こ と の 端

散文でロジックを
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転 轍 作 業

2009-01-18 08:01:42 | Weblog
グローバル経済を行き詰らせたのは 

ドルを濫発したアメリカが招いたその結果であった


アメリカの地域通貨だったドルが

国際間の決済で必要不可欠な存在にまでその価値を高められていったことから

ドル経済圏という概念が生まれでた
 

IMF体制とは かつてブレトンウッズ体制とも呼ばれていた

ドルを基軸通貨として機能させるためのサブシステムのことだった

アメリカが金本位制から一方的に離脱したあと

ドルの発行権という優越性を手に入れたアメリカは

石油をドルの価値を裏付けるためのツールとして採用し

その市場をWTIに定めることに成功した

このときから

ブレトンウッズ体制は IMF体制と呼ばれるものへと変貌していったのだ

金本位制は 石油・ドル本位制へとシフトし

ドルの需要は石油の消費量か単価を変更することで

自在に制御することが可能なものへと変えられていった


ドルによる市場を集約して

国際経済の一元化を図ろうとする動きが顕在化していったことから

アメリカはドルの発行益を用いて軍事力を高めていくことで

世界平和の実現を目指そうとするようになったのだ


これは しかし


アメリカによる独善に過ぎなかった

不合理なものの存在を感じ取った少数の国と組織などは

その後

アメリカに敵対する行動をとるようになっていった


市場経済に組み込まれていった国では

ドルを基軸通貨とするグローバル経済化を目指したのだが

イラクに展開していた米軍の撤収が不可能になったブッシュによって

アメリカを中心に据える国際経済の確立を急ぐ必要に迫られたのだ


FTAとは その手段となった二(多)国間の契約のことであり

WTOとは 市場経済の美名の下で

アメリカを更に繁栄させて 

既に最大化していた攻撃能力を

もっとより盤石なものへと強化するための

力による世界支配を永劫に持続させる方便として

米政府によって

戦略的に使われるようなものになっていた


共通の認識を与えて合理化を図ろうとしたアメリカだったのだが

利害関係の調整をすることができなかった


金融危機が勃発したのは そんな時代のさなかのことだった

自由主義を標榜して市場経済を牽引していたアメリカは

みずからのローカル市場だけでなく

グローバル市場そのものから信任されなくなろうとしている


ドルの過剰流動性というものが 

アメリカの作り上げようとしていたドル経済圏を

構想段階の中途で

すっかり色褪せたものへと変えてしまったからである

ドル経済圏を構築するというアメリカの野望は

自らが発行したドル通貨によって

脆くも崩れ去ることとなったのである


ドル安政策を選択したという米政府の戦略は

ドル通貨の恣意的な追加発行を許して

アメリカとその国民の多くを富ませていたのだったが

国際市場でドル余り現象を募らせていくという結末を

最終的に引き寄せてしまうこととなった


余ったドルを消化しきれなくなった国際市場そのものが

新たな需要創出を迫られるようになったことから

低所得者向けの住宅への融資事業で

国内経済の活性化を図ったのだが

資本の論理そのものが

惰性で暴走しはじめるようになっていた

そして

債務不履行を増殖させるという負の循環へと陥ったのである


誤った政策と功利に奔った資本との相乗効果で

資本主義体制そのものが おおきく揺れ動きだしている

この振幅が広がればひろがるほど

システム全体を倒壊させる蓋然性は 高まる


信用経済を成り立たせていたのは 

IMF体制の確立を契機として

基軸通貨となったドルの権能をさらに拡大するために

石油の利権を担保とすることによって

世界中の資本市場から

巨大な収益を獲得することを可能ならしめる

という抽象的な概念が生み出していた漠然とした期待

であるに過ぎなかった


アメリカ自身が信用収縮というトリガーをひいてしまったために

金融資本を行き詰らせただけでなく

国際経済全体の規模を縮小させるようになったのだ


結果による原因の証明は既になされた

健全な通貨メカニズムの登場が待たれている

世界が学んだことを 人類の未来に活かすためには

どのような仕組みをこれから作りだせば良いのだろうか


文明は限界を突破するための最大のチャンスを

いま 迎えている 
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