最近、東京女子医科大学の岡野教授(慶応大学の岡野教授とは別人です)の作った「細胞シート」がメディアで良く取り上げられています。7月19日の日経新聞でも、取り上げられていました。
この「細胞シート」とは、培養した細胞をシート状に加工したもので、シート状にする時に岡野教授のアイデアが使われています。
しかし、この「細胞シート」はもっと基礎研究するべきという印象です。
今月、京都大学iPS細胞研究所の山下教授の講演会を聞きました。
山下教授は、iPS細胞を使って、心筋の「細胞シート」を作り、心臓の患部に貼りつけて亜急性の心筋梗塞の患者の治療を行うことを目的としています。4年後には人への適用を目指しています。
この山下教授の講演によると、心臓に貼りつけた心筋の「細胞シート」は、そのまま心臓の細胞の一部になるのではなく、しばらくすると周りの細胞に吸収されるそうです。ではなぜこの心筋の「細胞シート」に効果があるかと言うと、この心筋の「細胞シート」から何かの物質が出て来て、心機能を改善するということです。
当然、講演の後で質問が出ました。心筋の「細胞シート」がどういう物質を出すか、効果をもっと調べて、患者にその物質を投与した方が良いのでは?と言うものでした。回答は、心筋の「細胞シート」が出す物質を探し、その効果を確かめていくよりは、「細胞シート」の検討を進めた方が、実用化が早いというものでした。
確かに、この回答に一理はあると思いますが、心筋の「細胞シート」がどのような機能を果たしているのかを突き詰める基礎研究の必要もあると思うのですが・・・
2013.07.25