こ と の 端

散文でロジックを
環境 経済 エネルギー 電気 教育 などの "E" に関するちょっと気になったこと

現 状 認 識

2016-05-29 08:05:53 | Weblog
アベノミクスが目指している

デフレ経済からの脱却

の成果

を証明するのは

インフレ経済の定着

という結果

以外にあり得ない


物価の上昇を先行させたアベノミクスは

円安誘導で株価を高めはしたものの

その後は低迷する状態を長期化させた


金利と所得の上昇が

脱デフレ路線から取り残され

国民は買いたいものを眺めながら

手を出せない

という状況へと

追い落とされた

浅薄な理解を土台とする

誤った経済政策を推し進め

ちから技で経済効果を

強制的に

引き出そうと試みた


国民は消費したいと思っていながら

低下する一方

となった可処分所得を前に

欲求を我慢するよう迫られ

政府日銀が下した決定

によって

消費行動を強く抑制させられていた


インフレという言葉の定義は

貨幣価値の下落

であるととされており

物価の上昇という

アベノミクスが目指した状況の変化



インフレの結果であって

ただの表象

に留まっていた

この違いに気づかなかった

ということが

インフレ目標とされたレベルへの到達を

着実に遠ざけていた


貨幣価値を引き下げようとして

円安誘導を行っても

それは

国際収支の黒字幅を

際立って

浮き上がらせ

円がもつ貨幣価値の信頼度

を却って高める方向へと作用した


内閣の持つ独善的姿勢

が産み落とした一連の経過は

ドル高となることを余儀なくされた

アメリカ経済にとって

強いマイナス効果を及ぼすものとなり

円高圧力を逆に高めて

ドル安となって日本へと上陸する

還り来る潮流を

一際波立たせるという経過を生んだ


当初一ドル80円だった為替相場は

量的緩和による円安誘導効果で

たちまち反転することとなり

125円台へと

一気呵成に

価値の喪失を日本市場に生み落とした


円の価値は50%下落し

国民は輸入物価の上昇を

甘受するよう

アベノミクスによって

強いられた


購買力平価が半減したことで

国民の可処分所得は

その影響を強く受け

消費行動を更に抑制する結果を招き

GDP成長率に

政府内閣にとって不本意な

マイナス記号の付いた差をつけた


同時期に消費税率が更に3%高められ

8%へと達してしまったことから

消費市場は

駆け込み需要が一巡するとすっかり冷え込み

総需要の低下を

その後永く顕在化させるようになり

経済成長率に重大な影響

を及ぼす経過を引き寄せた

為政者にある問題認識能力の欠如は

この時点で既に明白なものとなっていた


貿易収支の日本の黒字幅の拡大は

取りも直さず

アメリカにとっての貿易赤字の増加となり

意図的な円安誘導を図ってきた経済政策

に対して

為替監視国のカテゴリーを適用して

為替介入行動を自制するよう

強い圧力を

アメリカは日本に対しかけてきた

経過の拙さが示す

政府筋の読みの甘さは

最早隠しようがなくなっている


通貨価値の下落を急ぐことができなければ

インフレの誘導目標到達は

明かに不可能

ドルの信認に疑問符がつく変化が起きれば

資本市場では急速な円高が現実化する

円に備わる通貨価値の下落

を政府日銀が急いでも

マネーゲームの参加者となっている

主だったプレイヤーのすべてが

円への逃避を急ぐようになったとき

通貨価値の制御できない勝手な上昇

にアベノミクスは苛まれる

この経過はインフレに逆行する事案


インフレ経済が成り立っているのであれば

通貨価値の下落と金利の上昇

は連動して起きていなければならず

可処分所得の減少を埋め合わせようとして

所得の上昇がそれに追随する

という経過が顕在化していた筈


FRBが公定歩合の上昇を急ぐのは

インフレ経済の定着を

内外に示すための措置

金利の上昇が起きなければ

所得の増加は生まれない


アベノミスの欠陥は

問題の本質を

初めから完璧に見失っていた

という点に集約できる


インフレ経済を定着させたいのなら

金利の上昇を急いで

所得の向上で

国民の資産増加と

消費意欲を刺激する必要があった

だが

政府日銀がやったことは

量的緩和の異次元規模の実施と

それで飽き足らず追加措置を講じた

過去に経験のないマイナス金利の実施

という大博打

現実認識能力の欠如

を歴然と露わす誤った経済政策の

連綿たる無意味な実施


アベノミクスが早晩失敗に終わる

と実施以前から指摘してきたその理由



ここにある


国債の金利が高まれば

既に千兆円を突破した債権利息は相応に高まり

たとえ国民の担税能力が高くあっても

国債の発行と市中消化は困難となり

買い手となるのは日銀だけ

という事態へと発展する可能性が

際立って高まる


格付け機関が行っている

国債の評価レベルが下がったとしても

一億二千万人以上の人口が生み出す担税能力が

借金まみれの日本国債の価値を維持させ

外国人投資家の売り浴びせを受けても

日銀が全量吸収できることから

国債価格の暴落が

日本市場で起きるということは

当面杞憂


マイナス金利が債権市場に悪影響を及ぼすと

日銀による全量買い取りが

損失を増やす追加の要因となり

投資適格を日本国民が独自の判断で

勝手に疑う

という不測の事態を招き兼ねない

将来の懸念材料として

こころしておくべきことだろう


国債などの格付けが必要となったのは

人口の少ない国家が

担税能力を超えた債権の発行

を重ねた場合にみられる

債務不履行が懸念される事態となったとき

海外投資家による損失防衛のための一斉売却が

デフォルトのトリガーとなる


この事例はギリシャを

国家破綻の瀬戸際にまで

先年追い詰めたことで

記憶にまだ新しい


借金の取り立てを回避するためには

膨大な金額の債務を背負う

に勝る有効な方法は

他にない

重ねた借金の更なる追加支援

を債務国が引き出すためには

債務規模と

債権者の数が

多ければ多いほど

寧ろ安全

という条件が整う

ということなのだ

古代ギリシャの時代で既に

この認識は一般化され

共有化されていた

カエサル(ジュリアス・シーザー)も応用した

この手法が

人質となった己が身を延命させ

ローマ帝国を誕生させた

という経緯が歴史に残されている


二千年以上の年月を経て

ギリシャ政府もまたこの手を用い

債務不履行に陥る寸前のところで

若き戦略家のチプラス首相は

EU諸国から追加融資の支援を

引き出すことに成功する

という結果を得た


日本では健全過ぎるほど健全な国際収支の黒字が

原油相場の唐突な下落で実現し

日本国債の安全性を

それが保障するという機能を発揮することとなり

投資会社による格付けを

意味のないものにした

評価のランクが譬え最低になったとしても

国際収支の黒字が保たれていれば

日本国債の価値は

通貨価値の向上を前提として

大いに高められている


日銀が買った国債に付随する利息は

日銀の剰余金として

毎年収支報告書に計上され

運用成績を確定させた後

国庫納付金として

政府が自由に使える資産へと

組み入れられる


これが膨大な借金を抱えた政府に

不毛な経済政策を

延々と

とらせてきたその裏側の理由

政府に学習能力と経済認識能力とが

共に備わっているのであれば

日本は国際経済を牽引する役割を

アメリカに代わって執行する

役割を夙に任されていたことだろう

そこにこの国の本質的な欠陥

というものが隠されている


経済は

「場」

の力学で

成り立っている

薄っぺらな経済知識を振りかざしたところで

問題の本質が見えていなければ

一切の政策は

損失の糧となることができるのみ

この国の余りにも不毛な現状は

その結果
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