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大阪での毎日

整形外科の仕事&「職」ではなく「食」へのこだわり

すごい時代がきたわ

2012年02月23日 | 仕事
の手術にもいろいろあるんですが、指の骨折などは直径1mm程度のステンレス製の
鋼線をいれて骨折を治す手術(経皮的鋼線固定術)というのがあって

鋼線を長期間置いておきたいときは皮膚の下に先端を埋め込むんですが、1,2か月以内
に抜く場合は、先端を皮膚の外にだしておいて、骨折が安定してきたら
外来の診察室で鋼線を抜きます。

ところで、これってあまり痛くないらしく、子供でも比較的ケロッとしているんですが
(泣く子はどちらかというと不安で泣く場合が多い)
鋼線を抜くためのペンチも持った途端、患者さん、ものすごくおびえます

「大丈夫、痛くないから」といいながらペンチを持っている姿
というのもなんだか矛盾している、と自覚はしているんですが。

ところで、先日、鋼線を抜きに来た患者さんが、
抜いた後、
「あ~なんや、youtubeでみたほど痛くないやん」

って????!!!!

えっ、そんなんもん見れるんですか?

マウス症候群

2012年02月13日 | 仕事
病院での電子カルテが始まって1年。

最近、マウスを触ると、指が痛くて、そうしていると、手首→
肘→肩→肩甲骨、とまあ、ここ1,2か月で痛みが拡大してきて、
これって絶対マウスのせいやな~とわかっているものの、
マウス使わんと仕事にならず

マウスパッドで手首をあげてみたり、左手でマウス持ってみたり・・・
と工夫はするもの、こういうのって、なったときにすぐ原因である
動作をやめないと、治らんもんですね~

先日も同じ症状の男性が来ましたが、聞けば聞くほど私と同じ症状

内心、手の外科医である私が困っているのに、他人など治せるわけもなく・・・

私「どんな姿勢が楽ですか?」
患者「腰に手を当てて肘を前に出したら楽です」

で、実際私も患者が去った後にやってみると、「楽やん~」




伴侶に先立たれるということ

2012年02月10日 | 仕事
先日、80歳は越しているであろうおばあさんが病棟にお見舞いにきたらしいんですが、
病室の前で困っているよう。

看護婦さんが話を聞くと、見舞いに来た身内の名前を忘れたのこと

やっとの思いで思い出した名前の人物は入院してないし・・

これは認知症があるな~とみんな心配していたところ、

看護婦さんたちが、もしかして、去年亡くなられた○○さんの奥さんちゃうか~
ってことになり、本人に確認したところ、ビンゴ

再度、そういう人は入院していないことを何度も説明するも納得されないよう、
しかも、ご主人さんが入院していた病室の前から離れない・・・

ご主人さんが亡くなった、ということはわかっているようですが

なんどとなく足を運んだであろう夫の病室に来てしまった、といったところでしょうか

一人で帰れる、ということで、帰ってもらいましたが、
ちゃんと帰れてるのか、その後、ちゃんと生活しているのか、なんだか心配ですね。

それにしても、なんとも切ない実話です。

男性の乳がん

2012年01月21日 | 仕事
今朝の新聞で「男性の乳がん」についての記載を読みました。
そこでは、男性で乳がんにかかった人が、男性乳がんをもっと知ってもらって
早期に防いでほしい、というHPが紹介されていました。

うちの病院では乳腺専門外来があるためか、私の外来に来る患者さん
の中にも乳がんの男性患者さんがたまにいます

記事によると男性の乳がんというのは乳がんの1%で、やはり頻度的には圧倒的
に女性です。
男性にも乳腺があり、エストロゲンという女性ホルモンも分泌されているので、
乳がんにかかるリスクはあるようですが、特に60歳越してからの発病が多いそうです。

女性に対しては乳房の付近にしこりがあったら、乳がんかも?ということは女子高生
でも知っていることですが、
男性の場合、「まさか、乳がん?!」という発想がないためか、早期発見を逃しがち
だそうです。
でも、女性と違って乳房に脂肪が少ないので、気づきやすいのでは?

こんなん絶対ガンちゃうから~ と過剰に心配性な患者さんから、
こんな大きなしこり、なんで今までほっといたん?と自分の体に関心のない人から
ほんと、いろんな患者さんがいますが、

おじさま方、今晩は自分の胸を触ってみてくださいね


手術代払えない

2012年01月20日 | 仕事
肘のところで神経が障害されて手が麻痺してきた患者さんが紹介されてきました。
手術以外の治療法がなく、患者さんも手術を受ける決心をされ手術に必要な検査まで澄まして
日程も決めたのに、突然の手術キャンセル

どうも、検査が終わった後に会計で手術費用の概算を聞いたらしく、
とてもじゃないけど払えない、とのこと。

でも、手の麻痺で食事やコップ持つのも大変な状態で、確実に進行していく病気なんです。

ふと、実家の母の近所の人を思い出しました。
熟年離婚した一人暮らしの60歳のおばちゃんなんですが、離婚したため生活保護をもらって
生活してます。

ある日、母がおすそわけを配ったときのこと、お礼にと
「湿布」をくれたそうです。

生活保護の人は病院治療費だけでなく薬代もただ。
だからってこういう使い方はどうなん?と母は怒り心頭

たしかに。

こういった無駄に使われている湿布があるなら、手術を受けれない困っている人に
少しでもまわしてやってほしい

縫合は縫合やけど

2012年01月18日 | 仕事
普段 仕事柄、「縫う」といえば、人間の皮膚ぐらいしか縫っていないですが
(こんな言い方したら、「羊たちの沈黙」を思い出して自分でもちょっとぞっ~としますが・・・)
今日、ついに、ズボンのすそ上げをしました
すでに2年前に支給された白衣ズボンですが、面倒すぎてあっという間に2年が経過。

意を決して縫ったんですが、皮膚を縫う感触と違って、「布」って疲れるわ~ 
しかも、裏から縫うから直線に縫ったつもりが、完全「曲線」やね

なんでも慣れやね~

ということで、私の足元、絶対、見ないでね

女性の片頭痛

2012年01月14日 | 仕事
20歳代より片頭痛で悩まされている私ですが、まわりを見渡せば30~40歳代の
看護婦さんたちも結構「片頭痛もち」が多いようです。

実は女性の12%程度が片頭痛もちで、男性と違って、月経周期に左右され、かつ、
痛みが数日続く頭痛が多いようです。

というのも女性ホルモンであるエストロゲンに関係しているため、生理開始後や排卵時期
に片頭痛が多いそうです。

片頭痛ってなったことない人からすると「たがが頭痛で!」と思いがちですが、
頭が割れそうに痛くて体を立てておくのもやっと、ってな感じのつらさなんですよね~

10年前ぐらいから片頭痛の薬も発売されたんですが、飲んだ人が必ず言うのが、
「効かない」

たしかにすっきりするときもあれば、全然きかないときもあって、なんだが頼りがいのない
印象が強いようですが、

今回、私が新しくのみだした女性ホルモンによる変動を考慮した「アマージ」は
期待ものです。

日本頭痛学会でも、いまや片頭痛治療薬では「アマージ」がいいね、ということらしいです。

ただし、1錠1000円弱、つまり3割負担でも300円弱、という薬の中でもかなりいいお値段
します
、が効くとすごく楽になるので、一度はお試しを。

患者と医療者側の溝

2011年12月26日 | 仕事
最近、ちょいちょいある問題が入院期間、あるいは入院適応。

10年前なら 足の付けの骨折(大腿骨頚部骨折)したとしよう、
手術して、リハビリも十分して2か月ほどして退院、てな感じでしたが、
今は、手術して抜糸したと思ったら、リハビリ病院へ転院してください、
と言われる。これ、少し大きめの病院では当たり前になってます。

これって、DPCのためなんですよ~

DPCって医療関係者はほぼ全員知っている単語なんですが、一般の人知ってるんかな?

DPC=診断群分類包括評価、つまり、医療費の定額支払い制度のこと。

今までは入院中に検査したらした分、患者さん負担になってたんですが、このDPC
というのは、たとえば「大腿骨頚部骨折」に対して、
入院中にどんなけレントゲンとっても、どんなけ採血しても、病院としては一定の利益しかなく、
また、入院期間も標準期間、というのが決められているので、入院が長引くほど、
検査が増えるほど、病院としては利益が下がるのです。

一方、患者さんからするといくら検査をされようがされまいが、一つの病気に対して
一定額の支払いになるので、全国どの病院で治療を受けようとも、同じ入院費で済む分
、べらぼうに高い請求はされないことです。

お気づきかと思いますが、
問題点は、検査が少ないほど病院としては利益があがるので、手厚い医療が減るということ。
また、「入院中についでにほかの科をかかりたい」、と言っても、病院としては
入院している病名でしか医療費を請求できないので、ダメダメ!となること。

特に手の患者さんは、歩けるので、標準入院期間が短く、一人暮らしの老人が患者さんの場合、
包帯が取れるまで入院したい!となっても、病院の利益を考えたらダメなんです。

患者さんからすると、病院が利益を追求するなんて・・・という考えがあるようですが、
病院も赤字ではつぶれてしまう時代なんで、「あきんど」、とまではいかんでも、地域の病院として
末永くやっていくためには、経営をしっかりしていかないとだめなんですよね~

5年前と比べても厳しくなっていく医療サービス。
今後、どんな病気になってもまず、長期入院は無理、と思うと、入院保険を解約したのは
正解やったなとひしひしと感じるのであった。

病人ばかりみていると

2011年12月21日 | 仕事
先日、赤ちゃんの患者さんが来ました。
病気といえば病気やけど、予防すれば防げる病気で、そういう意味でもほっとするし、
若いパワーでかわいらしさを振りまくところも癒されます。

と、そう考えると、来る日も来る日も病人というか、整形外科なんで、けが人?
をみてると、私の心が疲れていることに気づきました。

以前、兄が経営している古本屋の店番をしたことがありますが、お客さんは自分の好きな本を買いに来ている
人ばからりで(そりゃそうや)、なんだか幸せ売ってる~感が満載でいいもんでした。

そのときに「自分って、間接的には幸せ売ってるかも知らんけど、基本、不幸になったわ~
と思ってくるのが患者」やな、と思ったんですが、今日は、
「そういうひとばっかりを相手をするって、結構、きついな~と」ふと思った!
というより、気づいたんですよ ついに・・・

多分、今日は特に「どよ~ん」とした精神的にもまいっている患者さんが続いたから
かも知れませんが、来週は、サンタよりも、私を癒してくれる子供の患者さんか、
あるいは、私をお世辞でもほめてくれる患者さんが来てくれること祈ろうっと。


手外科専門医試験 

2011年12月06日 | 仕事

来年4月に4回目の「手外科専門医試験」が施行されますが、過去問題も少ししか公開されておらず、

ほんと、苦労しました。もう受けたくないですね・・・

今年、私が受けた中で記憶に残っている問題をアップさせてもらいます。参考になれば

ただし、過去問題は回収されているので、あやふやだったりするので、そこんとこよ・ろ・し・く

1.先天性、腱移行、腕神経叢の出題はなかったような。でも、その前年には手の先天異常の分類が

 日本手外科学会が作成したもの(アメリカ版と微妙に違うので注意)から詳細に出題。腱移行については数門

 出題

2.パッチーニ等の知覚受容体について

3.広背筋皮弁の動脈は?

4.指切断のzone

5.身体障害等級

6.Dupueytrenでの屈曲拘縮とはならないものは?

7.装具オッペンハイマーなど、

8.腱交差現象

9.尺骨つきあげの手術方法数種類(名称)

10.手のXp撮影法  クレンチフィストなど

11.Foveaに付着するもの 浅層部位?深層部位?

12.WAFで使用しない動脈は?

13.essex脱臼骨折とは?

 14.神経伝道速度の計算

あとは、教育研修会テキストから解剖が結構出題されるのと、分類 Badoなど、詳細にでます。

分類なんか、覚えんでも、診察室に本置いとけばいいんとちゃうか~と思うけど、

ゆるぎのない問題を作れる、ということで、出題されやすいんでしょう、解剖も。

逆に治療などは人それぞれなんで、あまり出ません。そりゃそっか。

印象としては整形外科専門医のように基本がわかってればいい、というのではなく、

手の外科の先生が作ってるだけあって、マニアックで細かいです。想像しただけで納得

普段、手術の勉強や新しい治療、患者さんに対する治療法を探すために論文を読んだり、と

基礎を通り越した勉強が主になってしまっているんで、あらためて基本を中心に勉強する、

という意味では貴重な経験だったと思います。

でも、もう専門医試験はこりごり。