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ようこのかまど

おいしいからうれしくなるのかな、うれしいからおいしくなるのかな。

そこにいてくれるということ

2017年05月20日 | デキんレジのインチャージノート
始まりました、ICU病棟長。

初週の異様な忙しさを抜けたところで
ふと自分の置かれている恐ろしい立場に気付いてしまったのか
それまで知らず知らずのうちに抑え込んできた
悔しさとか、不甲斐なさとか
いろんな感情がどっと押し寄せてきて、それを受け止めきれなくて
とっさにメールを打った。
打つ相手が、いた。

あとで考えると不思議。ふだんなら絶対人に明かすまいとするはずだから。

でも今回は、 この存在を与えられていたから
私はその日を乗り越えられたと思えるのであって
離れていても、時差があっても
そういう存在がいるという事実だけで
また前に進める気がしたんだ。
うまく伝わらない。
伝えなくちゃいけない。


ハイカロリーな出前ばかりなのに
明日の結婚式で着るドレス、余裕で入った。
あとは式に間に合うかどうか…(これから高カリと低ナトが入室してくるらしい)

心身ともに削られる、だからこそ何かだいじなことに気付かされるのがICU。そいえばそうだった。

1001 ÷ 365 = 2.74…

2017年05月05日 | デキんレジのインチャージノート

大好きな羽衣ジャスミンの咲く季節です。
ハンドクリームや柔軟剤などジャスミンの香りのグッズがあるとすぐ買ってしまいますが
夜風が届けてくれるこの香りがやっぱり一番好き。

こんな夜は、シェエラザードのメロディが流れてきます。
千夜一夜物語。1001日を過ぎた時、妻に傷ついた国王の心もいつのまにか癒えていたという。
3年待てばいいのかなー。いま3日でも結構長いけど。


*****


来週から始まるICU病棟長の引き継ぎを受け、入室に向けて髪の毛減らしてきました。
こんな私でもそれなりの高揚感です。荷造りしなくちゃ。

そしてガミガミ叱ってきた一年生とももうすぐお別れ。
当直で他の先生に預けるだけでもハラハラしてプレゼンの添削前添削などしてしまうほどなのに
次の病棟長に引き渡すなんてまだ不安すぎる…
自分の教えたことが結果として良くも悪くも真っ白な一年生の行動に現れるのを観察するのは楽しいことでしたが
その子たちの一挙手一投足が私の評価に反映されると思うと、指導する立場もなかなか厳しいです。

でも結局いとしい後輩たち。
明日は「先生行かないでランチ」を企画してくれているそうですよ。
嬉しいねえ。おばさん喜んでお金出しちゃうわ。

さて、周囲の恋人たちの連休ムードなんてへとも思わないくらいに夢中になろう、
(実際そうでないと間に合わないかもしれない)学会ポスター作り。

アラサー

2017年05月04日 | デキんレジのインチャージノート
最近ハマってることは
う〜ん、ウォータープルーフのスピーカーちゃんを浴室に持ち込んで“今日の入浴剤”を入れたお風呂で熱唱?
…今日久しぶりに会った友人に聞かれて認識した。フルートでも朗読でもありません、はい。

一年生の指導しながら病棟回すのも大変だけど、子育てしながら医局員やるのも相当大変そうでした。
ふたりともたぶん日々の生活にヘトヘトで、以前のようにギャーギャー喋ったりもしなかったけれど
自らの置かれた環境に怒りながらも、思ったように勉強できなくて不安になりながらも、「私がやらずに誰がやるのよ」と根性でがんばっている点が共通しているのが、お互い感じられて励まされた気がする。

静かな狭い家に帰ったら帰ったで、同期の結婚式の準備。
彼らばっかり幸せそうに見えるけど、それはそれで見えない大変さがあるんだろうな、きっと。

ん。私このなかで一番手前の段階にいる…?
そこは早生まれの特権、気にならない気にならない。

みんな、人生の転機をいくつも迎えて、振り返る間も無く必死に生きてる。
せめて、赦し合いたい。

なりきり消化器内科医

2017年05月03日 | 心療内科医

一年生を上級医に預けて、今日はお休みいただいとります。
東京の丸善にもありました!にやにや。

記念すべき処女作は、中学生のときに学級日誌で宣言したレシピ本にはなりませんでしたが
執筆の機会を与えていただいたことがありがたく、
日本各地の大好きな先生たちと名を連ねられたことが誇らしく、
出版を心から喜んでくれる人たちがいることが本当に嬉しかった。
そんな思いの詰まった宝物です。おじいちゃんに送ろっと。


*****


心療内科志望の内科専攻医として、今年度は他の内科をやり続けるプログラムに所属しているわけですが
外に出た元同期が専門の勉強に専念できているのを聞きながら消化器内科の入院オーダーを淡々と入れ続けるのは、時々精神的にきます。お腹ペコペコの時とか。
自分の選んだ道です、こうなることは容易に想像できていたはずなのですが。時には、明らかに心身医学的なアプローチを必要としている消化器内科の患者さんが目の前にいるのに、雑務に追われている自分は手を出せず、心療内科や精神科にローテートしている後輩にコンサルトして任せなければいけないことだってあって
ああ何やってんだか、という気持ちになる訳です。

また、最近とってもイライラします。ウトウトしていない時は大抵イライラしています。こんなにイライラする自分は初めてで驚くほどです。
要因は、一年生の仕事が遅いのを(奪ってしまえばすぐ済むところ、)我慢して待っているからだけではなく、上の先生たちが世界で一番忙しく疲れているのだというような顔をして我々病棟医を残して逃げ帰るからだけでもなく、病棟長業務に忙殺されているせいで心療内科の勉強が進まないのだという不満があるからなのでしょう。
そういうのが、師匠にはすぐにバレます。

心療内科レジデントが消化器内科の病棟長をやる意義は、消化器内科に典型的な患者さんの心理社会的問題に向き合うことだけだと思っていました。これは時間がないとなかなか実現しないのです。
でも師匠は、消化器内科医の思考を追体験するーつまり、自ら内視鏡は握らずとも、消化器内科の患者さんを外来で診て入院させ退院させるまでの一連の熱意や踏ん切りや諦念といった感情を、消化器内科医になりきることで掴むこと
それが今後の心療内科医としての臨床の役に立つのだよと励ましてくれました。
そして何より、まだまだ若い私はイライラしない方がおかしい、自分のストレス反応を観察して勉強なさいと。
はーい。

「みんなの健康学」を読んだときにメモした森有三の言葉を思い出しました。
「経験と体験とは共に一人称の自己、すなわち『わたくし』と内面的につながっている。経験では、『わたくし』がその中から生まれてくるのに対し、体験はいつも私がすでに存在しているのであり、私は体験に先行し、またそれを吸収する。…経験と体験とは、内容的には、同一であることが十分にありうる。」

体験を経験に変えていく。
経験から、新しい自分がうまれる。
これを読んで感覚的に理解できるということは、私は十分恵まれた環境にいるということなのかもしれません。
後輩へ指導するときも、こんなことが伝えられたらいいなと思う。

そしてこれ。

今日は業務を言い訳にできません。
6月の札幌に向けて、心身医学会の準備するぞ!