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大阪での毎日

整形外科の仕事&「職」ではなく「食」へのこだわり

麻酔から覚めたとき

2011年11月29日 | 仕事
先日、患者さんが麻酔から覚めるかどうかのもうろうとした状態のときに、
「○○先生~ ○○先生~」と私を探すではないですか~

子供なら確実に「ママ~」と泣き叫ぶところに
私の人生2倍は生きたであろう このおじいちゃん患者さんは私を呼ぶのでした・・・

このおじいちゃん、病気になってこの2年間、本当に大変で、紹介されてきたときには
にっちもさっちもいかない状態。でも、根気よく治療し、長年受け入れることができなかった自分の病気も
なんとか受け入れることもできて、やっと「最後の手術」という日でした。

無口なおじいちゃんなので、普段はあまり病気の愚痴も言わず、不安を語るわけでもなく
一見、ひょうひょうとした感じなんですが、もうろうとした意識の中、私を探す、ということは
この手術が本人にとってもよほど不安やった、んやな~

医者と患者の関係に優劣はなくとも、患者さんがどんなに高齢で私と親以上に離れていたとしても、
患者さんにとって「医者」というのは精神的に頼ってこられる対象なんやな~
と考え深い1日でした。

まあ、ひょっとしたら、私を呼んだのは頼っているからではなく、
「手術うまくいったんやろな~」という疑心感?! いや、いや、ここはいいように考えときましょう

日々患者さんから教わること

2011年10月24日 | 仕事
先日、80歳代のおばあちゃんの手の骨折の手術をしたんですが、もちろん骨粗しょう症が必須で、
骨をねじで止めようにもぐすぐすな状態で、でも、どうにかきれいに骨折を整復して
プレートとねじで固定。

元々の骨の状態も骨折の状態もよくなかったので、ほかの患者さんの倍ほど長く外固定(ギプスのようなもの)も
しました。
外固定をはずして3週間経過し再び来院。

レントゲンをみて
私「が~ん!骨折、ずれている!!」

で、よくよくおばあちゃんの話を聞いてみると
自転車乗ってる?!
プール行ってる?!

私:「プールから出るときって手すりもって階段よじのぼってますよね?」
おばあちゃん;「え~ まあ・・・」

なんか、あかんかったみたい?と気づいたのか、

おばあちゃん;「なんか先生がせっかくきれいに治してくれたのに、悪いことしたな~」
私:(私に気づかうんじゃなくて・・・ 手に気遣ってほしいわ・・・とほほほ~)

あ~ あれだけ、手に体重かけたらだめ、重いものもったらだめ!と説明しているのに、
所詮、一人暮らしのおばあさんにとっては、
手に体重かけたらだめ、重いものもったらダメ=自転車はあかん、プールの階段あかん、
とはならないのか~

私があまりにも悲しそうな顔をしていたのか
おばあちゃん:「自転車はね、本当に乗ってるんじゃなくて、またがって、足で蹴ってるだけなんですよ~」
私:(足の問題ちゃうねん・・・)

幸い、患者さん自体は手の痛みがないらしく、ほっとしますが。

あ~でも、「治療をする」ってことは患者さんの行動をそこまで見抜いて治療をせなあかんってことやね~
今日も患者さんから大切なことを教わりました。

医者の家族ががんになったら

2011年09月21日 | 仕事
先日、幼稚園からの同級生から電話が。

医療関係者以外の友人から電話がくるときは必ずといっていいほど「病気の相談」
しかも、そのほとんどが専門外・・・

内容は自分の父親が「がん」になって、それまで口を酸っぱくして
検診を受けるように言ってたのに、受けなかったことが悔やまれるということ、

そして、

担当医師があまりにもたんたんと説明するので、果たしてその医者の家族が「がん」になったときも
そんな対応をするんだろうか?という疑問?というか、やや憤り

でも、その医者の提供する医療には満足しているようで。

そういわれると、私の患者さんで、私が直接がんを宣告することはあまりないですが(専門が整形外科なので)、
初診でみてこれは手術しかないか、と思ったときには たんたん、と説明しているのかもしれません。

病気を見慣れている、ということもあるし、治るものは治す、だめなものはだめ、という知識がある、といった点で
患者さんと医療者側のギャップはあるんでしょうね。

さて、自分の家族に対して医者がどうなんや?という質問ですが、医者によって十人十色ではあると思いますが、
私は、患者さんの治療選択で悩んだとき「自分の家族やったらどうするか?」
を考えなあかん、と教えられ、そうしてきたつもりですが、最近、一概には難しいな、と思うようになりました。

なぜなら、自分の家族はお互いに絶対的な信頼があり、その上で治療をする、つまり、
何が起きても納得してくれる、という関係があるからです。

研修医の頃、ものすごい有名なカリスマ性のある先生の元で仕事をしていると、
患者さんは足を治しにきているにもかかわらず、命をも預ける勢いで入院してきます。
そういった患者さんが一番幸せなんじゃないでしょうか~


紹介状×病院

2011年08月31日 | 仕事
最近の総合病院では「紹介状がないとみません!」と高飛車なところが増えている!とよく言われます、そういううちの病院もそうなんですが・・・

でもこれも一応、わけ合ってやってることなんですよ・・・

(このブログでも何度も書いてますが)高齢者がものすごい勢いで増えている日本で、整形外科の患者さんのほとんどが高齢者なんで、病院の外来はパンク状態なんです。 それで、待ち時間がものすごく増えてしまって、待たせてる医者もイライラ、待っている患者もイライラ。

整形外科の場合、外来だけするってわけにもいかず、手術、病棟もこなさないとだめです。そのためには年々増えていく外来初診患者さんをどうにかしないといけなくなったんです。

そこで、まずは開業医さんに診てもらって、病院でないと治療ができない「手術患者さん」や「CTやMRIなどの特殊な検査」が必要な人になるべくしぼって外来診察をして、「薬希望」や「手術は必要ないけど外来通院が必要な患者さん」は開業医さんにお願いしよう、という経緯があります。

私がドイツに行った2004年には、ドイツではすでにそうなってましたが、ドイツの場合、さらに、術後もすぐに開業医でみてもらって、病院では数か月に一度レベルだったんで、「なんじゃこの手術は~」と思った開業医さんは、ほかの病院に紹介しなおす、というパターンがままありました・・・ まあ、ほとんどそういった症例は本当の整形外科が手術したわけではなく、外科の先生が手術しているケースが多かったですが。

日舞×整形外科

2011年08月17日 | 仕事
日本舞踊ってあまりなじみのないものなんですが、患者さん、特に中高年のおばちゃんたち、結構、やってます。

この日舞、あんなゆっくりした動きの踊りですが、すごいんですよ、

おばちゃんの骨折の代表といえば、手首の骨折、専門用語では「橈骨遠位端骨折」なんですが、いくらきれいに治しても多少の手首の動きの犠牲は残ってしまいます、が。

たまにものすごい回復をみせる患者さんがおって、また、年の割に(年いくにつれて、関節は固く、動きは悪くなるもん)骨折してない方の関節もものすごいやわらかい人、必ずといっていいほど、日舞、してます。

日ごろからのストレッチ、運動の大切さを患者さんから学びます。自分より体が硬い人をみたことない私ですが、思い出した時しかストレッチしてなんですが、今日から毎日しよっと。

吸うな!

2011年05月14日 | 仕事
以前、指をばっさり骨が見えるまで切って来院された患者さんがおられました。そんな人はたくさん来るんですが、この人のとった行動が医療者側の立場からはえ~!!!!!!!っ的な行動を。

なんと、ぱっくり開いた傷口を、血がでるからと、ちゅうちゅう自分で吸ってたらしい・・・

この行為は「だめだめな行為」ですね、

どうだめかと言うと、人間を含め動物の口の中は雑菌だらけ、そんな口で傷口を吸うなんで、あえて雑菌を混ざっておくれ~ とお願いしているよなもんです、でも結構、みなさん、実際はやってるでしょうな、

犬猫にかまれたり、喧嘩でこぶしが人の歯にあたっただけで、雑菌が繁殖して骨まで溶けてしまう、こんなこと、意外にあるんですよ。

こういったときは、まずは流水(水道水)でもいいので、傷を洗って、なるべくきれいなもので傷を圧迫して病院へ行きましょう。


整形外科の商売敵?!

2011年03月28日 | 仕事
患者さんに「整骨院に行ってるんですが、効果あるんでしょうか?」とよく聞かれます。
外傷を診る、という点では整形外科も整骨院も共通してますが、いかんせん、医学部では整骨院の勉強はしていないので、知るわけないですよ・・・

でも、世の中の人があれだけ整骨院に行くからには、やはりいいんでしょう~ ということで、物は試し、家の近所の整骨院へ行ってみました。

整骨院は「急性期」つまり、捻挫や脱臼などの急に起きたものだけが保険適応で、慢性の腰痛や膝痛などで保険診療を行ってはいけないんです、実は。そこらへんが生ぬるい時代もありましたが、今や医療費が年々かさむ日本でちょっとは厳しくなったのか、私が行った整骨院ではちゃんと「急性期でないと保険適応外です」と書かれてました。

で、首の捻挫を治療してもらったんですが、揉んでもらうと確かに楽になります~ しかも、あちこち体を触って診察した上で施術を開始します。

私たち整形外科はレントゲンやCT,MRIなどのすごい武器があるので、ついつい、患者さんの体を触ることがないがしろにされているときもあるかと思います。そういった点で勉強になります!

ただ、整骨院も商売なんで、むやみやたらに不安をかきたてるようなこと、「あなたの背骨は普通、2箇所ぐらいのゆがみが、何箇所もありますよ~」とのこと。レントゲンでゆがんでないのは確認済みやけど・・・

患者さんの、痛みの原因が知りたい、かつ、重大な病気はいややけど、ちょっと悪いぐらいのこと言ってほしい、この心理をよく掴んでる整骨院の先生でした。

ちなみに私の職業を聞かれてもじもじしていると「事務員ですか?」といわれ「そうです」ということにしました。

東北震災後1週間が経過して

2011年03月19日 | 仕事
11日のあの揺れ(大阪でもめまいのような長い揺れがありました)からこれだけの被害が広がるとは予想もできなかったことですが、震災の被害にあわれた方、そして今も避難生活を送られている方、そしてそれを支援してくださっている方には、一刻も早く心からやすらげる日がくることを祈るばかりです。

医師専用サイトのHPでは、歯科医師の派遣を訴えており、なんで、歯科医?!と思いましたが、
歯型から身元確認が必要とのことでした。阪神大震災のときは、先輩整形外科医によると、多くの外傷患者さんがいて、整形外科が必要とされた、ということでしたが、今、歯型でしか身元が確認できない方がたくさんおられるとはなんだか・・・
でも、残された家族さんの立場にたつと、なにがなんでも身元をはっきりしてほしいですもんね。

今はどこでも義捐金などの寄付ができるようになっていて、できることといえばそれぐらいですが、少しでも早く元の生活に戻れることをこころより祈ってます。

元気に長生きするポイント

2011年02月19日 | 仕事
最近、患者さんをみててわかったことあるんです。

なんども骨折して、普通やったらとっくに寝たきりになっててもおかしくない高齢のおばあちゃんや、腰が90度近く曲がった上に、骨折し、もう、寝たきりになるな・・・と思ってるおばあちゃんたちが、いつまでもどうにか自分の身の回りのことはできるレベルを保って外来に来ます。みなさん、四捨五入したら90歳です。

この患者さんたちの共通点は・・・

「独身の年いった息子」と生活しているんですよ。

とあるお元気なおばあちゃんも、手の骨を折るまでは息子の食事から洗濯からすべてこなしていて、それが、手術後も同じレベルを保ってます、普通は90歳近いと、手術後は家事なんかしない、というか、まわりがさせない?!気力がない?!

母親にとって息子は何歳になっても息子で、息子も何歳になっても母親に頼る、
これが「元気に長生き」するポイントなんですね。

近況

2010年05月01日 | 仕事

やっと春らしい季節となってきましたが、連休中ということもありどこかへ行きたいところです。

こちらの病院に赴任して10か月がすぎようとしてますが、日々忙しくなる毎日で、気を抜くと、手術記録やら退院サマリーやら、学会の準備などがたまってしまう毎日です。待ち時間のない外来を目指して予約も自分がこなせる人数を!と思っていても、なかなかそうはいかず、外来枠からはみだして結果として、患者さんは待つ、私も疲れる・・みたいな状態です。

つい先日もある患者さんが「先生の外来はいつもはよ呼んでくれたのに、今日は待ったわ~」といわれ、「そうやねん、患者さん増えてきて予約が満タンやねんけど、どうしたら減るとと思う?」とつい、患者さんに相談・・

手術をたくさんすると外来患者さんも増えるわけで、外来が込みすぎると手術する時間が少なくなるわけで。

ということで、近所から紹介いただいた患者さんは、たとえば術後、近所の病院と連携しながら交互にみてもらうっていうのはどうでしょうかね~

ドイツの病院では術後はすぐに開業医さんにお願いして、病院では数か月に1回、みたいな感じで診てたな~ そういえば。合理的やけど、そこまでするのもちょっとね~