「カルメンの白いスカーフ 歌姫シミオナートとの40年」 武谷なおみ著 白水社
日本を発つ前に新聞の書評を読んで慌てて購入したこの本、本好きな私の嗅覚は衰えていなかったと嬉しくなったと同時に、久しぶりに夢中で最後まで一気に読み、ページが残り少なくなるのがもったいなくて悲しくなるような本でした。
音楽は好きで自分で楽器を弾くこともコンサートへ足を運ぶこともありましたがオペラについては全く知りませんし、イタリアにさほど興味があった訳でもありませんでした。
作者であるイタリア文学者武谷なおみさんと20世紀最大のディーヴァことメゾソプラノ歌手ジュリエッタ・シミオナートさんの不思議なめぐり合せの物語です。
小学校5年生の武谷なおみさんがある日、TVでシミオナート演じるカルメンを見た瞬間、武谷さんの人生にシミオナートとイタリアが流れ込んだと言います。
そのTVは武谷さんのおばあさんが「ここへ来てテレビの前に座んなさい。五分間だけ我慢して聞いてごらん。今夜の歌手はほんものやから。五分たって嫌やったら、遊びに戻ってよろしい。」と叫んだことがきっかけ。武谷さんのおばあさんは大正元年に初めて故郷を出て東京音楽学校に入学したハイカラさんだといいます。
このおばあさんがその番組を見ていなかったら、またこの出会いは別のものになっていたはずでまさに運命の不思議です。
そのTVで見たシミオナートに魅せられて10歳の少女が片言の英語でイタリアへファンレターを書くのです。そしてシミオナートもイタリア語の短い返事を送り、それ以来40年過ぎた今も続く「イタリアのマンマ」「ちいさな日本の娘」の交流が始りました。
誰もが絶賛する芸術性と美声を持ちながら、ファシスト達の後ろ盾がないばかりに10数年も日の目を見ることが出来なかったシミオナート、惜しまれる時に引退、引退後も後進の指導などで95歳の現在までまさにディーヴァの輝きを失わないシミオナート。
そんなシミオナートの92歳の誕生日に武谷さんが「カーサ・ヴェルディ」でイタリアのマンマに捧げる講演をバースデープレゼントとして行った時、講演後に武谷さんにシミオナートが駆け寄り「今日は発音のミスがひとつもなかった」と囁いたシーンにシミオナートの飾らぬ愛情、そしてそんなシミオナートに愛される武谷さんを祝福したくなりました。
因みにカーサ・ヴェルディと言うのは、かの有名な作曲家ヴェルデイが生前「音楽家の為の老人ホーム」をと言う構想で建てた「憩いの家」。土地の購入から工事費まで全てを自前、その後の運営もオペラの印税でと定められていたそうです。入居者の誇りを重んじて「保護される人」ではなく「客人」と呼ばれるよう遺言されたと言います。
こんなことを読んでいると、ヴェルディにまで興味が沸きさっそくシミオナートが歌う歌曲「運命の力」が入ったCDを探してしまいました。そしてこの曲は高校時代ブラスバンドで演奏した思い出の曲でもあります。ここにもちょっとした巡りあわせがあったのかもしれません。
いつもありがとうございます。よかったらクリックしてみて下さい!→
もうお身体のほうは大丈夫ですか?明日はおやすみ!写経写経!!!
トルコに来て何が悲しいかって、本屋で衝動買いが出来ないことかなあ。アマゾンでは時々購入していますが、やっぱりお気に入りの本屋で時間を忘れて本の背表紙を眺める時間が懐かしいです。
そちらはまだ雪景色なんですねえ。一緒に歌おう!「はるよこい は~やくこい」♪♪♪
ご無沙汰しています。
私も本好きで、面白い本との出会いの嬉しさはとてもよく分かります。
面白い本って一気に読むのがもったいなくて、読んで閉じて、また開いて閉じて・・と繰り返してしまいます。
山形は今日の朝も雪がチラチラ。
「春よこい は~やくこい」
と歌いたくなってしまいます。
そんな・・・すごいってことではないのですよ。いまいちシステムもよくわかっていないんです。
いつも読んでくださって本当にありがとうございます。最近イズミル色があまりないですよねえ。今週末は出来たらハイキングに行きたいと思っているのでその写真が紹介できたらいいなあと思っております。
ランキング、拝見…
読ませて頂いているだけの私なのに自分のことのようにとってもうれしいですーーー♪
もっともっと応援しなくっちゃだわ\(^ ^)/
coskunさん一家にとって、去年はまさに巡りあいの1年だったんですものね。今年はもっともっとその輪が広がりそうな予感。そのレストランさんへは営業で行ったの?近くなら良いお客様になっていただけそうですね。元D社の人ってcoskunさんの知ってる方?
お店のほうは順調ですか?ブログ更新してよー。
世の中の不思議さって、本当にたくさんありますね。人と人との出会いが、まさにそうなのでしょうね。
今日行ったレストランさんは、以前D社パンの大好きで購入していた方で、長野になくなってから、元D社のところで作っていた方のところにお願いしていたのだそうです。
しかし、それも今月末でその方が、辞められるそうで、よいパンが入らなくなって困っていたのだそうです。
そこへ、私がたまたまうかがったので、すごい驚いて。D社との縁をとっても強く感じでいただいてくれました。
D社はすばらいし会社ですと改めて感じましたし。「縁」を強く思ったしだいです。yukacanさんたちとも本当・・・・。耕太。
こんにちは!ご訪問&コメントどうもありがとうございました!「勇気を出して」だなんてそんなあ。恐がらないでくださいよう。「運命の力」amazonでCDを購入したので、そのうち日本からの荷物で届く日が待ち遠しいです。
うちもちょうど1年前に今の家を購入したんですよ。40件近く見ました。見るととんでもない家ばっかりですが、見た目にだまされないで、立地と環境、間取りが気に入ればリフォームで見違える様になりますよ。だからやっぱり予算の一部はリフォーム資金にまわすつもりでいらしたほうが良いと思います。どの辺にお探しですか?お手伝いできることがあったら遠慮なく言って下さいね。
またお待ちしております!
SuuSuuさん
ホント、つい力が入ってしまいましたわ。日本だとちょっと会社帰りに、本屋へ寄れていいなあ。もう!でも「ちょっと」のつもりがついつい夢中になってバスに乗り遅れたりするんですよね。SuuSuuさんも終電に乗り遅れないようにして下さいね!
「縁」って本当に不思議です。10歳の女の子のファンレターに返事を書くディーバなんて最高だと思いませんか?
「縁」って好きです。何でもきっかけがなければ始まらないし、で、出会うべく出会ったって感じの必然もあり、で、少なからずいろんなものと繋がっていて・・・ちょっとした繋がりが見つかっただけでもすごく嬉しくなったりして♪
あ・・・コメントが長くなっちゃった^^;
以前から、度々お邪魔していたのですが、今日は勇気を出して始めてコメントします。
運命の力、私も好きです。ご紹介していらっしゃる本も是非読んでみたいと思いました。
イズミルにお住まいなんですね。
私達夫婦も、イズミルでお家探しをしています。なかなか思うような物件がなくって難航中ですが、イズミルは大好きな街です。
イズミルのお話し、毎回楽しみにしています!
またお邪魔します。
初めまして!ご訪問&コメントどうもありがとうございます。アルサンジャックご在住、もう長いのですか?また遊びに来てくださいね。
めぐっちさん
シミオナートのことはあまり書けなかったけれど、とても魅力的なのです。雲の上のプリマドンナなのに本当に武谷さんに対する母親のような気持ちが手紙の文章からもにじみ出ていて、私だったらこんな心遣いができるだろうか自信がないです。
おばあちゃんのこともきっと1冊の本になるくらいユニークな方なんだろうと思います。
2人は めぐり合う様になっていたのね。なんだか yukacanさんの説明も熱が入ってて、私も読んでいる内にぼーっとなりました。
その おばあ様がキー人物というのも、何やらとっても味わい深い。
早く 読みたくなりました。