こ と の 端

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種 撒 く 人

2010-01-16 13:34:06 | Weblog
2010年 を起点とした 

2019年の暮れまでにかけての10年間で

二酸化炭素の排出量を25%減らすことが

この国の政府に

ほんとうにできるのだろうか

(チャレンジ25では、期限を2020年までとしている)


毎年2.5%ずつ確実に減らしていくことができなければ

この目標は画餅に帰す

問題を先送りするようになれば

後の展開は

年ごとにより窮屈なものとなる


京都議定書の削減数値であるマイナス6%でさえ達成できていない現状で

10年後の25%削減という目標設定は

無謀だとしかいいようがない

97年の京都会議から丸12年が経過した現在

二酸化炭素の排出量は確実に増えている

この期間に脱温暖化対策が取られていなかったという訳ではない

国を挙げて積極的な対策が取られていたのである


デフレと呼ばれるようになった2008年度の実績では

経済活動が低下して

産業分野で発生させたCО2は大きく減っていたのだったが

民生分野では大きな変化はみられなかった

経済活動をこれからマイナス方向へと導いていく以外に

現状で

二酸化炭素濃度を減らす有効といえる具体的な方法は

存在しないということなのだ


実効のない名目値を積み上げることによってでは

温暖化防止に貢献したということにはならない

自然エネルギーをどれほど大量に導入したところで

交流送電の系統に連携をとっている以上

火力発電所の稼働率に影響を与えるというのは

永久に不可能なこと

インフラを構成する仕組みそのものが

温暖化対策を受け付けないようなものになっている

要するに

手の打ちようがなくて当たり前

ということだったのである


国が本気で温暖化を止めたいと願うのであれば

エネルギーシステム全体を速やかに見直さなければならない

必要な正しい診断をナオザリにしたままの状態では

それがどれほど優れた対策であったとしても

実際に二酸化炭素の排出量を減らすという効果を

引き出すことはできない


問題というのは

これまでの経過に文明自体が盲目になっている

という点に集約されている

つまり

現実認識がなされていないにも関わらず

太陽電池や風力発電を多用すれば

火力発電所の負担を減らして

化石燃料の消費を抑制できる

と単純に信じ込んでいる

ということにあったのだ

経過と結果との関係を

検証することができていたにも関わらず

データの示す意味の確認を怠り続けていたのだったから

いつまでたっても二酸化炭素の排出量が減らなかったということなのだ


困難な状況が与えられているということに

人類はまったく気付けなくなっている


一向に止まろうとしない温暖化現象は

旧態依然たるエネルギーシステムを墨守しようとする勢力が生み出した

人災

にほかならない

現実を正しく認識することができないでいるあいだ

二酸化炭素の濃度は

国際会議を頻繁に開いたとしても

減るどころか

反対の結果である増加だけを連れてくる


パラダイムシフトを引き起こすためには

行き詰ったこの状況が更に悪化するまで待たなければならない

既存の方式で満ち足りているうちは

温室効果が募り続けていても

人類は環境異変に耐えて忍ぶことしかできない

問題の所在が目に見えるようなものになった段階で

長い眠りについていた各種技術の発掘作業が

世界中で一斉におきるようになるだろう


石油や石炭などの炭素系資源は

熱エネルギーとなった段階で

酸化剤である酸素分子と化合して

CO2 という酸素化合物となる

メタンCH4に代表される炭化水素系資源なら

酸素と出会うことによって一つのCO2分子と

二つのH2O分子を同時生成することになる

ガスを燃やすと温暖化の原因であるCO2と

その結果である気体の水とを

同時に地表へと与えてしまうことになる


ガスの消費なら環境負荷がないと思われているのだが

二酸化炭素の比率は確かに低下しはするものの

大気圏内ではH2Oを合成するプロセスが促進され

気体の水を地表付近に生み出すという経過を残す

このため

地球はゆっくりと水没していき

水素系資源を消費する燃料電池の普及段階では

温室効果で極地付近に融けだした液体の水に加えて

水素分子H2が大気中の酸素と反応して生成した気体の水によって

あらたな気候変動という課題に人類は取り組まなければならなくなるのだ


文明は

温暖化を止めたことによって

もう一度苦しむような状況を迎えるであろう

このようなことが現時点で既に判明しているのだが

人類は長閑な暮らしを続けることにしがみついており

地下資源の消費をやむを得ないこととして

その解決を人任せにしたまま

先延ばし工作に同意することとなったのだった


資源を消費する形式のエネルギーモデルでは

あらたな問題の発生を繰り返すだけとなり

資本の利用効率を低下させるという実りなき結果を生みだす

報われない結末だけが この星に残される


エネルギー問題が抱えている困難な状況のもつ真の意味が見えているのなら

その有効な対策を導くことができていなければならない

現状を見る限り

石油の消費を若干減らす程度の方策しか実行されていない

これが現実である

実際の効果を確かめもしないで

節電努力や自然エネルギーの普及促進でお茶を濁しているだけのこと

温室効果ガスの増産に歯止めをかけることができなかった道理である


問題の持つ深刻さを悟ることができたとき

文明は方向転換するための舵を大きく切るようになるだろう

これまでの国際社会を形作っていた枠組みは捨て去られ

あらたな秩序が未来を統べる文明の基礎を築くだろう

合理性に欠けた既存の社会システムは

覇権を握った国に独善をはびこらせ

貧困を前提とするみせかけの平和状態を

軍事力で保持するという文明をうみだした

その手段とされてきたのが限りのある地下資源

枯渇することを承知の上で

それが温暖化の原因であるということも分かっていながら

人類は有害な資源の消費に日夜勤しんでいる

この奇妙さに気付かないということこそが

この惑星の気候に多大な変動を与えるようにさせたものの正体


力による平和状態の維持から

繁栄に基づく真正な秩序を生みだすことができなければ

人類に明日はない

パラダイムシフトは可能なのだが

問題の持つ意味を理解することができなければ

その必然性に思いを致すこと自体が困難なのだ


問題の本質を察知することができた者には

簡単に乗り越えられる程度の課題であるに過ぎない

設問を正しく理解することができなかった者には

永遠に解けない課題となって

行く手に立ち塞がって道を譲ろうとしないスフインクスとなる


貧相な欲はひとを盲目状態に落として

環境をひたすら悪化させていくのだが

遠大な欲はこれまで実現したことがなかった平和を

この惑星へと導く動因となり得る


刮目せよ


問題の意味を理解しようとしないまま

答案を好き勝手に書いてはならない

一向に改善がみられない気候の変動は

採点の結果を示すためのもの

健全なシステムを構築することができたとき

繁栄する世の中がすぐにでも訪れる

不健全なシステムを温存したいと願うなら

貧困と破壊とに満ちた不穏な暮らしを

生命環境が許す限り

甘受してすごさなければならない


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