ほぼ週二 横浜の山の中通信

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複写機メーカーの苦境

2024年05月15日 | 会社

ペーパーレス

 

2018年06月03日の「ペーパーレス その2 ペーパーレスは40年かけて家庭まで」に書いたように、半世紀前から言われていた「ペーパーレス」はビジネスの世界から、ようやく家庭にも及んできた。

 

下のグラフは上記2018年のブログに記載した印刷&情報用紙の内需です。このデータは、印刷用紙と情報用紙を分けていませんが、印刷用紙も情報用紙も使用量が減少しています。(輸入紙は含まれていないはずなので、減少のカーブはもう少し緩やかと思われます)

このうち、「情報用紙」とは、ノンカーボン紙・フォーム用紙・複写用紙・感熱紙・PPC用紙・OCR用紙・圧着はがき用紙などですが、複写用紙の比率が大きいです。このように、複写用紙も減少傾向にあります。複写用紙が減少傾向ということは、複写機の使用も減少しています。ということは、複写機メーカーの業績がきつくなっている。

 

リコーと東芝テック

 

株式会社リコーの2024年2月6日の発表によると、リコーは2023年5月19日に公表した東芝テック株式会社の業務提携並びに複合機等の開発・生産の統合について、詳細を発表しました。

 

両社は合弁会社「エトリア株式会社」を作り、リコーは85%、東芝テックは15%を出資するので、リコーが合弁会社の経営権を握ることになります。リコーの方が販売量は多いので、この比率になったのでしょうが、東芝テックの15%は少ないような気がします。東芝テックはPOS(販売時点情報管理)システム、要はレジもやっているので、今後はこちらに集中するのでしょう。

 

富士フィルムとコニカミノルタ

 

2024年4月に富士フイルムビジネスイノベーション株式会社とコニカミノルタ株式会社は、

複合機・オフィス向けプリンター・プロダクションプリンター事業での業務提携に向けた協議を開始する基本合意書を締結しました。内容は

・合弁会社を作り、富士フイルムビジネスイノベーションが過半の株を保有する

・合弁会社では原材料および部材調達の連携を図る

・トナーの開発および生産で業務提携する

 

この内容を見ると、規模の大きい富士フイルムビジネスイノベーションが業務提携の主導権を握るようです。発表では、両者の業務連携は生産関係だけで販売の提携が無いので、販売はそれぞれのブランドで行うようです。販売に関してはこれから協議するのかもしれません。

 

ところで、「富士フイルムビジネスイノベーション」の旧社名は「富士ゼロックス」です。米ゼロックスとの「販売提携を解消」したので名称を変更しました。なお、「販売提携の解消」なので、米ゼロックス向けの複写機は未だに富士フイルムビジネスイノベーションが製造しているはずです。

 

2022年03月24日「続 Xeroxを高値で売り損ねたカール・アイカーンはどうする?

2021年02月13日の「Xeroxを高値で売り損ねた四面楚歌のカール・アイカーンはどうする?」参照。

 

他のメーカーは?

 

昔は今より多くのメーカーが、複写機を製造し販売していたが、徐々にメーカーは減少しています。キヤノン、リコー、富士フイルムビジネスイノベーション(旧富士ゼロックス)の御三家は残りそうですが、まだシャープ、京セラが残っている。(他にもあったかな?) これらの会社がどうなるか分からないけど、東芝テックとコニカミノルタでメーカーの整理はほぼ終わりです。 

 

複写機の今後

 

日本では、紙の使用が急激に減ることは無いでしょう。国会の委員会審議を見ていると、未だに官僚は紙の資料を大臣に手渡している。PCで資料を出すよりも、紙の方が早いのでしょう。しかし河野大臣くらい、PCを使って欲しいな。

 

今後も複写機の使用量は徐々に減少していくけど、(多分)急減はしないでしょう。ビジネスで「残り物に福がある」と言われるように、ピークが過ぎた業界でもそれなりの利益を出せる。それには、出ていく費用を出来るだけ押さえなければならない。

 

こういう業界には、新規参入する会社も無いだろうし、韓国や中国が新しく会社を作ることも無い(と思われる)。残った日本の会社を買収することがあるかどうか? こういう事情なので、競合が少なくなり都合の良い点もある。

 

2024年5月15日

 


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