ほぼ週二 横浜の山の中通信

人と異なる視点から見る

東急東横線の三重苦

2018年09月02日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

これからも渋谷に高層ビルがいくつか建つので、渋谷に乗り入れるJR山手線、JR埼京線、京王井の頭線、メトロ銀座線、メトロ副都心線/東急東横線、メトロ半蔵門線/東急田園都市線の乗降客は増えそうです。増えそうというより、積極的に増やそうとしている。それに、いまだに蒲蒲線の話を書いているライターもいる。「そんなに浮かれている場合か!」と思ったし、「もっと突っ込んで書け!」とも思ったので、私が代わりに突っ込んで書きます。

 

①渋谷駅のホームが狭い

 

現在の東横線渋谷駅は地下の2面4線の通過駅ですが、この二つのホームの幅が狭い。地下に移った東横線/みなとみらい線横浜駅(この駅は深いのでホームに行くのに時間がかかるのが欠点)より渋谷駅は狭い。(ホームの幅を数値で示したいのですが、捜したが出て来ない)

 

地上2階にあった東横線旧渋谷駅は、汚い渋谷川に沿った4面4線の行き止まりの駅でした。今の地下にある東横線渋谷駅の広さの2倍以上あったかな? それで、現在の東横線渋谷駅は余計に狭く感じる。

 

地下の東横線渋谷駅の狭さについては、以下のブログ参照。

2014年2月26日「不可解!狭いのにびっくり!東横線渋谷駅」

2015年7月7日「新国立競技場と東横線/副都心線渋谷駅は安藤忠雄氏」

 

冒頭に書いたように、渋谷はこれから高層ビルがいくつか建つ予定で、乗降客の増加が予想されるのに、この狭いホームで大丈夫か? 高層ビルのいくつかは東急が絡んでいるのに、この渋谷駅の狭さを放って置くのかな? 

 

 

ところで、渋谷のもう一つの狭い渋谷駅の話。

ネットを検索していたら、「田園都市線の渋谷駅はなぜ狭い?」という質問があり、回答の多くは広く出来ない言い訳だらけでした。質問の人は通勤時の混雑に辟易しているのでしょうが、回答の人は通勤で使っていないか、東急の人なのか? 昔の田園都市線(大井町線に乗り入れていた頃)は、電車が4両だったので先を見通せなかったという人もいます。しかし、東急は沿線の宅地化が進めば乗客がどれくらいになるのか試算していたはずなので、先を見通せなかったという言い訳は通用しない。東急は田園都市線が開通する前から土地を大量に取得していたのだから。

 

仮に田園都市線渋谷駅(1977年開業)の狭さは先の見通しが甘かったとしても、2008年開業の東横線渋谷駅の狭さは見通しが甘かったでは済まされない。

 

田園都市線の混雑緩和に関しては下記のブログ参照。

2017年10月11日「(新)大井町線延伸だけでは田園都市線の混雑緩和は出来ない」

 

②相鉄線から乗り入れて来る電車をどうする

 

 

2022年末から、相鉄線西谷駅⇔羽沢横浜国大駅(JR羽沢貨物駅近く)⇔新横浜駅(新幹線乗換駅)⇔東横線/目黒線・日吉駅⇔東横線/目黒線のルートで相鉄線の車両が乗り入れて来る。(この東急ルートの他にJRに乗り入れるルートもある。下記のブログ参照)

 

この新線の目的は、横浜駅を経由せずに直接都心へのルートを作り、乗客の利便性を高めて相鉄沿線の価値を高めること。未だ具体的な何本が乗り入れるか発表はありませんが、少し余裕のある目黒線と余裕が無い東横線にも相鉄線の電車が直通して来るはず。(相鉄は直通用の車両を既に新造している)

 

相鉄線直通に関しては、以下のブログ参照。

2016年1月21日「蒲蒲線より不可解な相鉄・東急直通線」

2016年4月30日「『蒲蒲線より不可解な相鉄・東急直通線』の補足と一言」

2016年6月17日「『相鉄・東急直通線』のまとめ」

 

今でも混雑している東横線に相鉄からの電車が割り込めるか? 前のブログでは、菊名止まりの電車を直通に回せば何とかなると書きましたが、本当に出来るのかな? 

 

この相鉄・東急直通線は、先に相鉄がJRに乗り入れる発表があり、その後あわてて参加したような感じなので、その時は③蒲田羽田空港連絡線(いわゆる蒲蒲線)をどうするか考える余裕がなかったのかもしれない。以前から、東急が新横浜駅乗り入れを目論んでいるとの噂はあったけど、相鉄との直通まで考えていたかどうか? 

 

最近の週刊東洋経済は、直通は目黒線だけで、東横線は日吉駅で乗り換えるのも当面の対策(当面?そのうち、何か変わるの?何も変わらないのに、「当面」なんてありえない)と書いていたが、相鉄の利用者の立場からはそれは無いよね。

 

東急が新横浜駅に乗り入れたら、新たに東急線で新横浜駅に行く乗客が増えると、やはり週刊東洋経済は書いていたが、どうだか? 今までは、東横線菊名駅で横浜線に乗り換えていたので不便だったけど、直通線が出来たら便利にはなる。しかし、それで乗客がどれほど増えるかな? 私はそれほど増えないと思う。むしろ、東急側より相鉄側の人たちが新横浜駅に出るのに劇的に便利になる。それでも、相鉄の乗客が増えるかどうか?

 

(細かい話になるけど、相鉄東急直通線で新横浜駅に行くと値上がりになる可能性が高い。横浜線の菊名駅は横浜市内なので、JR横浜線菊名駅から新横浜駅は新幹線代に込みなのに対し、相鉄東急直通線の日吉駅から新横浜駅は割高な別料金になる可能性が高い)

 

③いわゆる蒲蒲線、実は蒲田羽田空港連絡線(蒲羽線)をどうする

 

 

いわゆる蒲蒲線は、東急蒲田駅(JR蒲田駅が隣接)と京急蒲田駅(800m離れている)を結ぶのではない。大田区案では、東急多摩川線から分岐し、地下の蒲田駅に至る。そして南蒲田駅(京急蒲田駅から横浜方面に150mほど離れた地下駅)を通り、京急空港線に乗り入れて、羽田空港に至る路線。東急蒲田駅から南蒲田駅までが第一期工事で工事費1260億円、南蒲田駅から京急空港線に乗り入れるのが第二期工事。

 

なぜ京急蒲田駅ではなく、南蒲田駅かと言うと、この先で京急空港線も地下に入るから。京急空港線は京急蒲田駅周辺では高架だけど、環八を横切るあたりで地下になる。ただし、京急空港線は住宅地の中を走っているので、乗り入れるには周辺の土地を買収する必要あり。

 

このいわゆる蒲蒲線の本当の目的はJR蒲田駅(東急蒲田駅が隣接)と羽田空港を結ぶことなので、蒲蒲線と言う呼称は不適切。蒲田羽田空港連絡線(あるいは蒲羽線)と言う方が適当。それで、今後はこちらの名前を使います。

 

この蒲羽線構想は、大田区が旗を振り、東急がタナボタを期待して付いていく感じで、京急は全くやる気がない。なぜやる気が無いかと言うと、京急は客を取られるので減収の可能性が高いから。東急だって京急の立場だったら、絶対に協力しない。この蒲羽線の線路などの施設は大田区が作り、東急は使用料を払って電車を運行するのだろうな。

 

ところで大田区役所はJR蒲田駅の近く、京浜東北線の線路のすぐ傍にあります。私の記憶では、この区役所の建物はバブル不動産屋が国鉄の所有地を買い取って建てたビル。このバブル不動産屋はしばらくして倒産したので、このビルを大田区が買収し、大森にあった区役所を移転させた)

 

この蒲蒲線(蒲羽線)に関しては、以下のブログ参照。

2016年2月15日「蒲蒲線の大田区案を見る」

2017年4月11日「蒲蒲線は実現しない!のまとめ その1」

2017年4月14日「蒲蒲線は実現しない!のまとめ その2」

2017年4月17日「蒲蒲線は実現しない!のまとめ その3」

2017年4月23日「蒲蒲線は実現しない!のまとめ その4 ~JR東の羽田空港アクセス線はどうなる~」

 

以前、京急蒲田駅(だったか?)の壁に小学生の書いた両蒲田駅を結ぶ鉄道の画が飾ってあった。大人の思惑に子供を利用しないように。

 

本当は、②の相鉄線からの乗り入れより、こちらの計画が先にあったけど、あとから②相鉄線が入り込んできた感じ。②の相鉄線が東横線に乗り入れて来ると、蒲羽線の電車が東横線に直通する余裕は無い。それなのに未だにこの蒲羽線のことを書いているライターがいる。いったい全体何を考えているのやら? 

 

この蒲羽線と線路が繋がるのが東急多摩川線。東急多摩川線は多摩川駅の先で東横線・目黒線と線路が繋がっている。東急多摩川線は多摩川駅地下から蒲田方面に電車が出発していく。現在多摩川線を走っているのは、18m車3両の各駅停車だけ。Googleマップで多摩川線を見ると、途中5駅の周囲に18m車3両が退避できるような側線を作る空き地は無いので、現状では多摩川線をノンストップで走って各停を追い越す構造になっていない。

 

そうすると、多摩川線の18m車3両の電車が京急蒲田駅近くの地下の南蒲田駅まで各駅停車で運行するのかな? 工事費約1260億円(大田区と都と国が出す?)もかけて? そんなバナナ! すると東急は金を出さずに済むし、使用料も少なくて済むが、大田区は負担が増える。大田区民は、ふるさと納税で他の自治体に美味いものを依頼した方が良いよね。

 

いずれにしても、相鉄線が乗り入れて来るのは2022年の予定。その時、どうなっているか? 楽しみにしています。東急がこの三重苦に何らかの答えを出すのかな? 私の予想は、東急は高層ビルを建てるのに金を回すので、鉄道では金のかかることはしない。

 

2018.09.02

 

 


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