STAP細胞に関して、もう書かないと思ったのですが、ネットを見ていたら、つい書きたくなりました。悪しからず。
ネットを検索していたら、J-CASTニュースに陰謀説が載っていました。曰く、
「STAP細胞が優秀だからって小保方さん潰しが酷いと思うのは私だけ?」
「STAP細胞の問題は、自分が思うに明らかにiPS細胞側の利権確保のための潰し作戦だと感じる」
「裏には明らかにiPS細胞の利権確保をしたい奴らがいると思われる」
(このJ-CASTニュースは、小保方氏の会見以前です)
どんな問題にも「陰謀」説を持ち出す人がいます。こういう人がデマの発信元でしょうね。何も知らない人は何とでも言えるし、陰謀説を唱えても、誰も違うと断定する根拠を持っていないので、言いたい放題です。「陰謀」説は、人の興味を引きつけるし、何事も陰謀で片づけると、難しい問題も納得しやすいのでしょう。
例えて言うとiPS細胞はもう少しで人間に移植できそうなので、人間で言えば「大学生」レベルです。それに比べて、STAP細胞は、マウスの細胞で出来るか出来ないかと言う議論の段階なので、お母さんのお腹の中にいる「胎児」みたいなものです。「大学生」と「胎児」じゃ、喧嘩にも陰謀にもならん。
ところで、STAP細胞論文のコピペや画像の誤用?に関する理研の最終報告が先日出ているので、ここでは実験自体の問題点や課題を挙げつつ、今までの話を整理します。
①STAP細胞を小保方氏以外が再現できるのか?
マウスのリンパ球を弱酸性溶液で処理すると、STAP細胞が出来るという話ですが、誰も追試に成功していません。この件は、理研で再現実験するというので、その結果を待ちたいと思います。こんなに疑惑があって、再現の可能性が低いと思われる現象の追試を引き受けるのは、理研以外に無いでしょうから。
ところで前にも書きましたが、小保方氏はチームリーダーなので、部下がいるはずです。STAP細胞を作製したのは、小保方氏本人なのか、それとも部下の人なのでしょうか?あるいは、両方?
②STAP細胞とは別に、STAP幹細胞がある
理研の説明では、STAP細胞は、多能性(いろいろな細胞になることが出来る)しか無く、増殖能(自ら増える能力)が無い。このSTAP細胞を特殊な培地で培養すると、その一部が増殖能を獲得してSTAP幹細胞になる。(有名なES細胞やiPS細胞は、多能性と増殖能の両方を持つ幹細胞です)
これは、不思議と思いませんか? STAP細胞を特殊な培地で培養すると、STAP幹細胞になる? こんな簡単な方法で、STAP細胞は増殖能を獲得して、STAP幹細胞になる?
STAP幹細胞は、他の幹細胞と取り違えたのではないかという意見が出ています。
理研の追試では、このSTAP幹細胞も含めるのでしょうね。
(最近の報道では、STAP幹細胞を作ったのは、小保方氏では無く、全て若山教授ということです。)
③リンパ球を取るマウスは生後1週間以内でないと、STAP細胞になる効率悪い
理研の説明では、大人のマウスでは、STAP細胞が出来なかった。理研で、もしSTAP細胞が再現できたのなら、この点も追及して欲しい。
この点から、STAP細胞は若いマウスに元々存在する他の幹細胞ではないか?という意見があります。
④マウスのリンパ球以外から、STAP細胞は出来ていないのでは?
1月末の理研の発表には、マウスのリンパ球以外からもSTAP細胞が出来ると書いてありました。しかし、今までの報道から判断すると、STAP細胞は、マウスのリンパ球からしか出来ていないと思われる。STAP細胞が、リンパ球からしか作れないとすると、その理由は?
⑤STAP細胞になったマウスのリンパ球の遺伝子が変化していないのはおかしい。
これは、免疫学の専門家で、リンパ球には詳しい人たち、慶大の吉村教授とか、広大の難波名誉教授が主張されています。
(この話は難しすぎます。私は理解できていません)
参考に慶大の吉村教授のサイトを挙げておきます。
http://new.immunoreg.jp/modules/pico_boyaki/
STAP細胞とかTCRという言葉があるところを見てください。
⑥ ⑤のリンパ球の遺伝子変化が、”Nature”論文では「あり」、後から出た理研のプロトコルでは、「ない」となっている矛盾
これは、明白な矛盾なので、実験しなくても、理研が事情聴取するだけで、ハッキリできるはず。
⑦オスのSTAP幹細胞しか作っていないのに、論文はメスのSTAP幹細胞
これは、最近出てきた報道です。②の末尾にあるように、STAP幹細胞を作った若山教授は、オスのマウスからしかSTAP幹細胞を作っていないのに、論文にはメスのマウス由来と明記されている。
これらの疑問を一つ一つ潰していけば、自ずとSTAP細胞、STAP幹細胞の存在の可否も解明されると考えます。理研がしっかりと対応されることを期待します。
もし、マウスのリンパ球から、STAP細胞・STAP幹細胞を再現できたとしても、今後の課題は多い。
・マウスのリンパ球以外の細胞からも、STAP細胞・STAP幹細胞を作成できるのか?
・大人のマウスからでも、STAP細胞・STAP幹細胞を作成できるのか?
・STAP幹細胞を作成する時に使う「特殊な培地」とは何が特殊?
・人間のリンパ球からもSTAP細胞・STAP幹細胞を作成できるのか?
その場合、人間の赤ちゃんのリンパ球でないと作成できない?
などなど、たくさんあります。ここまで出来て、やっと中学生レベルでしょうか。先は長いです。
(追記)
これを書いていて思い出しましたが、2月頃、ハーバード大のVacanti教授は猿でSTAP細胞を作る研究をしているという報道がありました。共同通信のインタービューで、2011年からサルのSTAP細胞で脊髄損傷治療の研究を始めているというものです。この報道の続きはどうなったのでしょうか?
彼はマウスでもSTAP細胞やSTAP幹細胞を作成したのでしょうか? そして、そのSTAP細胞は何処にある? あるのなら出して欲しい。
このこと以外でも、Vacanti教授の言動は怪しい。彼も日本に来て説明して欲しいものです。所属するハーバード大は、沈黙したままなのは何故? 嵐が過ぎるのを、頭を低くして待っているのでしょうか?ハーバード大なら、率先して堂々と説明して欲しいものです。
小保方氏とVacanti教授はやることが良く似ているので、留学生時代に当然影響を受けたと思います。小保方氏の歯車を狂わした原因の一つが、このVacanti教授では?
海外に留学する人は、こういう「ハズレ」の人に当たらないよう気を付けた方が良いと思います。
2014.4.14