抗日テロ組織のアナーキストたちの話ではあるが、話の中心は男達のロマンといったほうがいいだろう。帰るところのない男達ではあるが、焦燥感はなく、革命の目標を見失っても「考える前に行動だ!」とどこまでも男のロマンを追い駆けようとする。これが最後になるかもしれないと何かある前に皆で撮る写真撮影にも、悲壮感はなく、どこまでもロマンを追い駆けるポーズのようにしか見えない。
画面もチャン・ドンゴン、チョン・ジュノという二人の花美男を中心に、上海がオレンジ色の照明で綺麗に映し出されていく。
キム・イングォン、イ・ボムスなど美男でない脇役も印象的だ。
出演者一人ひとりに見せ場を作ろうとした観があり、それ自体は成功していると思うがそのせいで印象が散漫になったのは確かだ。
オールド・ボーイのパク・チャヌク監督が脚本担当だが、オールド・ボーイの毒気はどこにもなく、追い駆けているのはあくまでも男のロマンだ。
ファンには当たり前と言われそうだが、チャン・ドンゴンが非常に格好良く撮られており感心する。30分余りで姿を消すのもかえって印象的だ。
トレンチコートを着、料亭へ一人暗殺に乗り込んで行く後姿。くわえタバコで拳銃を構える姿、なびくトレンチコートの裾など、チョウ・ユンファファンとしてはいつかどこかで観た場面なのだが、それさえも非常に格好良く見える。
このビデオを借りる気になったのは、主題歌をレオン・ライ(黎明)が歌っているからなのだが、(韓国ではヨンミョンというらしい)「オヌリ マジマキエ~ ケンチャナヨ イジェ ハンケハヌンゴ~」今日が最後だ。大丈夫。いつか一緒に・・・レオン・ライ(黎明)がケンチャナ(大丈夫だ)と歌っているのを聞くのはなんだか不思議な気分だった。