日本のH3ロケットは失敗
3月7日に打ち上げられたH3ロケットは、第二エンジンに点火せず、失敗に終わった。イーロン・マスクのようなパワフルな人が日本にもいればなあ? これは「無いものねだり」かな。
イーロン・マスクが関わる事業
イーロン・マスクというと、技術的にかなり難しい新規事業をいくつかやっています。有名なのは
さすが、イーロン・マスク。苦しい時もあったけど、何とかEVをモノにしてしまった(私はダメかと思った)
ロケットの回収に何回か成功した(これは私の想像を越えている)
- 減圧したチューブの中を走る高速列車、ハイパーループ
(これは確信をもって、私はダメかと思った)
最近では、この三件の他に
があるが、これは経営の話なので、ここでは関わらない。
今回は3)ハイパーループです。
減圧したチューブの中を走る高速列車、ハイパーループ
イーロン・マスクは、これの実現を諦めた?ようです。
ハイパーループの報道が出初めた頃は、意図的にぼかしていたのか、具体的なイメージが分からなかったが、徐々に分かって来た。
今までの情報(公開されたもので、私の意見ではない)をまとめると、
・(2013年)
イーロン・マスクはハイパーループ構想を発表した
ハイパーループとは?
真空に(実際は減圧でしょう)した直径2メートル強のチューブの中をカプセル状の物体が磁気駆動により時速1200キロメートルで走る構想
建設コスト 従来の高速鉄道と比べて、半分以下
エネルギー消費量 飛行機の1/13
イーロン・マスクはハイパーループ事業に直接は関わっていない
・(2016年)ハイパーループ・ワン(H1)社が走行実験
ネバダ州の実験場で試験機の走行実験を行った(書いてはいないが、無人と思われる)
・欧州や中国、韓国でもハイパーループと同様の計画がある
中国と韓国は(無人?)走行実験も行った。
・(2016年)イーロン・マスクは「ボーリング・カンパニー」を創設
イーロン・マスクは、地中のトンネル掘削を低コスト化する目的で創設。
・(2018年)電気バス構想
イーロン・マスク氏は、都市部の地下に張り巡らしたトンネルの中を時速約240キロメートルで動く構想を発表した。
・(2020年)英ヴァージングループが走行実験
ラスベガスの試験場で、初の有人走行試験を行った。長さ500メートルの金属製筒状の中を2人乗りのカプセル型の乗り物が時速170キロメートルで走った。
将来は、28人乗りの物が時速1000キロメートルで走る構想。
・(2021年)「ボーリング・カンパニー」は、約6.4メートルの大きさのトンネルを提案
今までは約3.7メートルで輸送用コンテナが1個しか通せないけど、広くして2個通せるのがウリ。
・(2022年)トンネルを撤去
イーロン・マスク氏がカリフォルニア州に2016年に設置した全長1.6キロメートルのトンネルを2022年に撤去した。
・(2022年)ハイループ・ワン(H1)社は撤退?
100人以上の従業員を解雇し、有人運行は断念したと報じられている。
イーロン・マスク氏は「ハイパーループ」から撤退?
この「ハイパーループ」構想は当初中身がハッキリしなかった。そして構想が具体的になると、実用化の進行が滞り始めた印象がある。上に書いたように、イーロン・マスク氏の考えも揺れ動いていた感じがする。イーロン・マスクの事業はいつも上手くいくとは限らない。
イーロン・マスク氏は「ハイパーループ」を続けるのか、撤退したのか? どの方式を取るのか? 私はこの計画に否定的ですが、馬力のあるイーロン・マスク氏のこと、簡単にあきらめるかどうか?
あとは計画を立てたら、変更しない?中国が実用化に向けて技術開発を続けるかどうか?
(追加)ラスベガスのトンネルにEVを走らせる?
このブログの原稿を書いた後の3月9日の日本経済新聞に「マスク氏の地下交通システム」という記事が載った。概略を紹介すると
ボーリング・カンパニーが、ラスベガスのコンベンションセンター間を結ぶのに掘ったトンネルをテスラ社製EVに乗った記者が潜り抜けたという話。将来的には、ラスベガスの地中に立体的にトンネルを多数掘り、そこにEVを走らせる構想で、「ベガスループ」と名付けられている。これでラスベガスの交通を改善しようとしている。
ボーリング・カンパニーは、トンネル掘削機を改良し、トンネルの掘削費用を従来の1/10にしようとしている。まずは1週間に最大1.6キロメートル掘れるようにし、究極には1日で11.2キロメートルを掘削できると書いている。(1日で11.2キロメートルは信じられない)
この地下交通システムの究極の発展形が「ハイパーループ」になる。しかし、これでは減圧したチューブの中を高速で移動するという構想とは大きな隔たりがある。
記者は、招待?されたためか、お世辞をちりばめているが、全体的にはこの構想は「無理そうだな」という感じで書いている。私もそう思う。この記事を読むと、イーロン・マスク氏の構想が揺れ動いていて、どのようなシステムが良いのか試行錯誤しているような感じがする。
2023年3月22日
2023年3月27日 題名を変更し、記事の一部を変更しました。