中将山地元治である。その傘下に二つの旅団があり、
旅団長のひとりは、少将乃木希典であった。
とこれまた、この本では悪役、というか無能に描かれる乃木さん登場です。
と、こういう役をやらせたら、天下一品の柄本明さんです。ちょっと影のある感じで一本義という感じなのでしょうか。
「皆読んでくれたか。さすが秋山、まっこてみごとな上申書じゃ」といかにも満足そうな大山さんです。というわけで、先程の好古さんがまとめた上申書ですね。
「敵兵の配置情報、状況分析、攻略法、共に明快じゃ。おいはこん上申書を元にして、作戦をたてもした」
と、周りを見回しながら話す大山さん、なんか愛くるしいんだよね(笑)。
「おはんらに聞いてもらいたか」と立ち上がり、説明をはじめます。
「旅順要塞防衛線の北、我が方の右翼に敵主力がかまえちょっとは明らかじゃ。我が軍の精鋭部隊をここにおきたく、ついては・・・」
と、突然立ち上がる乃木さんなのでした。
「んー?」と驚く大山さん。
「我が第一旅団を、右翼攻撃にお命じ頂きたい。我が旅団は金州攻撃の先鋒として、わずか1日金州城を陥落させております。
この勢いをもってすれば、旅順城は敵ではありません」
と一気に言い切ります。このひとは、思いつめるたちなのかな。
「乃木さぁー、おはんは7日の砲台攻撃でも師団長の裁可なし一気に攻略したち聞いちょりもす。うんにゃーその気概やよし」
とりあえず、ほめるわけですな(笑)。
「なにとぞ、我が旅団を右翼に」
性急すぎる感じの乃木さんです。
「うーん、まあ、おいのー作戦をちっとは、聞いてくれてもよかじゃろーうー」
とうまくまとめて座る、かわいい大山さあ、なのでした。笑いなんか漏れて、乃木さん、まわり見回したりしてるんですねぇ(笑)。
で、笑われながら、憮然と座る乃木さんなのでした。
どうも、性急すぎで、まわり見えてない乃木さん、という表現みたいですね。
このシーンについて考えてみましょう。
ここでは、大山さんの紹介と、乃木の紹介。乃木の性格の紹介、といったところでしょうか。まあ、ある意味悪役なんですけれど、
どう悪役なのかを、ここで紹介していると。性急で、まわりがみえない乃木さん、といったところでしょうか。
そして、大山さんのその大きな器ぶり。それを比較することで、さらにお互いを強調しあった、というところでしょうか。
アゲられたのは、大山さんで、サゲが乃木さんですね。日本人の美徳表現については、大山さんの「その意気やよし!」
という、相手のいい部分を積極的にほめる態度でしょうか。まあ、だんだん自分でも、無理にこじつけてるような気もしますがね(笑)。
このシーンは原作にはありませんが、乃木さんと大山さんの紹介ということで、補足的につくられたシーンというとこでしょうか。
と今回はここまで、なにしろ、一回の投稿の量が決まっているので、
それ以上になると、システムに拒否されちゃうんですよ(笑)。
ま、文章はできているので、別の回にわけて、投稿します。
では、つぎの投稿で(笑)。
>「わしは、軍人はきらいじゃ」
この部分、不自然だと思いますが。
というのも、中国では、確かに軍人と言うのは伝統的に軍人はゴロツキ、強盗みたいな
連中で、「よい鉄は、釘にならない」という諺があるくらいです。
しかし、その事を当の軍人相手にわざわざいうなんて、この老人はどれだけ命知らず
なんでしょうか。
さらに言えば、中国では「軍人は、皆、人殺しで強盗じゃ」と言う通り、兵士が物資を
調達するのに、代金を払わない事がしばしばあります。
従ってあの場面では好古がキチンと代金を払ってくれた事に対して驚く、というシーン
にするべきではないかと思います。
コメントありがとうございます。
いやぁ、いろいろ博学なんですねぇ。
素晴らしい。
>この老人はどれだけ命知らず
なんでしょうか。
そうですねぇ。そういう事実からすると、
彼は命知らず、ということになりますが、
記事にも書きましたが、このシーンの本質は、好古アゲですからねぇ。それに、ひどいこと言われても、「お酒あんがと」と言える好古を表現しようという目的があります。そのためには、あの老人にひどいこと言わせる必要があった、と
考えるべきなのかな?と思います。
だから、不自然と思われるのは、当然だ、
という結果になりますけど(笑)。
それより、表現したいことに重点をおいた、ということだと思いますねぇ(笑)。
>好古がキチンと代金を払ってくれた事に対して驚く、というシーン
にするべきではないかと思います。
そうですね。ただ、それをやってしまうと、日本軍アゲになってしまうんですよね。このシーンは、後の昭和軍人登場シーンにつながっているんですが、あそこで、昭和的レオ様曹長が横暴をやって、のぼさんが、清国人から、冷たい目で見られるシーンを効果的にするためには、日本軍アゲは絶対してはならない、と思うんです。だからこそ、あそこでも、ああいう表現にしているんじゃないかなあ、と自分は思います。
いやあ、議論が深まりました。
自分は知識が低いので、こういうコメントがとてもうれしいです。
どんどんお願いします。ありがとうございました。