公営競技はどこへ行く

元気溢れる公営競技にしていきたい、その一心で思ったことを書き綴っていきます。

場外ではあきまへん

2006-05-10 04:41:52 | 公営競技論

公営ジャアナル、5月1日号の1面に、

「G・Wから競輪本場開催が消えた」

と題した記事が掲載されていた。

前にも取り上げたが、今年の競輪のGW開催といえば、4月27日~30日まで川崎記念、5月2日~5日まで岸和田記念が開催された一方で、その期間、他場はほとんど本場開催は行われず、その結果、岸和田記念は空前の4日間売り上げ149億円。これは4日間制G3の「レコード」。

つまり、同地で昨年12月開催された全日本選抜とほとんど変わらぬ売り上げを上げたわけで、G3はG1・G2と比較すると宣伝費もそれほどかからずに済むものだから、言うまでもなく、岸和田競輪の関係者は「ウハウハ」ものであったことだろう。ま、私は岸和田はいつも買えば取って損かスカのオンパレードなんで一切買わなかったが。

対して、本場開催が行われていなかった中四国、九州といったあたりの客筋から、こうした日程取りに文句を言われる始末だったとか。

当然、こうした長い休みとなった場合には地元に帰省する客だっていることだろう。めったに来る機会がない。たまには本場でレースを見て買いたい。さあ、やってるかな?と思いきや、

「あれ?確かにレースはやってるみたいだけど、何で客はテレビモニターでしかレースを見てないんだ?」

「選手はバンクを走ってないのか?」

ま、そうした光景だと本場開催がないことに対して文句を言う人は当然出てくるだろうね。

一方で難しい部分もある。

既に競輪施行者の大半は、

「F2戦なんかやったところでせっかくのGW開催といってもたかが知れている。せいぜいF1戦ぐらいだったらそれなりの客は見込めそうだが、売り上げはパッとしないだろうね。」

F開催に対して完全にソッポを向いている。したがってGW開催といっても記念の場外に専念する。

しかも公営ジャアナルは、競輪と違って競艇は逆にほとんどの場で開催が行われており、

「こんなときこそ新規ファン獲得のチャンスではないか。」

と述べているが、結局それは厳密にいう「新規」ではなくて、たまたた固まった休みができたんで、

「たまには行ってみようか」

といって訪れた客が来ただけの話であり、そうした客はほとんどリピーターにはなってくれないだろうと考えられる。

例えば園田競馬の場合、休日開催ともなれば普段の倍以上の入場があるけど、そういった日の「客」の会話を聞いていると、

「園田って、中央と違ってパドックが間近に見られるんだな。」とか、

「案外スタンドが小さいんだな。」

という明らかに園田を「知らない」客ばかりであることに気がつく。そして、そうしたただ「物見遊山」的な客もやっぱり年々減っている。

園田の場合、昔はお盆開催も書き入れ時の開催であったが、くそ暑い関西の夏に嫌気が差されて最近ではほとんど効果がない。つまり、条件が悪ければ、一見的な客はまず「来ない」のである。

しかしながら、書き入れ時の日程の場合には、一気に開催をそこにぶつけてくる。

園田の場合、かつて年末年始の8日間ほど全て開催としたこともあったし、今年のGWでは中央の開催がない月~金は全て開催を入れた。

ま、普段の客入りからすれば平日でも1.5倍程度の入場があったものだから、それなりの効果もあったんだろうが、去年行ったときには珍しくスタンドがぎっしりだった兵庫チャンピオンシップの開催日も、今年は空白部分が目立っていた。つまり、「やりすぎ」的な部分があるために肝心なG2開催日も必ずしも満員とはならなくなっているのである。

常連客ならまだしも、一見客がその全期間現場へ行くということはまずありえない。また、競艇の例でいえば年末は決まって住之江と尼崎は30日までバッティングし、大晦日は住之江の優勝戦というのが毎年の定番であるが、その住之江の大晦日の優勝戦日については、確か91年に32億円もの売り上げを上げたことがあった。なんと「ヒラ開催」なのにである。

しかし昨年は7億かそこらあたり。ま、それでも普段よりも多いんだが、ピーク時から比較すると4分の1程度にまで落ち込んでいる。結局最終的に残ってしまうのは「常連の客」だけということに今やなっている。

さらにいえば、競艇も昔はGW開催時期といえば決まって住之江の笹川賞の開催時期であった。

競艇が笹川賞の開催時期をGW開催時期としていたのは、まず、その昔は競輪のオールスターが決まって必ずGW開催としていたが、あまりにも客が多すぎることからその時期の開催だと警備しきれないという施行者側の考えが出てきて引き受け手がいなくなり、その結果オールスター競輪は9月開催に移行され、替わって競艇が入り込んできた形となったことにほぼ起因する。ま、今でもそうだが、競艇は競輪の動向に常に「敏感」なのである。

しかも当時はSGといっても、今とは違って場外発売もあまり活発ではなかったから笹川賞開催時期でも他は自分のところの開催に専念していた。

ところがGWの休日期間が拡大されると公営ジャアナルにも述べられているが、遠征選手がこの期間中に帰省客の「大移動ラッシュ」に巻き込まれて下手をするとその斡旋地にたどり着けない恐れも出てくる。したがって笹川賞は93年の開催より同じ5月でも月末近くの開催時期に日程をずらすことになった。

しかしながら、そうした話は建前論にすぎない面もある。というのは、笹川賞の裏開催であった他場ヒラ開催の客の入りが次第にそれほど期待できなくなってきたからだ。

たまたま競艇界は、正月やお盆の時期は地元のオールスター選手を集結させた一般開催をおこなってきた。それをGW開催時期にも充てられないか、ということになったのである。

すると、競艇はGW期間中はほとんど全場開催。そして「終わりも」ほとんど似通った日である。そうなると今年は7・8日に優勝戦日が集中して競輪さながらの、

「洪水開催」

を引き起こした。ま、ただ、今年のGWは概ね全国的に好天に恵まれたことから、各地ではそれなりの賑わいがあったそうだ。

ただ逆に客はGW期間中はATMでカネを下ろせない銀行も中にはあるため、次第に財布の中身が少なくなり、結果最後までカネが持たないという局面に立たされた。つまりT社長が、

「客にも休ませて上げてください」

と度々警鐘を鳴らしているが、今やあまりGWだからといって、固め打ち開催みたいなことをしてもだんだん効果がなくなってきているということであろう。

今年のGWの帰省等の客は、せっかく日取りがいいにもかかわらず「減った」んだという。つまり本当にその期間、じっくり休みたいという人が少なくないし、また増えているということもいえる。少なくともバブル期のように、休みだからどこへでも行ってやる!といった行動にはなってないのである。

また、正月三が日の初詣客は年々増えていて、毎年過去最高を更新しているみたいだ。これは、少なくとも神社やお寺といったところが身近に存在し、休みの日の「暇つぶし」という意味合いがあって増えているのだと考えられる。

まさに「安近短」志向が年々強まっていることを証明しているといえよう。

そんな中、私はこと競輪については以前ここでも述べたが、岸和田の記念がそれだけ売れるんだったら、なぜG1開催時期をそこにぶつけてこないのか?ということがいえるわけで、この際、だったら昔開催していたオールスターをこの時期に復活させてやればいいと提唱しているわけだが、一方で今年の岸和田みたく、3・4・5日まで他場の自場開催を潰してまでやれとはとてもいえない。せいぜい3日を決勝に据える程度が限度だと考えている。ちなみに昨年の平塚記念は3日決勝で、4日からは「お決まりの」洪水開催となった。

そうすることによって、それこそT社長ではないが、客だってGW期間中でも、

「休打日」

が設けられるわけである。

私も2年前だったか、九州に4泊5日の遠征を挙行した際、初日から早朝の飛行機に乗りすぐさま着いたとたんに福岡競艇場へと直行し、その後毎日遠征先で打っていたばかりか、大阪に戻った翌日も競艇の電話投票をしたりしたことがあったけど、正直疲れたし、もう二度とこんなことはやりたくないと思ったね。

GWだからといって客にも休ませてあげるべき。しかしながら客にも生のレースを見させてあげろ。そうした調整が今や、本当に難しくなった時代だといえる。


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