イラン最高指導者 ハメネイ師 イスラエルをけん制 NHK 2024年10月4日 19時29分
イスラエルがイランによる大規模なミサイル攻撃への対抗措置を行う構えを示す中、イランの最高指導者ハメネイ師は演説を行い「今後、必要があれば正しく合理的な措置が再びとられるだろう」と述べ、イスラエルをけん制しました。
イランの最高指導者ハメネイ師は4日、首都テヘランで行われたヒズボラの最高指導者ナスララ師を追悼する式典で演説しました。
このなかで、ハメネイ師は1日に行ったイスラエルに対するミサイル攻撃について「われわれの軍事組織による輝かしい仕事は完全に合法で正当だった」と述べ、改めて正当性を強調しました。
その上で「今後、必要があれば正しく合理的な措置が再びとられるだろう」と述べ、対抗措置をとる構えのイスラエルをけん制しました。
イスラエル軍 ヒズボラへ攻勢強める
イスラエル軍はイランの支援を受けるレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラへの攻勢を強めていて、レバノン南部への地上侵攻とともに連日、首都ベイルートなどへの空爆を続けています。
アメリカの有力紙「ニューヨーク・タイムズ」は複数のイスラエル政府高官の話としてイスラエル軍は3日、ベイルート郊外の地下でヒズボラの幹部らが会議を行っているとの情報を得て空爆を行ったと伝えました。
幹部の中には9月に殺害されたヒズボラの最高指導者、ナスララ師の後継者になる可能性がある人物も含まれていたとしています。
レバノン政府は4日、イスラエル軍による攻撃で過去24時間で37人が死亡し、150人以上がけがをしたと発表しました。
一方、イスラエル軍が地上侵攻に踏み切ったレバノン南部でも双方の戦闘が激化している模様です。
イスラエル軍は3日、およそ230の飛しょう体がレバノン側から発射されたと発表したほか、4日の朝早くにもおよそ20の飛しょう体がイスラエル領内に向けて発射されたのを確認したとしています。
イスラエル軍のハレビ参謀総長は3日、レバノンとの国境付近を訪れ、「ヒズボラが拠点を設けることは許さない」と述べ、ヒズボラへの攻勢を強める姿勢を強調しました。
国連安保理 一致した対応打ち出せない中
中東情勢の緊迫化を受けて、国連安保理は9月下旬以降、繰り返し緊急会合を開催していますが、常任理事国間の意見の対立も伝えられ、決議を採択するなどの一致した対応を打ち出せていません。
こうしたなか、日本を含む非常任理事国10か国は3日午前、共同声明を出し、中東での暴力の連鎖を非難するとともに、すべての敵対行為の即時停止を呼びかけました。
声明ではすべての当事者に対し、国際人道法などにおける義務を尊重するよう求め、民間人の保護を強く要請しているほか、外交的解決が唯一の進むべき道だと強調しています。
また、イスラエルの外相が2日、国連のグテーレス事務総長を「好ましからざる人物」に指定しイスラエルへの入国を禁止すると発表したことについて、国連の安全保障理事会は3日、グテーレス事務総長を「全面的に支える」とする報道機関向けの談話を出しました。
10月の議長国を務めるスイスの国連大使が談話を読み上げ、「すべての加盟国が事務総長とその職務を損なうような行動をつつしむ必要性を強調する」としています。
その上で、談話ではイスラエルを名指しすることは避けながらも「特に中東での緊張の高まりという文脈において、事務総長や国連と関わりを断つという決定は逆効果だ」と指摘しました。
UNHCR報道官「人道的な大惨事といえる状況」
UNHCR=国連難民高等弁務官事務所レバノン事務所のリサ・アブハレド報道官が3日、オンラインでNHKのインタビューに答えました。
アブハレド報道官は「これまでレバノン南部に限られていた戦闘の影響が国全体に広がり、数日間で避難民の数が倍増した。避難所が受け入れられる人数は限られ、ベイルートでは屋外で寝泊まりせざるをえない人が多くいる。これは人道的な大惨事といえる状況だ」と話しました。
また、今後、気温が下がるため屋外での暮らしは難しく、一刻も早くさらなる避難所の整備が必要だと話しました。
その上で、家を追われた人に配る、毛布やマットレスといった物資について「最悪のシナリオを考えて準備をしてきたものの、急増するニーズに対応できるだけの量がない」としています。
さらにレバノンには、内戦が10年以上続く隣国シリアから避難している人もいるとして、「レバノンにいる人々はもう十分に苦しんでいる。苦しみや喪失の連鎖を断ち切るためには、政治的な解決がいますぐ必要だ」と述べ、人道状況を改善するためにも戦闘の停止が求められていると訴えました。
【詳細】イスラエル パレスチナ 中東情勢(10月4日) NHK 2024年10月4日 20時19分
イスラエルがイランによる大規模なミサイル攻撃への対抗措置を行う構えを示す中、イランの最高指導者ハメネイ師は演説を行い「今後、必要があれば正しく合理的な措置が再びとられるだろう」と述べ、イスラエルをけん制しました。
※中東情勢に関する日本時間10月4日の動きを中心に、随時更新してお伝えします。
ハメネイ師 対抗措置とる構えのイスラエルをけん制
イランが後ろ盾となっているレバノンのヒズボラの最高指導者が殺害されたことなどへの報復として、1日、イスラエルに大規模なミサイル攻撃を行ったことを受け、イスラエルは対抗措置をとる構えです。
ハメネイ師は4日、首都テヘランで行われたヒズボラの最高指導者ナスララ師を追悼する式典で演説しました。
この中でハメネイ師は、1日に行ったイスラエルに対するミサイル攻撃について「われわれの軍事組織による輝かしい仕事は完全に合法で正当だった」と述べ、改めて正当性を強調しました。
そのうえで「今後、必要があれば正しく合理的な措置が再びとられるだろう」と述べ、対抗措置をとる構えのイスラエルをけん制しました。
バイデン大統領 “石油施設攻撃 協議中”発言で原油価格上昇
アメリカのバイデン大統領は3日、記者団から「イランの石油生産施設を攻撃することを支持するか」と問われたのに対して「われわれは協議中だ」と述べたため、原油市場では石油生産施設が攻撃対象となる可能性が否定できないとの受け止めが広がり、原油の先物価格が上昇しています。
イスラエル軍 ヒズボラへの攻勢強める
イスラエル軍はヒズボラへの攻勢を強め、レバノン南部への地上侵攻とともに連日、首都ベイルートなどへの空爆を続けています。
アメリカの有力紙「ニューヨーク・タイムズ」は、複数のイスラエル政府高官の話として、イスラエル軍は3日、ベイルート郊外の地下でヒズボラの幹部らが会議を行っているとの情報を得て空爆を行ったと伝え、ナスララ師の後継者になる可能性がある人物も含まれていたとしています。
これに対し、ヒズボラ側はレバノン南部に侵攻したイスラエル軍に激しく抵抗しているとみられるほか、イスラエル領内に向けてロケット弾などを相次いで発射しています。
レバノンでは120万人近くが避難を余儀なくされていて、7日で戦闘が始まって1年となるパレスチナのガザ地区に加え、レバノンでも人道危機が深まっています。
G7首脳 共同声明 中東の緊張さらに高まらないよう自制求める
中東情勢が緊迫化する中、G7の首脳は3日、前日に行った電話会議を踏まえ、共同声明を発表しました。
この中では、イスラエルに大規模なミサイル攻撃を行ったイランについて「直接的な軍事攻撃を最も強いことばで非難する」としています。
そのうえで「攻撃と報復の危険な連鎖は、中東において制御不能な緊張の高まりを助長するリスクがあり、誰の利益にもならない」として、すべての当事者に自制を求めました。
また、声明では、パレスチナのガザ地区でのイスラム組織ハマスとイスラエル軍の戦闘が始まってからまもなく1年となるなか、即時停戦とすべての人質の無条件での解放などを改めて訴えています。
そのうえで、ガザ地区の状況について「壊滅的で何万人もの罪のない人命が失われている」として、民間人の保護を強く求めています。
さらに、声明では、イスラエル軍が地上侵攻するなど戦闘が激化しているレバノンの情勢についても「深く懸念している」として、外交的な解決に向けて敵対行為の一刻も早い停止を呼びかけています。
日本など国連の非常任理事国が共同声明 中東での暴力連鎖を非難
中東情勢の緊迫化を受けて、国連安保理は9月下旬以降、繰り返し緊急会合を開催していますが、常任理事国間の意見の対立も伝えられ、決議を採択するなどの一致した対応を打ち出せていません。
こうした中、日本を含む非常任理事国10か国は3日午前、共同声明を出し、中東での暴力の連鎖を非難するとともに、すべての敵対行為の即時停止を呼びかけました。
声明では、すべての当事者に対し国際人道法などにおける義務を尊重するよう求め、民間人の保護を強く要請しているほか、外交的解決が唯一の進むべき道だと強調しています。
また、国連のグテーレス事務総長への「全面的な支援」も表明していて、イスラエルのカッツ外相が2日、グテーレス事務総長を「好ましからざる人物」に指定しイスラエルへの入国を禁止すると発表したことを踏まえ、事務総長を支える立場を明確にしたものとみられます。
UNHCR報道官 レバノンの状況「人道的な大惨事」
レバノンでは9月下旬以降、イスラエル軍とヒズボラとの間の戦闘が激化し、レバノン政府は2日、120万人近くが避難を余儀なくされていると発表しました。
こうした中、UNHCR=国連難民高等弁務官事務所レバノン事務所のリサ・アブハレド報道官が3日、オンラインでNHKのインタビューに答えました。
アブハレド報道官は「これまでレバノン南部に限られていた戦闘の影響が国全体に広がり、数日間で避難民の数が倍増した。避難所が受け入れられる人数は限られ、ベイルートでは屋外で寝泊まりせざるをえない人が多くいる。これは人道的な大惨事といえる状況だ」と話しました。
また、今後気温が下がるため屋外での暮らしは難しく、一刻も早くさらなる避難所の整備が必要だと話しました。
そのうえで、家を追われた人に配る毛布やマットレスといった物資について「最悪のシナリオを考えて準備をしてきたものの、急増するニーズに対応できるだけの量がない」としています。
さらにレバノンには内戦が10年以上続く隣国シリアから避難している人もいるとして「レバノンにいる人々はもう十分に苦しんでいる。苦しみや喪失の連鎖を断ち切るためには、政治的な解決がいますぐ必要だ」と述べ、人道状況を改善するためにも戦闘の停止が求められていると訴えました。
自衛隊機派遣 防衛相“レバノン滞在邦人らの安全確保に万全”
中谷防衛大臣は記者会見で、レバノンに滞在する日本人などが国外退避する場合に備えて周辺国のヨルダンに派遣した航空自衛隊の輸送機について「日本時間のきょう早朝にヨルダンに到着した。適切な対応ができるよう必要な情報を収集するとともに、関係省庁と緊密に連携し、現地の日本人や自衛隊員の安全確保に万全を期していく」と述べました。
イスラエルがイランによる大規模なミサイル攻撃への対抗措置を行う構えを示す中、イランの最高指導者ハメネイ師は演説を行い「今後、必要があれば正しく合理的な措置が再びとられるだろう」と述べ、イスラエルをけん制しました。
イランの最高指導者ハメネイ師は4日、首都テヘランで行われたヒズボラの最高指導者ナスララ師を追悼する式典で演説しました。
このなかで、ハメネイ師は1日に行ったイスラエルに対するミサイル攻撃について「われわれの軍事組織による輝かしい仕事は完全に合法で正当だった」と述べ、改めて正当性を強調しました。
その上で「今後、必要があれば正しく合理的な措置が再びとられるだろう」と述べ、対抗措置をとる構えのイスラエルをけん制しました。
イスラエル軍 ヒズボラへ攻勢強める
イスラエル軍はイランの支援を受けるレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラへの攻勢を強めていて、レバノン南部への地上侵攻とともに連日、首都ベイルートなどへの空爆を続けています。
アメリカの有力紙「ニューヨーク・タイムズ」は複数のイスラエル政府高官の話としてイスラエル軍は3日、ベイルート郊外の地下でヒズボラの幹部らが会議を行っているとの情報を得て空爆を行ったと伝えました。
幹部の中には9月に殺害されたヒズボラの最高指導者、ナスララ師の後継者になる可能性がある人物も含まれていたとしています。
レバノン政府は4日、イスラエル軍による攻撃で過去24時間で37人が死亡し、150人以上がけがをしたと発表しました。
一方、イスラエル軍が地上侵攻に踏み切ったレバノン南部でも双方の戦闘が激化している模様です。
イスラエル軍は3日、およそ230の飛しょう体がレバノン側から発射されたと発表したほか、4日の朝早くにもおよそ20の飛しょう体がイスラエル領内に向けて発射されたのを確認したとしています。
イスラエル軍のハレビ参謀総長は3日、レバノンとの国境付近を訪れ、「ヒズボラが拠点を設けることは許さない」と述べ、ヒズボラへの攻勢を強める姿勢を強調しました。
国連安保理 一致した対応打ち出せない中
中東情勢の緊迫化を受けて、国連安保理は9月下旬以降、繰り返し緊急会合を開催していますが、常任理事国間の意見の対立も伝えられ、決議を採択するなどの一致した対応を打ち出せていません。
こうしたなか、日本を含む非常任理事国10か国は3日午前、共同声明を出し、中東での暴力の連鎖を非難するとともに、すべての敵対行為の即時停止を呼びかけました。
声明ではすべての当事者に対し、国際人道法などにおける義務を尊重するよう求め、民間人の保護を強く要請しているほか、外交的解決が唯一の進むべき道だと強調しています。
また、イスラエルの外相が2日、国連のグテーレス事務総長を「好ましからざる人物」に指定しイスラエルへの入国を禁止すると発表したことについて、国連の安全保障理事会は3日、グテーレス事務総長を「全面的に支える」とする報道機関向けの談話を出しました。
10月の議長国を務めるスイスの国連大使が談話を読み上げ、「すべての加盟国が事務総長とその職務を損なうような行動をつつしむ必要性を強調する」としています。
その上で、談話ではイスラエルを名指しすることは避けながらも「特に中東での緊張の高まりという文脈において、事務総長や国連と関わりを断つという決定は逆効果だ」と指摘しました。
UNHCR報道官「人道的な大惨事といえる状況」
UNHCR=国連難民高等弁務官事務所レバノン事務所のリサ・アブハレド報道官が3日、オンラインでNHKのインタビューに答えました。
アブハレド報道官は「これまでレバノン南部に限られていた戦闘の影響が国全体に広がり、数日間で避難民の数が倍増した。避難所が受け入れられる人数は限られ、ベイルートでは屋外で寝泊まりせざるをえない人が多くいる。これは人道的な大惨事といえる状況だ」と話しました。
また、今後、気温が下がるため屋外での暮らしは難しく、一刻も早くさらなる避難所の整備が必要だと話しました。
その上で、家を追われた人に配る、毛布やマットレスといった物資について「最悪のシナリオを考えて準備をしてきたものの、急増するニーズに対応できるだけの量がない」としています。
さらにレバノンには、内戦が10年以上続く隣国シリアから避難している人もいるとして、「レバノンにいる人々はもう十分に苦しんでいる。苦しみや喪失の連鎖を断ち切るためには、政治的な解決がいますぐ必要だ」と述べ、人道状況を改善するためにも戦闘の停止が求められていると訴えました。
【詳細】イスラエル パレスチナ 中東情勢(10月4日) NHK 2024年10月4日 20時19分
イスラエルがイランによる大規模なミサイル攻撃への対抗措置を行う構えを示す中、イランの最高指導者ハメネイ師は演説を行い「今後、必要があれば正しく合理的な措置が再びとられるだろう」と述べ、イスラエルをけん制しました。
※中東情勢に関する日本時間10月4日の動きを中心に、随時更新してお伝えします。
ハメネイ師 対抗措置とる構えのイスラエルをけん制
イランが後ろ盾となっているレバノンのヒズボラの最高指導者が殺害されたことなどへの報復として、1日、イスラエルに大規模なミサイル攻撃を行ったことを受け、イスラエルは対抗措置をとる構えです。
ハメネイ師は4日、首都テヘランで行われたヒズボラの最高指導者ナスララ師を追悼する式典で演説しました。
この中でハメネイ師は、1日に行ったイスラエルに対するミサイル攻撃について「われわれの軍事組織による輝かしい仕事は完全に合法で正当だった」と述べ、改めて正当性を強調しました。
そのうえで「今後、必要があれば正しく合理的な措置が再びとられるだろう」と述べ、対抗措置をとる構えのイスラエルをけん制しました。
バイデン大統領 “石油施設攻撃 協議中”発言で原油価格上昇
アメリカのバイデン大統領は3日、記者団から「イランの石油生産施設を攻撃することを支持するか」と問われたのに対して「われわれは協議中だ」と述べたため、原油市場では石油生産施設が攻撃対象となる可能性が否定できないとの受け止めが広がり、原油の先物価格が上昇しています。
イスラエル軍 ヒズボラへの攻勢強める
イスラエル軍はヒズボラへの攻勢を強め、レバノン南部への地上侵攻とともに連日、首都ベイルートなどへの空爆を続けています。
アメリカの有力紙「ニューヨーク・タイムズ」は、複数のイスラエル政府高官の話として、イスラエル軍は3日、ベイルート郊外の地下でヒズボラの幹部らが会議を行っているとの情報を得て空爆を行ったと伝え、ナスララ師の後継者になる可能性がある人物も含まれていたとしています。
これに対し、ヒズボラ側はレバノン南部に侵攻したイスラエル軍に激しく抵抗しているとみられるほか、イスラエル領内に向けてロケット弾などを相次いで発射しています。
レバノンでは120万人近くが避難を余儀なくされていて、7日で戦闘が始まって1年となるパレスチナのガザ地区に加え、レバノンでも人道危機が深まっています。
G7首脳 共同声明 中東の緊張さらに高まらないよう自制求める
中東情勢が緊迫化する中、G7の首脳は3日、前日に行った電話会議を踏まえ、共同声明を発表しました。
この中では、イスラエルに大規模なミサイル攻撃を行ったイランについて「直接的な軍事攻撃を最も強いことばで非難する」としています。
そのうえで「攻撃と報復の危険な連鎖は、中東において制御不能な緊張の高まりを助長するリスクがあり、誰の利益にもならない」として、すべての当事者に自制を求めました。
また、声明では、パレスチナのガザ地区でのイスラム組織ハマスとイスラエル軍の戦闘が始まってからまもなく1年となるなか、即時停戦とすべての人質の無条件での解放などを改めて訴えています。
そのうえで、ガザ地区の状況について「壊滅的で何万人もの罪のない人命が失われている」として、民間人の保護を強く求めています。
さらに、声明では、イスラエル軍が地上侵攻するなど戦闘が激化しているレバノンの情勢についても「深く懸念している」として、外交的な解決に向けて敵対行為の一刻も早い停止を呼びかけています。
日本など国連の非常任理事国が共同声明 中東での暴力連鎖を非難
中東情勢の緊迫化を受けて、国連安保理は9月下旬以降、繰り返し緊急会合を開催していますが、常任理事国間の意見の対立も伝えられ、決議を採択するなどの一致した対応を打ち出せていません。
こうした中、日本を含む非常任理事国10か国は3日午前、共同声明を出し、中東での暴力の連鎖を非難するとともに、すべての敵対行為の即時停止を呼びかけました。
声明では、すべての当事者に対し国際人道法などにおける義務を尊重するよう求め、民間人の保護を強く要請しているほか、外交的解決が唯一の進むべき道だと強調しています。
また、国連のグテーレス事務総長への「全面的な支援」も表明していて、イスラエルのカッツ外相が2日、グテーレス事務総長を「好ましからざる人物」に指定しイスラエルへの入国を禁止すると発表したことを踏まえ、事務総長を支える立場を明確にしたものとみられます。
UNHCR報道官 レバノンの状況「人道的な大惨事」
レバノンでは9月下旬以降、イスラエル軍とヒズボラとの間の戦闘が激化し、レバノン政府は2日、120万人近くが避難を余儀なくされていると発表しました。
こうした中、UNHCR=国連難民高等弁務官事務所レバノン事務所のリサ・アブハレド報道官が3日、オンラインでNHKのインタビューに答えました。
アブハレド報道官は「これまでレバノン南部に限られていた戦闘の影響が国全体に広がり、数日間で避難民の数が倍増した。避難所が受け入れられる人数は限られ、ベイルートでは屋外で寝泊まりせざるをえない人が多くいる。これは人道的な大惨事といえる状況だ」と話しました。
また、今後気温が下がるため屋外での暮らしは難しく、一刻も早くさらなる避難所の整備が必要だと話しました。
そのうえで、家を追われた人に配る毛布やマットレスといった物資について「最悪のシナリオを考えて準備をしてきたものの、急増するニーズに対応できるだけの量がない」としています。
さらにレバノンには内戦が10年以上続く隣国シリアから避難している人もいるとして「レバノンにいる人々はもう十分に苦しんでいる。苦しみや喪失の連鎖を断ち切るためには、政治的な解決がいますぐ必要だ」と述べ、人道状況を改善するためにも戦闘の停止が求められていると訴えました。
自衛隊機派遣 防衛相“レバノン滞在邦人らの安全確保に万全”
中谷防衛大臣は記者会見で、レバノンに滞在する日本人などが国外退避する場合に備えて周辺国のヨルダンに派遣した航空自衛隊の輸送機について「日本時間のきょう早朝にヨルダンに到着した。適切な対応ができるよう必要な情報を収集するとともに、関係省庁と緊密に連携し、現地の日本人や自衛隊員の安全確保に万全を期していく」と述べました。