私もかつてはメーカーにいたけど、「トクサイでとってもらえるようにしてほしい」と工場から言われたことがあった。
また、トクサイは営業の腕の見せ所、なんてことも言われたことがあった。
しかし、私はその考え方は「間違っている」と思う。
もちろん、営業ミスの場合も同様だ。
もしもトクサイしてほしければ、製造側自らが出向いて顧客と話をすべき問題。
しかし、工場側から来ることは「まずなかった」ね。
トクサイというのは、強いて言うならば、物件もので、代品を手配していたのでは納期が間に合わないとかいったものに限られると考えるのが筋だ。
むろん、顧客にデータも添付しなければならない事例でトクサイなど「ありえない」。
というか、トクサイなんて、日本特有の「甘えの構造」で、海外ではトクサイはまず通用しない。
一方で、ポムの樹というオムライス店で、私が注文したものと違ったものを持ってきたケースがあり、そのとき女性店員は、
「今すぐ代わりのものを持ってきます!」
と言ったけど、
「それ、いくらするの?」
と私が訪ねると、注文した品物よりも少し高い程度だったので、
「じゃ、それでいい」
と自ら『トクサイ』に応じたことがあった(その代わり、ホットコーヒーをサービスしてくれた)。
なぜなら、その品物に「瑕疵はない」からね。
焦点:BtoBビジネスに甘え、不祥事の背景に契約軽視の風潮(ロイター) - Yahoo!ニュース https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171128-00000067-reut-bus_all @YahooNewsTopics
11/28(火) 18:54配信
[東京 28日 ロイター] - 経団連会長の出身企業にまで及んだ製品検査データの改ざん問題。神戸製鋼所<5406.T>、三菱マテリアル<5711.T>の子会社に続き、東レ<3402.T>の子会社でも起きた同様の事例で、会社側から口をそろえて出てくるのは「安全性に問題はない」という言葉だ。そこには、BtoBビジネスにおける契約軽視の風潮が見えてくる。
<データかい離は僅差、安全性に問題なしは共通>
一連の製品検査データの改ざん事案に共通するのは、納入先と契約した数値を外れたため数値を改ざんしたものの、安全性確保に必要な数値はクリアしており、製品として問題はないとされる点だ。
契約した数値を下回っていても、納入先の了解を得て納入する「特別採用(トクサイ)」。製造業では当たり前の取引だという。ただ、神戸鋼でも東レでも、納入先の了承を得ておらず「トクサイの悪用」(神戸鋼幹部)とも言える。
東レの日覚昭広社長は28日の会見で「大きく数値が離れたものは全部没にしている。(今回の事例は)僅差だ。以前にそれよりも低い数字のモノで、顧客にきちっと話をして採用され、問題がないという経験があり、顧客への説明や相談なしに勝手に改ざんした」と、今回の事案の原因を分析。そのうえで「測定誤差や品質性能のバラつき、使用時の安全係数などを考えれば、全然問題のない数字と判断できる」と述べた。
東レの発表リリースでは「例えば、コードの強さに関する検査項目である強力について、規格値が260ニュートン以上であるのに対し、検査値が258ニュートンとなった場合に260と書き換えていたなど、何れも規格値からのかい離がごくわずかであり、規格内製品と実質的な差はないと考えている」と、安全性とともに、僅差を強調する記述がある。
<民間同士の契約>
「民間の・・・という言葉はショックだった。この言葉が一連の問題を象徴している」──。中島経営法律事務所代表弁護士の中島茂氏はこう話す。今回不正が明らかになっている企業は、法令や日本工業規格(JIS)の基準を満たすことが目的化しており、民間同士の契約順守の姿勢が甘くなっていたとみている。「納入先から求められていたスペックはオーバースペックかもしれないが、川下メーカーが何故、こうした余裕を持った基準を求めたかということを厳密に契約時に話し合うべきだった」とし、エンドユーザーの視点が希薄になっていたと指摘する。
実際、神戸鋼の勝川四志彦・常務執行役員は「素材メーカーは複雑なサプライチェーンの一番上流にいて、顧客がどういう風に作って、次の工程に流通させて、最終消費者にどう届くか、なかなか分かり難い。非常に複雑」と話している。最終製品に対する想像力の欠如が、素材メーカーが部品メーカーと結ぶ民間同士の契約の軽視につながっているとも言える。
民間同士の契約違反を軽視する姿勢は、公表姿勢にも表れている。三菱マテリアルの子会社、三菱電線では、今年2月に不正を把握したにも関わらず、出荷を停止したのは10月23日。不適合品が混じっている可能性があることを知りながら、約8カ月も出荷を続けていたことになる。
東レの日覚社長は「法令違反があった場合、安全上問題がある場合、社会的に影響を及ぼす恐れがある場合は対外公表する」との基準を示したうえで、今回の事案は、ネットへの書き込みとそれに対する問い合わせがあったことや、神戸鋼など一連の不祥事がなければ、公表するつもりはなかったと述べている。
<海外では厳しい反応も>
現状、一連の不祥事に関連した訴訟などは起きていない。ただ、専門家は、海外では厳しい反応も起こり得ると指摘する。
山口利昭法律事務所の山口利昭弁護士は「海外であれば、適切な権利行使をしなければ株主から取引先の役員が賠償責任を問われる可能性があるため、全く対応は異なるものと考える」と話す。また「取引先要求仕様の充足に疑義がある場合には、海外企業であれば(取引契約に明記されている)監査権を行使して厳密な調査活動を行う。いわゆる『性悪説』に基づく行動がとられる」との見方を示している。
中島弁護士も「場合によっては、エンドユーザーからクラスアクション(集団訴訟)が起きてもしょうがない。企業同士が必要としたスペックで決めた契約、その基準を下回ったら不安。不安に対する損害賠償は十分に有り得ると思う」と述べている。
神戸鋼は、アルミニウム製品などのデータ不正問題に関して、米司法当局から関連書類の提出要求を受けている。中島弁護士は「海外で多額の損害賠償や制裁金の対象となるかどうかは経営陣が不正を認識していたかどうかがポイントになる」との見方を示している。同社は、年末までに、外部調査委員会による原因究明と再発防止策を取りまとめることとしており、経営陣の関与の有無が注目されることになる。
(清水律子)
『最終製品に対する想像力の欠如が、素材メーカーが部品メーカーと結ぶ民間同士の契約の軽視につながっているとも言える。』
この件だが、私が以前いたメーカーは、神戸製鋼と「同業」なので私見を述べると、神戸のような「川上メーカー」は基本的に、「流通任せ」、つまりは、問屋(商社)任せのところがあり、いちいち、需要家のことを考えて営業活動などしていない。
ひどい話では、用途すら把握しないまま注文に応じ、後でトラブル沙汰になって多額の補償金を請求される羽目になったケースもあった。
また、川上メーカーの基本は「何トン売るか」だ。対して、川下にいけばいくほど、販売単位は細分化していく。
つまりは、川上段階では「オーバースペック」と考えられていても、実際には「理に適った話」であることが多い。
だから上記の話に戻るが、トクサイなんていう話は、ユーザーが幾層にも亘る場合があることを考えると、営業側からすれば、「怖くてできない話」なのである。だから、「どうしても」というのであれば、製造(工場)側も出向かなければならない。
でも、製造側はまず「やってこない」。だって、己の「ミス」を認めているようなものなんだから。
だから以前も言ったように、日本のメーカーは大小含めて、原価管理を経営者側もちゃんと理解していない場合が多い。だから、
「不良品はゼロでなければならない。」
という、『傲慢な』考え方が蔓延る。
で、そのためにはトクサイも厭わない、ということなんだろうが、瑕疵があるものをユーザーが認めるケースは「ほとんどない」。
よしんば、認められるケースがあった場合、川上のメーカーは「どうせトクサイしてくれるだろう」と甘えの構造に「馴れ切ってしまう」。
だが、これが「輸出品」の場合だったらどうするのか? 海外の連中は、裁判で法外な賠償金を吹っかけてくるよ。
だから、「トクサイ」が営業の腕の見せ所という考え方そのものが間違っている。
さらに言うなら、日本でもPL(製造物責任)法が導入されて久しいが、「トクサイ」が広く通用したのは、PL法が導入される以前の話だ。
それでもなおかつ、トクサイに拘っている経営者がいたならば、そんな経営者は即刻切ってしまったほうがいい。
PL法がどれだけ「怖い法律」なのか、日本のメーカーの大半は感じていない。しかし、エアバッグのタカタは「原因不特定」ながらも製造物責任を認めざるを得なくなり、経営破たんに追い込まれた。
そんな時代なのだから、原価管理そのものの考え方を変えざるを得ない。でないと、日本のメーカーは今後勝ち残っていけなくなるよ。
また、トクサイは営業の腕の見せ所、なんてことも言われたことがあった。
しかし、私はその考え方は「間違っている」と思う。
もちろん、営業ミスの場合も同様だ。
もしもトクサイしてほしければ、製造側自らが出向いて顧客と話をすべき問題。
しかし、工場側から来ることは「まずなかった」ね。
トクサイというのは、強いて言うならば、物件もので、代品を手配していたのでは納期が間に合わないとかいったものに限られると考えるのが筋だ。
むろん、顧客にデータも添付しなければならない事例でトクサイなど「ありえない」。
というか、トクサイなんて、日本特有の「甘えの構造」で、海外ではトクサイはまず通用しない。
一方で、ポムの樹というオムライス店で、私が注文したものと違ったものを持ってきたケースがあり、そのとき女性店員は、
「今すぐ代わりのものを持ってきます!」
と言ったけど、
「それ、いくらするの?」
と私が訪ねると、注文した品物よりも少し高い程度だったので、
「じゃ、それでいい」
と自ら『トクサイ』に応じたことがあった(その代わり、ホットコーヒーをサービスしてくれた)。
なぜなら、その品物に「瑕疵はない」からね。
焦点:BtoBビジネスに甘え、不祥事の背景に契約軽視の風潮(ロイター) - Yahoo!ニュース https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171128-00000067-reut-bus_all @YahooNewsTopics
11/28(火) 18:54配信
[東京 28日 ロイター] - 経団連会長の出身企業にまで及んだ製品検査データの改ざん問題。神戸製鋼所<5406.T>、三菱マテリアル<5711.T>の子会社に続き、東レ<3402.T>の子会社でも起きた同様の事例で、会社側から口をそろえて出てくるのは「安全性に問題はない」という言葉だ。そこには、BtoBビジネスにおける契約軽視の風潮が見えてくる。
<データかい離は僅差、安全性に問題なしは共通>
一連の製品検査データの改ざん事案に共通するのは、納入先と契約した数値を外れたため数値を改ざんしたものの、安全性確保に必要な数値はクリアしており、製品として問題はないとされる点だ。
契約した数値を下回っていても、納入先の了解を得て納入する「特別採用(トクサイ)」。製造業では当たり前の取引だという。ただ、神戸鋼でも東レでも、納入先の了承を得ておらず「トクサイの悪用」(神戸鋼幹部)とも言える。
東レの日覚昭広社長は28日の会見で「大きく数値が離れたものは全部没にしている。(今回の事例は)僅差だ。以前にそれよりも低い数字のモノで、顧客にきちっと話をして採用され、問題がないという経験があり、顧客への説明や相談なしに勝手に改ざんした」と、今回の事案の原因を分析。そのうえで「測定誤差や品質性能のバラつき、使用時の安全係数などを考えれば、全然問題のない数字と判断できる」と述べた。
東レの発表リリースでは「例えば、コードの強さに関する検査項目である強力について、規格値が260ニュートン以上であるのに対し、検査値が258ニュートンとなった場合に260と書き換えていたなど、何れも規格値からのかい離がごくわずかであり、規格内製品と実質的な差はないと考えている」と、安全性とともに、僅差を強調する記述がある。
<民間同士の契約>
「民間の・・・という言葉はショックだった。この言葉が一連の問題を象徴している」──。中島経営法律事務所代表弁護士の中島茂氏はこう話す。今回不正が明らかになっている企業は、法令や日本工業規格(JIS)の基準を満たすことが目的化しており、民間同士の契約順守の姿勢が甘くなっていたとみている。「納入先から求められていたスペックはオーバースペックかもしれないが、川下メーカーが何故、こうした余裕を持った基準を求めたかということを厳密に契約時に話し合うべきだった」とし、エンドユーザーの視点が希薄になっていたと指摘する。
実際、神戸鋼の勝川四志彦・常務執行役員は「素材メーカーは複雑なサプライチェーンの一番上流にいて、顧客がどういう風に作って、次の工程に流通させて、最終消費者にどう届くか、なかなか分かり難い。非常に複雑」と話している。最終製品に対する想像力の欠如が、素材メーカーが部品メーカーと結ぶ民間同士の契約の軽視につながっているとも言える。
民間同士の契約違反を軽視する姿勢は、公表姿勢にも表れている。三菱マテリアルの子会社、三菱電線では、今年2月に不正を把握したにも関わらず、出荷を停止したのは10月23日。不適合品が混じっている可能性があることを知りながら、約8カ月も出荷を続けていたことになる。
東レの日覚社長は「法令違反があった場合、安全上問題がある場合、社会的に影響を及ぼす恐れがある場合は対外公表する」との基準を示したうえで、今回の事案は、ネットへの書き込みとそれに対する問い合わせがあったことや、神戸鋼など一連の不祥事がなければ、公表するつもりはなかったと述べている。
<海外では厳しい反応も>
現状、一連の不祥事に関連した訴訟などは起きていない。ただ、専門家は、海外では厳しい反応も起こり得ると指摘する。
山口利昭法律事務所の山口利昭弁護士は「海外であれば、適切な権利行使をしなければ株主から取引先の役員が賠償責任を問われる可能性があるため、全く対応は異なるものと考える」と話す。また「取引先要求仕様の充足に疑義がある場合には、海外企業であれば(取引契約に明記されている)監査権を行使して厳密な調査活動を行う。いわゆる『性悪説』に基づく行動がとられる」との見方を示している。
中島弁護士も「場合によっては、エンドユーザーからクラスアクション(集団訴訟)が起きてもしょうがない。企業同士が必要としたスペックで決めた契約、その基準を下回ったら不安。不安に対する損害賠償は十分に有り得ると思う」と述べている。
神戸鋼は、アルミニウム製品などのデータ不正問題に関して、米司法当局から関連書類の提出要求を受けている。中島弁護士は「海外で多額の損害賠償や制裁金の対象となるかどうかは経営陣が不正を認識していたかどうかがポイントになる」との見方を示している。同社は、年末までに、外部調査委員会による原因究明と再発防止策を取りまとめることとしており、経営陣の関与の有無が注目されることになる。
(清水律子)
『最終製品に対する想像力の欠如が、素材メーカーが部品メーカーと結ぶ民間同士の契約の軽視につながっているとも言える。』
この件だが、私が以前いたメーカーは、神戸製鋼と「同業」なので私見を述べると、神戸のような「川上メーカー」は基本的に、「流通任せ」、つまりは、問屋(商社)任せのところがあり、いちいち、需要家のことを考えて営業活動などしていない。
ひどい話では、用途すら把握しないまま注文に応じ、後でトラブル沙汰になって多額の補償金を請求される羽目になったケースもあった。
また、川上メーカーの基本は「何トン売るか」だ。対して、川下にいけばいくほど、販売単位は細分化していく。
つまりは、川上段階では「オーバースペック」と考えられていても、実際には「理に適った話」であることが多い。
だから上記の話に戻るが、トクサイなんていう話は、ユーザーが幾層にも亘る場合があることを考えると、営業側からすれば、「怖くてできない話」なのである。だから、「どうしても」というのであれば、製造(工場)側も出向かなければならない。
でも、製造側はまず「やってこない」。だって、己の「ミス」を認めているようなものなんだから。
だから以前も言ったように、日本のメーカーは大小含めて、原価管理を経営者側もちゃんと理解していない場合が多い。だから、
「不良品はゼロでなければならない。」
という、『傲慢な』考え方が蔓延る。
で、そのためにはトクサイも厭わない、ということなんだろうが、瑕疵があるものをユーザーが認めるケースは「ほとんどない」。
よしんば、認められるケースがあった場合、川上のメーカーは「どうせトクサイしてくれるだろう」と甘えの構造に「馴れ切ってしまう」。
だが、これが「輸出品」の場合だったらどうするのか? 海外の連中は、裁判で法外な賠償金を吹っかけてくるよ。
だから、「トクサイ」が営業の腕の見せ所という考え方そのものが間違っている。
さらに言うなら、日本でもPL(製造物責任)法が導入されて久しいが、「トクサイ」が広く通用したのは、PL法が導入される以前の話だ。
それでもなおかつ、トクサイに拘っている経営者がいたならば、そんな経営者は即刻切ってしまったほうがいい。
PL法がどれだけ「怖い法律」なのか、日本のメーカーの大半は感じていない。しかし、エアバッグのタカタは「原因不特定」ながらも製造物責任を認めざるを得なくなり、経営破たんに追い込まれた。
そんな時代なのだから、原価管理そのものの考え方を変えざるを得ない。でないと、日本のメーカーは今後勝ち残っていけなくなるよ。