趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

『安部公房とわたし』 山口果林

2013年11月06日 | 
この本のことは、新聞広告で知りました。
山口果林さんというと、かつてNHKのテレビ小説のヒロインをなさった女優さん、
というくらいの知識しかありませんでした。

興味を持ったのは、‘安部公房’という名前です。
長い間不倫関係にあったことは知りませんでした。



高校時代の一時期、安部公房さんの作品を好んで読んでいたのです。
書店で手に入る著作は、そんなに多くなかったように記憶しています。
どの作品もなんと表現していいのか言葉に詰まるのですが、
不思議とその独特の世界へ入り込んでしまった事を、覚えています。

それきり、安部公房さんのことは忘れていました。

この本は、女優山口果林さんの自分史です。
簡潔な文章は、正直で潔い人柄がうかがい知れます。
ご自身で全部執筆されたのではないかと思いました。

表紙装丁に使われている写真が、まぶしいです。
たぶん、安部公房さんと出合ったばかりの果林さんでは?と思います。
若さにあふれ、きらきらときらめきを放っている姿に、
何ともいえない気持ちになりました。

いわゆる暴露本というものでは無いのですが、
実在した作家や俳優たちの名前も多く登場したり、
その私生活の多くが描写されているので、どうしても露悪的に感じてしまい
ちょっと苦手かも、と思ってしまいました。

人生という物のままならなさを、つくづく感じた作品だと思いました。。