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大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

虫たちの冬越し その3

2012年03月09日 | 昆虫

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生き物たちの姿が見えないこの時期、虫たちはどうしているのでしょうか?立ち枯れした朽木をのぞいてみました。

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シデムシでしょうか。急いで身を隠そうと移動しています。

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幼虫(キマワリの仲間)でしょうか? 木クズの間から這い出してきました。

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コメツキムシのようです。朽木の中にもぐろうと必死です。

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スズメバチの女王蜂も越冬していました。ほとんど身動きせずちょっと刺激を与えると足を動かすくらいです。

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新女王のスズメバチは10月頃羽化し、雄と交尾した後に朽木などで越冬し、越冬から目覚め巣作りを始めるのは5~6月頃です。巣作りを始めるまでの半年以上の間、体内にため込んだ脂肪を栄養にして全く餌もとらずに長い越冬生活を送ります。

<スズメバチの生活史>

越冬から目覚めた女王蜂は単独で巣をつくり、働き蜂の卵を産み、この働き蜂が成長すると今度は働き蜂が中心となり、巣を大きくします。女王バチは産卵に集中し、夏の終わりごろには雄蜂や新しい女王蜂の卵を産みます。秋には雄蜂や新しい女王蜂が巣立ち、別の巣の雄との交尾を終えると来年の巣作りまで越冬します。

つむぎの家の里山では雄の雉が繁殖期を前に「ケーンケーン」と甲高い鳴き声を響かせ、盛んに自身の存在を雌にアピールしています。春の訪れもまもなくでしょうか。


虫たちの冬越し その2

2012年03月08日 | 昆虫

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イラガのまゆ

縞模様の卵型はイラガのまゆで、秋にまゆをつくり、その中で越冬します。

5~6月頃まゆの中で脱皮して蛹になりそして羽化し、成虫としてまゆから出ていきます。長い期間まゆで過ごすためか、まゆはとても硬くで頑丈です。白と黒の模様は天敵の鳥の糞に擬態したものと言われています。

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”スズメの小便たご”

すでに、イラガが羽化して成虫が出てしまったもので、小さくて硬いツボ型の入れ物になることからつけられた愛称です。ツボのようにきれいな切り口ですね。

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ウスタビガ

卵で越冬するウスタビガですが、茶色に染まった落葉の中にウスタビガの鮮やかな緑色のまゆが落ちていました。拾い上げてみると蛹が入っている様子、本来は晩秋に成虫になるのですが何らかの理由で落下し、成虫になりきれなかったようです。

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この時期に目にするウスタビガのまゆはからまゆですが、このまゆは、羽化した時の出口である上部がふさがっていて横に穴があいています。羽化する前に鳥につつかれ食べられってしまったようですね。

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高さ5m程の木の枝には、一枚の木の葉と共にウスタビガのまゆが軽やかに風になびいていました。順調に羽化したウスタビガのからまゆと思われます。

冬の枯れ野では目につくウスタビガのまゆですが、羽化する前は木の葉とみまごう色合いで、周りに同化しています。

落葉する前に羽化し、羽化した雌はお腹が卵でパンパンに膨らんでいて、羽化を待ち構えていた雄がすぐに交尾をするのでまゆ殻の上に産卵することが多いそうですが、あいにく卵は見つかりませんでした。

卵で越冬するウスタビガ、まゆを作って厳しい寒さから身を護るイラガと虫たちの目覚めの日までの生き残り戦略には感心しますが、半面、自然界の厳しさも感じますね。


冬越しの木々 ~冬芽と葉痕~  その19

2012年03月06日 | 樹木

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クマノミズキの冬芽と葉痕

クマノミズキの冬芽は、ミズキとは違って裸芽で黒っぽい短毛が密生し、頂芽はペン先のようにとがっています。葉痕は三日月形で上向きに突出し、冬芽を囲んでいます。

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クマノミズキ(ミズキ科) 対生

クマノミズキの由来は三重県の熊野に産するミズキという意味だそうですが広く分布しています。樹皮はミズキに似て縦に筋が入り、春に幹を切ると大量の樹液を出します。葉のない枝先が、陽の光を受けて赤く華やいでいました。

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マユミの冬芽と葉痕

マユミの冬芽は、紫褐色の水滴形で頂芽の脇に側芽があり枝先が賑やかです。葉痕は、半円形で真白く目立ち、大口を開けて笑っているようにも見えますね。枝は緑色で4稜です。

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マユミ(ニシキギ科)

マユミは昔この木で弓を作ったのでこの名がついたそうです。

樹皮は灰白色で老木になると深い裂け目が入り、遠くからでも同定しやすい木肌になりますがこの木はまだ若木です。

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アオハダの冬芽と葉痕

アオハダの冬芽は、短い円錐形で淡い褐色、葉痕は、半円形で維管束痕は弧状です。全体では冠をかぶった王妃に見えますね。

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アオハダ(モチノキ科)

アオハダの名は、表皮をはがすと緑色の内皮が現れることによります。樹皮は灰色で皮目が点在しています。

昨日は24節気の啓蟄、一日中雨が降り、野山に積もった雪もほとんど融けました。まさに暦のごとく、冬の厳しさに耐えていた動物も植物も寒さから解き放され、目覚めのスイッチに切り替わったようです。


冬越しの木々 ~冬芽と葉痕~  その18

2012年03月05日 | 樹木

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マタタビの冬芽と葉痕

マタタビの冬芽は、枝の中に半分埋もれ、先だけが見えます。葉痕は円形でほぼ真ん中に維管束痕が弧状に残っています。

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マタタビの盛り上がったふくらみを削ると、緑色の冬芽と維管束痕が出てきました。

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マタタビ(マタタビ科)

マタタビの語源は、旅に病んだ人がこの実を食べて元気になり、また旅をつづけたからという薬効説があるようです。長い間放置された森で、長径5㎝ほどの蔓が地を這うようにしてたくさんの枝を広げていました。

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サルナシの冬芽と葉痕

サルナシの冬芽は、葉痕の上のふくらみに冬芽が埋もれ見えません。葉痕は円形で凹面鏡のように凹んでいます。

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サルナシを縦に切ってみると隠れていた冬芽と髄の隔壁が見えます。

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サルナシ(マタタビ科)

サルナシは、猿が食べる梨という意味だそうですが、人間が食べてもおいしい実です。昨年は大豊作で、秋の自然からの恵みとして、その恩恵にあずかりました。

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ツルウメモドキの冬芽と葉痕

ツルウメモドキの冬芽は、球形で枝からほぼ直角に出ています。葉痕は半円形で維管束痕は引き出しの取っ手のようですね。

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ツルウメモドキの断面。冬芽が重なりあった芽鱗でしっかりと保護されています。

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ツルウメモドキ(ニシキギ科)

ツルウメモドキは、ウメモドキに似てツル性なのでこの名がついています。直径4㎝ほどの太さに生長したツルウメモドキで昨年、見事な実をつけました。

ツル性の植物が、長年放置された森に縦横無尽にはびこり、ジャングルを作っていますが、葉が生い茂ると見通せない藪の中も、この時期ならではのツル植物の木肌や表情を見ることができます。雑木林の木々達も冬木立の中で、それぞれの個性を主張し、美しい樹形を見せてくれています。


冬越しの木々 ~冬芽と葉痕~  その17

2012年03月03日 | 樹木

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ヤマウルシの冬芽と葉痕

ヤマウルシの冬芽は、裸芽で茶色の毛を密生し、葉痕は大きなハート形で維管束痕がV字形に並んでいます。

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ヤマウルシ(ウルシ科)

ヤマウルシは漆器などに塗る漆をとるウルシに似て、山に生えるのでこの名があり、樹皮は白っぽく縦に裂け、樹液はかぶれます。

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クサギの冬芽と葉痕

クサギの冬芽は、裸芽で赤紫色の毛が密生し、側芽は球形で対生、葉痕の形はユニークで狐のお面のようにも見えますね。

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クサギ(クマツヅラ科)

クサギは、枝や葉を傷つけると悪臭があるのでこの名がありますが、果実は染料、根は薬用、若葉は山菜として利用価値の高い木です。樹皮は灰白色で丸い皮目がよく目立ちます。花も実も美しく、折々に楽しめる樹木の一つですね。

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ツタウルシの冬芽と葉痕

冬芽は褐色の毛におおわれた裸芽で、頂芽は長くてとがり、側芽は小さくて丸い形をしています。葉痕はハート形で維管束痕ははっきりしません。

ツル性で枝には毛が多く、気根を出して地面を這ったり、木に絡み付きよじ登っていきます。

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ツタウルシ(ウルシ科)

ツタウルシは木質のつるがツタに似ているウルシという意味でこの名があります。写真はツルから気根を出して杉の木に絡み付いたツタウルシです。

肌の弱い人はそばを通っただけでもかぶれることがあるそうですが、秋にはハッとするほど見事な紅葉を見せてくれます。

四季折々に姿を変え、一年を通して私たちの目を楽しませてくれる木々達のスタートは、小さな冬芽から始まると思うと、どんな植物も愛おしく思えます。