趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

『食堂かたつむり』 小川 糸

2010年02月09日 | 
この本以前娘が読みたがっていたのです。
ちょうどタイミング悪く
買うことを逃したままになっていました。
すっかり忘れてしまっていた頃、
映画化の話を聞き
あわてて図書館に予約しました。

映画公開前に読み終わるといいな、と思っていましたが
先週、ぎりぎり順番が回ってきました。
でも、映画の情報もたくさんあふれているので
公開前にとか、こだわる必要無かったですよね^^;

小川糸さんの著作は初めてです。
とても良かったですよ~
読み易く、人柄の良い文章だと思いました。
こんなことなら早く娘に買ってやれば良かったです。
離れて暮らしていると、そんな所のフットワークが悪いです。



手痛い失恋をして無一文となった主人公のりんご。
中学卒業と同時に家出した故郷に帰るため、高速バスに乗り込む。
懐かしい故郷には、嫌いなおかんが。
料理の才能を生かし、再生の道を探していくお話。

先ずは、本格的な料理の数々がステキです。
身の回りにあるものを上手く使い
手作りしていく様は、心ときめきます。
食べる人のことを思い作る料理は
まるで魔法のよう。
とりわけ食いしん坊の私には
堪えられないモノでした。

そして、もう一つ、
母と娘の関係のこと。
‘心の中の泥水’を揺らさないよう
濁らないよう
すまし汁のように密やかに、暮らす。
それは、おかんを無視して暮らすこと。

絶望の淵に立った時、
食べることの楽しみを失う。
自分のために作る料理は色彩を失う。
心に沁みる場面に
共感とともに涙がこぼれました。
料理をしたいと思う気持ちが
主人公と同じだったのです。

映画も公開されましたね~
観に行こうかどうしようか、迷っています。
本が、とても良かったので。。