公営競技はどこへ行く

元気溢れる公営競技にしていきたい、その一心で思ったことを書き綴っていきます。

カンフル剤にならない

2006-05-25 14:58:08 | 競馬

今日はYahoo地方公営ギャンブル経営よりもう一題。

3連馬券「魅力はある」が… 増収効果当て外れ 岩手競馬

 経営再建に向けて正念場のシーズンが始まった岩手競馬をファンはどう見ているか。河北新報社は盛岡競馬場の入場者100人を対象にアンケートを行った。県競馬組合(理事長・増田寛也知事)が本年度から導入した3連勝式馬券などが、売り上げ増に直結していない現状が浮かび上がり、増収策を軸にした再建の限界を示す結果になった。

 調査は14日から22日までの5日間、盛岡競馬場を訪れた競馬ファン100人を対象にアンケート形式で実施した。回答者の内訳は男性が85人、女性は15人。

 組合が増収策の起爆剤として期待する三連単・三連複馬券については「魅力アップになった」が大半。「少額で高配当が期待できる。初心者にも受け入れられやすい」(会社員・40代)「少額の購入でも夢を持てる」(会社員・60代)などおおむね好評だった。

 ただ、「魅力アップにならない」も15人おり、「むしろ逆効果。安く買うので1人当たりの単価は下がる」(運送業・60代)という声も聞かれた。
 馬券の購入額を尋ねると、「1万円以下」がトップで次に「3000円以下」が続く。少額傾向がうかがえ、購入額については「変わらない」「減る傾向にある」が9割近くに上った。

 3連勝馬券の好評ぶりとは対照的に、実際の馬券売上高は計画に反して前年同期を下回る厳しい水準が続いている。購入額が同じか、減る傾向にある中で、従来の馬券が新馬券に移行しているだけという実態が裏付けられる形になった。

 購入額が変わらない人は「1日に1万円以下というように使う金額を決めて遊んでいるから」(会社員・30代)という意見が多く、「減る傾向にある」と答えた人には、「3連勝式をやるようになって、少ない投資で遊ぶようになった」(会社員・40代)という声もあった。

 同じく本年度導入のインターネット投票については、9割が「知っている」と回答し、制度としては浸透していることが分かった。しかし、実際に「購入したことがある」人は6人だけ。

 購入者は「自宅でオッズを見ながら買えるので便利」(会社員・30代)と答えたが、ネット投票をしない人の意見には「ネット購入はただ金もうけをするようなもの」(無職・60代)と否定的な声もあった。

 競馬場やテレトラック(場外馬券所)に足を運ぶ回数については、「ほぼ毎週」が44人と最も多く、「月に数回」が32人で続いた。根強い固定ファンがいることも一方で裏付けられた。

(河北新報) - 5月24日7時4分更新


岩手といえば、今でもそうだが、公営ギャンブルといえばほとんど競馬しかないようなところ。最近では競輪や競艇の専用場外も近郊にできたが、まだまだ追随を許さい。しかも上記にあるように、思ったほど競馬ファンが減っている印象もない。

なのにここ数年、岩手競馬の売り上げは毎年、坂を転げ落ちるかのような状態。毎年2桁の売り上げ減を記録し、

「一体どうしてなんだ?」

と首を傾げざるを得ない。

地方競馬の優等生という言われ方もつい5年ほど前まではなされていた。

なぜ岩手は急激に衰えてしまったのか・・・

まず、トーホウエンペラーが東京大賞典や南部杯を勝ったころまでは、岩手といえば、常に名馬を輩出し続けていた「伝統」があった。

トウケイホープ、ボールドマックス、スイフトセイダイ、 グレートホープ、トウケイニセイ、モリユウプリンスと続き、有名なメイセイオペラ、トーホウエンペラー。

ところが今や岩手にこれぞ、という馬がいない。

もともと岩手というところは熱狂的なファンが多く、上記のような全国でも通用するような馬がいればそれなりに盛り上がり、また、馬券もそれにつられる形でどんどん買うファンがいたんだろうと思う。

しかし「ただ競馬をやっている」という感覚では岩手のファンはついてこないんだろうね。

その上、盛岡なんてJRAの中央場所4場と同じく入場料が200円、指定席も一番高いところだと2500円ぐらいしたが、次第にそういったあたりも「嫌われていった」んだろう。

一方で、まだまだ岩手の場合、潜在的な客層はいるわけであり、要はうまく掘り起こせばまだまだ健闘できる余地は残されているように思う。

岩手といえば、割と早くから「広域場外発売」を積極的に行ったところとしても有名だった。

九州の2場とは今もなお連携が密に取れているし、相互場外発売も頻繁に行われている。また、福島競馬場における場外発売も早くから実施していた。また、テレトラックも一時は10箇所以上東北各地に設置し、1日の売り上げは南関東に続く2番手をゆるぎないものとしていた。

ところがテレトラックは三本木を除けば不振らしいし、他の広域場外にも限界が生じてきた。また、長らくD-netには参画しなかったが、独自の在宅投票システムである、R-CALLを残しつつ、3年前からD-netに参画。また、ネット投票も当初、現在のオッズパークのようなものを単独で行う「はず」だった。

いろいろと売り上げ増強策は手を打ち、実行もしてきた。それでも売り上げ増強には繋がらない。

そんな折、売り上げが振るわない平日開催の月曜日のてこ入れ策として、今年度から自場の開催にないときに限って園田でも発売するようになった。

園田は概ね、月曜日の開催はない。そこを月曜開催も行っている岩手が目をつけ、これまで全くといっていいほど縁がなかった関西でも岩手の馬券が発売されるようになった(今月一杯まで)。

ただ関西の場合については、これを契機にネット投票、つまり、概ね日曜日に重賞が組まれている岩手競馬をオッズパークを通じて買ってもらえれば、という意味合いでやっているんだろうと思う。

上記では確かに利用者が著しく少なく、前途多難もいいところのネット投票であるが、まずは自分のところの競馬に全く縁がなかった関西でも、園田で発売されればスポーツ新聞には掲載されるし(日刊大阪には掲載されている)、そこから興味をもってもらえれば、という狙いがあるんだとすれば決して間違ったやり方ではあるまい。

3連単についていえば、岩手は後半5レースしか発売していないが、関心は確かに高いみたい。ただ、岩手というところは、従来型ともいうべき、単・複・馬連しかなくとも、もとからソコソコ売れたところなのである。

しかも、間の悪いことに、一部では、3連単を買う場合には、「薄く、小さく」といった豆券購入者が激増し、その結果一人当たりの購買単価が著しく落ち込んでいる中での導入だけに、関心は高いといいながらも、実際には、

「あたらないからやめておこう」

となっているんではないか。

岩手の場合、馬券発売に関してはほとんど手を尽くしてきた感がある。問題は「中身」。果たして、メイセイオペラやトーホウエンペラーといった、岩手といえばこの馬、といった馬が果たして今いるのか?というあたりを懸念せざるを得まい。

私自身、今岩手の馬ってどの馬が強いのか、ってのは、はっきりいってわからないもんな。

加えて番組・制度面における問題はどうなのか?

たとえば全国級とはいかなくとも、連勝街道を突っ走っているとかいった馬も岩手にはいない。ま、「1回も勝ちなし。連敗街道更新中」なんていう馬が突発的な人気を呼んだケースはあるが、こうした手はもう通用しまい。

とにかく、いい意味における話題づくりが岩手には一番欠けている。作為的な売り上げアップ作戦をやったところで、岩手を知るファンは乗ってこない。そこが岩手の一番の課題だと思うが。

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3度目の正直

2006-05-25 03:41:40 | 競馬

かつて、南関東では「10年に一頭の逸材」とさえ言われた馬がなんと12歳の身で三度目の現役復帰を果たすことに・・・


Yahoo地方公営ギャンブル経営より

南関東、ホッカイドウ競馬(道営)で活躍したキャニオンロマン(牡、若松厩舎)が、2度の引退を経て、12歳で現役にカムバックする。23日に門別競馬場で行われたホッカイドウ競馬の能検で合格し、再デビューの切符を手にした。人間に換算すれば50歳近いが、もうひと花咲かせるべく、勝負の世界に戻る。

 ダート1000メートル(2頭立て)の能検に出走したキャニオンロマンは、快調に逃げ1分1秒5で走破。相手に1秒2差をつけ、楽々と基準タイムをクリアした。96年に南関東大井でデビューし5連勝、3歳春には中央の皐月賞にあたる羽田盃を制覇。9、10歳時は道営で3連勝など、能力は折り紙付きだ。騎乗した佐々木国明騎手(28)も「すごいのひと言。力と柔らかさがある。まだ5、6歳くらいの感じです」と高評価した。

 波乱を乗り越えての、3度目の現役だ。大井でケガを負い、02年1月に1度引退。03年5月に道営で再登録され2シーズン走ったが、再び故障し、昨年5月に再び引退した。その後、故郷の谷川牧場(浦河町)で種牡馬になる予定も、適性がなく断念。現役で20戦しかしておらず、体力にも不安がないことから、今春に復帰の話が浮上した。

 管理する若松平師(56)は「3月末に牧場で見たとき、馬体重は560キロくらいありましたが、毛づやもピカピカでとても12歳とは思えなかった」と話す。ただ、大幅に体重増だった。4月初めから運動とともに、シェイプアップも図った。この日の能検では516キロで出走した。

 早ければ6月の札幌開催で3度目のデビューを果たす。目指すは、馬名の通り「ロマン」を与えられる競走馬だ。【奥村晶治】

(日刊スポーツ) - 5月24日9時46分更新


実を言うと、私がサラリーマン時代に東京へ転勤となり、以後たびたび大井のナイターへと訪れるようになるが、一番最初に追っかけたのがこのキャニオンロマンであった。

当時羽田盃のトライアル戦だった黒潮盃。実は私が大井のナイターを観戦した初めてのレースであったが、一騎打ちと見られたサプライズパワーを圧倒。

続く南関東三冠第一弾、羽田盃はこの年(97年)、4月29日の開催と祝日開催であったから当然現地参戦。ここでもサプライズパワーを圧倒してまずは「一冠」。既に競走馬としては完成された体つきだったし、スケールも違う。競走センスも抜群だったことから、これはかなり将来的には面白い逸材になると思っていた。また、時間が許せば、東京王冠賞、東京ダービーも観戦したいと思っていた。

ちなみに、黒潮盃、羽田盃とも、サプライズが逃げて、キャニオンが「番手」に入るといったまるで、競輪みたいな展開だった。だから羽田盃のときなんか、スタート時点でキャニオンがサプライズの番手に入るや、

「もうほとんどこれで勝ちだ。」

といっていたファンも。

ところが、その羽田盃後骨折が判明。そしてキャニオン不在の残りの東京王冠賞、東京ダービーをサプライズパワーが勝ったことから、キャニオンの強さが余計に浮き彫りとなった。

骨折は仕方ないにせよ、いつ復帰するのか?当初は年内にも、と思われたが、意外にもかなり長引いてしまい、なんと翌年の東京大賞典まで延びることに。

この年から、東京大賞典は2000Mに距離が一気に短縮された「歴史的一戦」であり、アブクマポーロが断然の人気ながらも、キャニオン「奇跡の復活」に期待もかけたわけだが・・・結果10着。

ま、1年8ヶ月ものブランクがあっては仕方ない。だが、やはりこの間の休養は長すぎた。スケールの大きな馬と思われたこの馬はその後不運と故障がつきまとい、一度は引退。ところが。

ホッカイドウ競馬でまた復帰していたとは。しかもそのホッカイドウ競馬では98年のダービーグランプリを勝ったナリタホマレに連勝するなど、「復活」の様相を見せていた。ところが、またもや故障に泣いて2度目の引退。種牡馬になるはずが・・・

その種牡馬生活に入ったと思いきや、上記に示すとおり、一頭も種をつけることなく不適格の烙印を押されてしまった。やはり、南関東のローカル重賞扱いとなってしまった羽田盃が主たる勝ち鞍だけでは、種牡馬が過剰気味な日本の生産界では、生き残っていけないのだろう。

すると、三度目の現役復帰だって。

まさか初めて大井で見た馬がこの年齢になって現役に「戻ってくる」とは思いもしなかった。

ただ上記に書いてあるとおり、キャニオンロマンはほとんど競走生活としては不完全燃焼だし、あまり使われていないから年齢以上に馬体も若いらしい。当然、自らのレベルにあったところならば、それなりの活躍は確かに見込めるような気がする。

既に引退したが、最後は高知で休んでは走り、14歳まで現役を続けたナムラコクオーという馬がいたが、そのナムラコクオーの例がある以上、コクオー以上に使い詰めされていないキャニオンロマンはまだまだ活躍が期待されてもおかしくない。また当然のことながら、最下級レベルからのスタートだろうし、ホッカイドウ競馬は古馬の層が全体的に薄いのでそこそこ活躍もできるはず。

でもオープンにまで再度上り詰めることができたとすればこれは「奇跡」という他ないが。

ま、とにかく復帰戦を待ってみよう。

コメント (3)
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