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大阪での毎日

整形外科の仕事&「職」ではなく「食」へのこだわり

難しい選択

2010年03月20日 | 仕事

最近、難しいな~と思うのは、この骨折に対して手術した方がいいのか、それともしない方がいいのか、という微妙な骨折の場合です。結果をみると簡単ですが、同じ骨折はありません。絶対しないといけない骨折、あるいは絶対しなくていい骨折の診断は簡単です。でも、どっち?という状況の骨折は、年齢やその人の仕事、環境、性格、そういったものも含めての治療となってきますが、手術しなくてすむならしたくない、というのが患者さんのいつも望むところだと思います。

でも、若い人には少しでも後遺症が残るならしますし、高齢者なら多少の後遺症が残っても、日常生活に不便のない程度なら手術をしない方をとります。

でもなかには高齢者でも手術した方がよかったかな~と思う患者さんもいます。たとえば手術しないことによってギプス期間が増えるので、その不憫によって認知症が進んでしまった患者さん、こういった場合、そこまでの予想は難しいです。

まだまだ勉強が必要ですね。

はじめての整形外科女医会

2009年12月21日 | 仕事
女医の少ない整形外科ですが、整形外科医の中に女医の占める割合は6%?とどこかに書かれてたような気がします。

一昔前までは「整形外科に女医はいらん」と堂々と公言する大学もあったほどですが、医者不足、女学生の増加で、今ではそんなこと言ってられない時代になりました~

はじめての「整形外科女医会」はいろいろな年齢層の女医さんの集まりで、おいしい料理(堺筋本町のレストランみつやま:写真)を食べながらがやがやと時間がすぎ。

驚いたことに、出席者の半分は整形外科の中でも「手の外科」志望であったことでした。そういう私も手の外科でしたよ。

ケルンの目的

2009年11月02日 | 仕事
かつて私がケルンに滞在中7ヶ月間お世話になったSt.Vinzenz Hospitalですが、今回もProf.Pennigの手術を見学させてもらうことになりました。4年前とは違った視点で手術をみて、何か得れるものがあればいいな~と。

相変わらずProf.Pennigの手術はお見事で、朝の8時半から
1.指の抜釘
2.指の骨折
3.radial head骨折
4.肘頭骨折後の肘拘縮(もちろん創外固定)

を14時までに終わらせる早さ。もちろん、ドイツの合理的な麻酔(導入室と手術室、回復室が一体化)のおかげで手術が次々こなせる、というのもあるんですが、妥協のない手術でwunderbar!(すばらしい)

至る所ににちょっとした工夫があって、わざわざケルンまで来た甲斐がありました。それにしても、開窓器を使わずなんでも筋鉤を使うので、終わった後はぐったり疲れました・・・

新たな職場

2009年09月05日 | 仕事
7月から転勤となりました。
以前は、外傷救急の多い病院でしたが、今回は久しぶりの市民病院です。

救急病院とは違って、17時で外来、検査、手術すべてが終わり、というのにはじめは戸惑いましたが、慣れるとそれはそれでいいもんで、その後ゆっくり病棟患者さんをみたり、自分の勉強ができたりと。

外傷病院から市民病院にかわると、患者さんの病気も変わります。今までは骨折が多かったのが、市民病院では慢性的な病気やリウマチの患者さんなどが増えてきます。紹介が多いので近所の診療所でわからない病気の人とかも来ます。、「ん?なんやろ、この病気は?」と思うこともたまにあり、日々勉強がかかせない毎日です。でも、新たな分野の病気や手術は楽しいもんで、それで患者さんも喜んでくれると本当にうれしいです。少しでも進歩できるよう、がんばっていきま~す。

写真は結婚記念祝いのディナーなデザート。どれもこれもおいしかったです。

女医のメリット?デメリット?

2009年03月16日 | 仕事
ちょっと真面目な話。

最近、自分が患者の立場で通院することがあるんですが、やはり患者になってみないとわからなかったことっていっぱいありました。といっても、私も医者なので、本来の患者とはちょっと違うかもしれませんが、診察室に入るときは緊張するもんで、検査ともなるといややな~と思うことも。先生にいろいろ聞きたいこともあっても、あんまり根掘り葉掘り聞くのもためらわれる気持ち。でも、勉強でもそうですが、人に教えてもらうよりも、自分で調べることの方が理解が深かったりするので、結局は自分でもネットとかで調べてわかることもありました。なので、若い患者さんは、医者まかせになるのではなく、自分でも調べることもいい方法ではないかな?と自分自身は思いました。

今、私の担当医は女医さんですが、私は女医びいきかもしれません。男の先生より安心感?みたいなものがあって、同性ということもあって相談しやすいからです。

自分が女医で、若いころは高齢な患者さんから「先生は手術はしないんやろ?」と自分が手術した患者さんから言われるとショック。高齢者の頭の中には「外科で女医さん」はありえなかったのでしょう。女医であるからこそ頼りなくみえるのでがんばらんと、と思っていたんですが、退院するおばちゃんたちから「女医さんでよかった」と言ってくれるようになり、また、最近ではおじさんまで「女医さんやったから局所麻酔の手術が怖くなかった」とかと言ってもらえるようになってから、女医であるコンプレックスが少し楽になったかも。

女医ならではの利点をもっといかして仕事していければ、もっといいのでは?
病院に来る患者さんは、私が思っていたよりもっと不安な気持ちで来られてると思って、もう少し女性らしくやさしく接していけたらなと思います。

写真:ちょっと遅すぎるひな祭り

新聞

2008年12月06日 | 仕事
毎日のように医師不足、施設不足の記事を目にします。

先日、ちょっと驚いた記事がありました。

たびたび妊婦さんが合併症で亡くなったり、受け入れ先がなくて胎児が死んでしまったりという報道が多い中、私が生まれたころの1970年には妊婦さんは1000人以上(1年間)に亡くなってたそうです。ところが、去年1年間で妊婦さんが亡くなった数をみてびっくり。

35人です。

これって世界で1位の水準なんでしょうね、多分。産婦人科の先生には頭が上がりませんね。

でも、受け入れる状態でないのに断ったらバッシング、無理に受け入れて待たせたら患者からどなられる、訴えられる、なんだか難しい世の中になっちゃいましたね。

送別会

2008年07月28日 | 仕事
今年の1月から勤務した横浜の病院ですが、今月いっぱいで退職し、大阪に戻ることになりました。7ヶ月と短期間でしたが、職場で送別会を開いてくれることになりました。久しぶりの宴会ということで、盛り上がり、楽しい会となりました。ありがとうございました。

ところで、横浜も大阪も同じ日本。違いがあるとは思ってませんでしたが、世界が狭くなってきているこの時代でも、結構違いがありました。

やはり言葉の違いって大きいんですよ。特に病院なんで、不安でくる患者さんが多いなか、地元のことばで話すのが一番患者さんとしては安心するのではないかと思うんですよ。ところが、私のこてこてな大阪弁となると、どうだったんでしょうか。しかも、老人、子供は大阪弁ではなしかけるとちょっとわかってない風?!なときもあったので、極力語尾を「・・やねん、・・あかんやん、・・してや」は避け、「・・でしょ、・・だめでしょ、・・してよね」とちょっと努力してみました。でも、イントネーションまではなおせません。

あと、かなり驚いた違いといえば、アンケートです。
手の手術が終わって、外来通院も終了となったとき、患者さんがいかに満足したというアンケート(専門用語ではDASH score)をとります。たとえば家事が問題なくできたか、それも支障があったか?ということを5段階で30項目答えてもらいます。
結果をみてびっくり!関東の患者さんはめちゃくちゃ評価が高いんです、関西人に比べると。たった半年で私の手術の腕前がそんなにあがったとは思えないので、つまり、遠慮してるんですよね~ 関東の人って。

関西では「あんた、友達やった?」と思うくらいはじめから馴れ馴れしいのが珍しくない患者―医者、の間柄ですが、関東では半年たってやっと本性現る!みたいなところがあります。ちょっと内気なんですね。

半年で病院をかわってしまうと、今まで治療してきた患者さんを中途半端に他の先生に診てもらうことになり、患者さんからしても、捨てられたような?まあ、中には先生、かわってよかった・・・って思ってる人もおられるかもしれませんが・・・ちょっと自分の中でも無責任で気が引けます。もっと責任がない若い頃なら短期間でもいいと思うのですが、もう医者も10年を過ぎると、患者さんをなるべく最後まで診ていきたいと思うようになりました。中には「転勤する場所を教えてくだされば、ついていきます!」とうれしいことを言ってくれる患者さんもいましたが、さすがに「大阪ですよ」というと「・・・」。
本当に、最後まで診れなかった患者さん、申し訳なかったです。

久しぶりの仕事の話でしょうか?

2008年06月29日 | 仕事
最近、骨折して他の病院で治療したけど、うまく治らなかったという患者さんの手術をする機会が増えきました。こういった手術自体はやりがいがありおもしろいのですが、患者さんにとったら初回できちんと治るにこしたことがないので、気の毒です。一旦変形して治ると、2回目の手術の方がはるかに大変です。

先日も指の骨折の患者さんがきました。
その方は整骨院で治療を行ったんですが、固定の仕方がよくなく、骨はちゃんとついたんですが、全く曲がらない指になってしまったのです。整骨院ではレントゲンをとれないので仕方ないんでしょうが、折れる場所や折れた程度によりさまざまの固定法があります。

結局、手にしては侵襲の大きな手術をすることになったんですが、患者さんはしきりに「もう少し早く整骨院ではなく病院に来てれば・・・」と言います。

前医を批判し患者さんに「そうですよ~ もっと早くきてくれたらこんな手術しなくて済んだのに」と内心思ってても、前医を批判して得るものは何もないらしいです。

これは私の師匠でもあるPro.Pennigの教えですが、「前医を批判しても、これから治そうとしている患者にとってマイナスになるだけ。恨みがあるとこれからの治療がうまくいかない」

先日も、うちの病院の先生がした処置に文句をつけ、患者さんを送り返してきた病院があります。どの処置がbestであったかなんて、この患者さんの場合、今のところなんとも言えないんです。でも、前医を批判することで、自分を信頼させるやり方はあまりいい先生ではないと思います。

ひとのふりみてわがふりなおせ。の精神でがんばりたいと思います。

外科医は技術ではない?!

2008年06月08日 | 仕事
先月、NHKの「英語でしゃべらナイト」に心臓外科医・須磨久善先生が出演されてました。今では超有名人。日本や世界で難関心臓手術を多数こなされ、「医龍」や「チームバチスタの栄光」の監修も行っているのだとか。実は、私の大学の先輩?!だったんですね。

ところで、番組でのインタビューで私にとって印象深い会話がありました。

手術で一番大事なことは「技術」よりも「術前にさまざまな状況を想定しイメージすること」とおっしゃってました。

ん~ 重たい言葉。

今まで教えてもらいながら手術をしてきた立場から、一人で手術する立場に変わってきて、うまくいかない場合、予想外のトラブルが起きる場合、など、患者さんの疾患によって100人いれば100通りの手術が必要な状況に出くわします。

そんなとき、「さまざまな状況を想定しイメージ」が術前に十分できてないと、手術はうまくいかないし、これが十分できると手術もうまくいきやすいんだと思います。

患者さんは私を信頼して?かどうかわかりませんが、もしかしたら、いや、結構な確立で家が近いからという理由でたまたま私に手術されることになっている方がほとんどとは思いますが、でも、手術するからには信頼して手術を受けてくれることを思うと、術前の勉強はやりすぎて困ることはないのでしょう。

須磨先生の言葉を肝に銘じて精進していきたいと思います。

恐ろしいネイルアート

2008年05月07日 | 仕事
これは先日、やっと骨折が治った患者さんからいただきました。

「これを私と思って」と言い残し彼女の分身をおいていきましたが、確かにちょっと面影が・・・

彼女はなぜ骨折したか?というと、足の指に最近流行のビーズつきのネイルアートをしていたんですよ~ ところが、床に落ちていたスーパーの袋がビーズにからみ転倒。そして骨折・・・

おそろしいですね~ 足の爪ってちょとでもささくれるだけで、寝ているとき自分の足に当たったりなんかしたら、「痛っ!」って状態やのに、ビーズがついてたらどうなってしまうんでしょうか?