趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

『ハードラック』 薬丸 岳

2013年11月11日 | 
薬丸岳さんの本、もう一冊です。
2011年の作品、『ハードラック』を読みました。



主人公相沢仁は、派遣切りにあい、ネットカフェ難民の日々の状況から
物語は始まります。
何とか人生立て直ししたいと真面目に考えているのに、
‘ハードラック’な出来事が次々に襲い掛かって最終的には、
警察に追われる事となってしまうのです。

息もつかせぬテンポで物語が進むので、どんどん引き込まれて読んでしまいました。
主人公の転落していく様が、現実社会で簡単に起きていることなので、
なんだか身につまされるというか、他人事、絵空事と切り捨てられない印象なのです。

文章も読みやすく、物語を丁寧に積み上げていく作風を感じました。

一つ、最後にどんでん返しがあるのですが、
このことに、早くから気づいてしまいました。
物語終盤、ああ、やっぱりと思ったのですが、
ひょっとして、それは作者の意図だったのではないかと、
読み終わって時間が経った今、感じるています。

物語の中で題名の言葉の説明がでてくるのですが、それが、切ない。
現実に起きている事件の数々が思い起こされて、ため息が出てしまいました。。