こ と の 端

散文でロジックを
環境 経済 エネルギー 電気 教育 などの "E" に関するちょっと気になったこと

プ ラ セ ボ

2010-01-31 07:23:34 | Weblog
資源を消費しなければ成り立たない

これまでの旧弊なエネルギーシステムは

当該資源が枯渇する以前の段階で

環境異変の影響をうけて

文明そのものを滅ぼしてしまうものとなりつつある


生命を育んできた精妙この上ない地球の表層において

安定していた気候を成り立たせていた諸条件は

文明が温暖化を募らせた結果失われ

さまざまな変化を地表へと与えはじめるようになってきた


石油 石炭 天然ガス

などの地下資源は

それを燃焼させることによって

熱エネルギーを取り出した瞬間に

酸化作用を受けて

二酸化炭素と呼ばれる酸素化合物となり

その他の二次生成物

つまり

窒素酸化物や硫黄酸化物まで生み出しながら

元の有機化合物であった状態へは

戻れなくなっていく


それが炭素系資源であったのなら

二酸化炭素となることによって安定化することとなり

炭化水素系の資源

メタンなどの天然ガスであるのなら

二酸化炭素に加えて気体の水

即ち 水蒸気を同時生成するものとなる

水素資源の場合には 

酸化反応で気体の水だけでなく

液体の水までも生み出して

地球がもつ水の絶対量を増やし続ける


一旦水になった化合物は

そのまま放置しておいても自然に元の元素へと戻ることはできない

二酸化炭素なら紫外線のエネルギーを受けて

炭酸へと緩慢に分解されていく


産業革命以前までの時代には

二酸化炭素は火山の噴火や山火事

生物の呼吸などで生み出される僅かな量でしかなかった

しかもその殆どが

自然に分解され

海水へと取りこまれていったものは

海底へと沈んで

石灰質を堆積させるサイクルを生みだしていた


特に石油の消費を早めた内燃機関が

近年にわかに登場してからというもの

二酸化炭素の合成が急速に加速され

分解される量よりも

生成する量の方が

はるかに多くなってしまったのだった

このため

大気圏に占める二酸化炭素の割合が

戦後から現在までの数十年に関しては

340ppm (0.034%)程度から

400ppm (0.04n%)超へと

短期間で急増してしまうこととなったのだった


これまで自然界にやってきた紫外線によって

その殆どが分解されていた二酸化炭素は

大気圏内により多く残留するようになったことから

二酸化炭素の濃度は増加する一方となり

それがもつ温室効果を高めたことによって

平均気温が上昇し続けるという展開から

抜け出せなくなり

温暖化と呼ばれる現象が国際的な問題として

20世紀末頃までに

結果として急浮上するようになったのだった


資源に依存するエネルギーシステムに執着していると

温室効果を募らせて

精妙で危ういバランスを得て

かろうじて成り立っていた地球の環境が

突如として機能しなくなる時を

迎えることになる

これは確定している事実なのだ

それがいつか

ということは未だ判らない

だが

試練の時代は確実にやってくる


このまま地下資源を消費する暮らしを続けていくのなら

生命にとって

抜き差しならない深刻な状況が

やがて訪れる 

これを避けることは

現状ではできない

二酸化炭素濃度はさまざまな対策を十年以上重ねていながら

減るどころか却って増加し続けるようになっていた


この不毛な結果を承知していながら

有効な対策を立てることが文明にはできなかった

そのこと自体さえ

理解することがまったくできていない

というのがありのままの 

すがた

カーボンオフセット(相殺)という手段では

現状を維持するだけで精一杯

減らす効果など

引き出せるはずのない方策に過ぎない


早ければ三年程度で

あらゆる温暖化対策に

効果がなかった

という事実を人類が認めざるを得なくなる日がやってくる

その段階に達して認識の誤謬に気付いたのち

やるべきだったことが何なのか

ということを

人類は

はじめて見出すことになる


問題の所在が判明すれば

実効を引き出すことに困難はない

意味の合成が起きなければ

文明は遺跡となって草生すばかり


偽薬(プラセボ)が効いている期間は

そう長くは続かない

文明が温暖化対策に行き詰り

ことの真相を悟ったとき

己の愚かさに対する失望を経たのちに

価値の転換

というプロセスの第一歩が

ようやく踏み出されることだろう


真実を永遠に糊塗しておくことなどできはしない

地下資源の利権に群がっている者どもが

身罷るための花道を残しておく余裕は

もはや

ない

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