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大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

冬越しの木々 ~冬芽と葉痕~  その16

2012年03月02日 | 樹木

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イワガラミの冬芽と葉痕

イワガラミの冬芽は、オレンジ色の芽鱗に包まれ、毛が密生し、葉痕は大きな三角形で魔法使いのおばあさんのようです。

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イワガラミ(ユキノシタ科)

イワガラミの名は、大きな岩や木に絡んで生長する生態そのものに由来。ツル性植物で写真は、気根を出してウワミズザクラの木に絡んでいます。

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アズキナシの冬芽と葉痕

アズキナシの冬芽は、水滴形で4~5枚の芽鱗に包まれつやがあり、葉痕は、半円形で維管束痕は、はっきりしません。

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アズキナシ(バラ科)

アズキナシは、果実が小豆に似て梨のような石細胞を持つのでこの名があり、山林の開けた場所に自生しています。

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アズキナシの樹皮

木肌は、黒紫色で白い皮目が散在し、あたかも目盛のように見えるので、ハカリノメ(秤目)とも呼ばれています。

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バイカツツジの冬芽と葉痕

バイカツツジの冬芽は、頂芽の周りに側芽が集まり、長卵形で先がとがっています。葉痕は心形で真ん中に維管束痕が見え、大きな口をあけて深呼吸しているようです。

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バイカツツジ(ツツジ科)

バイカツツジは、花が梅の花に似ていることからこの名がついています。裏山の一角のほとんどがバイカツツジですが葉に隠れるように花が咲くために目につきにくく、花の最盛期を見逃しています。

1週間前に今冬初めての大雪(15㎝)が降りましたが、昨日は作業をしていて汗ばむような温かさでした。陽の光が雪を溶かしポトンポトンと滴る水が、春の足音のように聞こえてきました。


冬越しの木々 ~冬芽と葉痕~  その15

2012年03月01日 | 樹木

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ハクウンボクの冬芽

ハクウンボクの冬芽は、柔らかい毛が密生し、主芽と副芽(予備芽)が縦に並んでいます。

主芽が副芽を包む姿は、幼子を優しく抱くお母さんのようです。副芽は主芽が何らかの理由で生長できなかったときに代ってその役割を果たしますが、主芽が順調に生長した時には、消えてしまうそうです。

植物が万一に備えてここまで準備するとは驚きですね。

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ハクウンボクの葉痕

葉痕は、冬芽をぐるりと囲むO字形で、裸芽の冬芽を大切に守っている姿ですね。

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ハクウンボク(エゴノキ科)

ハクウンボクは、白い花が群がって咲く様子を白雲に見立ててこの名があり、樹皮は、茶褐色の縦筋が入るが、全体では黒っぽく林内ではよく目立ちます。

花期の5月、黒い木肌に垂れ下がって咲く真っ白な多数の花は白雲そのものです。

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ナツハゼの冬芽と葉痕

ナツハゼの冬芽は卵形で先がとがり、葉痕は三日月形で全体では森の小人のようです。「森のこかげで ドンジャラホイ、しゃんしゃん手拍子 足拍子 太鼓たたいて笛吹いて・・・・・♪」

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ナツハゼ(ツツジ科)

ナツハゼの樹皮は、灰褐色で縦に裂け、縦長の薄片になってはがれ、枝には腺毛が密生します。

熟したナツハゼの実のジャムは、最高の食味です。

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コシアブラの冬芽と葉痕

コシアブラの冬芽は、円錐形で先がとがり硬い芽鱗に包まれています。葉痕はV字形で枝をほぼ半周し、複雑な紋様を刻んでいます。維管束痕が多く、ネックレスで着飾ったおしゃれな姿にも見えますね。

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コシアブラ(ウコギ科)

コシアブラは、代表的な山菜の一つで、名は樹皮からとる油を漉して塗料として使ったことに由来。樹皮は平滑で楕円形の皮目が多い。

秋の黄葉は薄く抜けるような独特の色合いで、五葉の葉が逆光で見ると透けて見えます。

冬の寒さや乾燥から身を護るために、冬芽に細かい毛を密生したり、芽鱗で覆って春を待つ木々たちの、様々な冬越しの知恵には感動します。中でも、もしものために副芽を用意するハクウンボクの危機管理能力には学ぶところがありますね。