再び須賀しのぶさんの本「神の棘」1巻、2巻。舞台は同じくドイツ。
前回「革命前夜」を読み、全く知らなかった作家ではあるが、また別の著書を読んでみたいと魅かれた。
「革命前夜」同様、なんとも濃い重たい内容。途中で読むのが辛くなるほど。
あらすじは私の筆力ではとても表すことができない。
そこで無断ながら裏表紙に紹介された内容をここに記させていただく。
「神の棘」Ⅰ
1935年、ドイツ。若く優秀な保安情報部員アルベルトは、党規に従い神を棄てた。
そして上官のハイドリッヒから、ヒットラー政権に反発する国内カトリック教会の摘発を命じられる。
一方アルベルトの幼馴染マティアスは、大恐慌で家族を失くし、修道士として静かに生活していた。
道を分かれたはずの二人が再び出会ったとき、友情と裏切りに満ちた相克のドラマが幕を開ける。
全2巻連続刊行の歴史ロマン大作。
「神の棘」Ⅱ
1940年代、次第に狂気を暴走させるナチスドイツ。
SS将校アルベルトはユダヤ人の虐殺部隊と怖れられた特別行動隊の任務に赴き、この世の地獄を見る。
一方司祭を志していたマティアスも衛生兵として召集されて前衛で、自らの無力を噛みしめていた。
地獄の底で再会した二人は、思わぬ共通の目的の下、ローマを目指す。
その先に待つのは、絶望か、希望か。
心を揺さぶる衝撃の結末が待つ歴史ロマン巨編完結編。
と紹介されていますが、それはそれは重い内容だった。前回「革命前夜」以上!
友情とは、愛とは、信仰とは、神とは?無宗教の私も深く考えさせられた。
戦闘場面ではあまりに残酷壮絶な描写に恐怖を感じ、先に読み進むのが辛くなったりもした。
ナチスの独裁政治、ユダヤ人の虐殺は全世界知るところ。今更ながら許せないと思った。
そして後半は次々と謎が解けていき、衝撃の真実が明らかになっていく。一気に読了。
地名、その他宗教的な横文字に少々混乱する部分も無きにしも非ずで、
願わくば、作者にもう少し具体的な言葉の説明が欲しいと思った。
結末はあまりに悲しく苦しい、最後は涙腺崩壊。胸に迫るずっしりと重たい歴史小説。
歴史的検証の見事さに、須賀しのぶという作家の偉大さを思い好きな作家のひとりになりそうだ。
しかし今しばらくはもういい(苦笑)。次は優しいほんわかとした温かい作品が読みたい。