「金融抑圧」と言う不気味な言葉が、メディアやインターネット上で最近散見されます。
私は、その意味を、最近になって、初めて知りました。
日銀が金をじゃぶじゃぶと市中に出して、預金金利の元になる長期金利を、インフレ率より低く抑えることだそうです。
要は、現在の黒田日銀による「異次元緩和」の真の目的は、「金融抑圧」であるということです。
今のところ、長期金利は0.6%前後(過去1年は0.5~0.9%で推移している)に対し、2013年の年平均インフレ率は0.05%なので、その目的は未だ達成されていません。
黒田日銀は、将来インフレ率2%を目指しているので、長期金利をそれ以下(例えば1%)にできれば、「金融抑圧」を達成できます。
ある経済専門家が、「預金はインフレでも安心」と言っていました。預金金利は、物価上昇より若干遅れるが同程度上昇するので、預金は大して目減りしないという理由でしたが、「金融抑圧」があるとそうはいきません。
大昔は、銀行に金を預けていると、利子が付いて得した気分になりましたが、最近の金利ではタンス預金と変わりありません。将来は、銀行に金を預けていると、逆に目減りしていくということになります。
こういう「金融抑圧」状態を続けると、日本政府の借金を目減りさせられるので、巨額の債務を抱える日本政府にとって都合が良い。増税は大変なので、こういう操作で、借金を減らそうという魂胆です。しかし、預金金利はインフレ率より低くなるので、当然ですが国民の負担は増加します。
ということで、日本の金持ちは、海外に金を持ち出しているという噂です。ただし、国税庁は、5000万円以上の海外の資産に関して、国外財産調書の提出を義務化していますが。
日本は債務が多いので、「金融抑圧」を長期間続ける必要があります。その時、副作用が出ないのでしょうか? どのような副作用が出る可能性があり、それをどのように抑え込むのか、「金融抑圧」の副作用に対応できる経済理論があるのでしょうか? 科学といえない経済学には、その解は無いような気がする。
しかも、この「金融抑圧」は、過去に各国で行われたことがあるということです。例えば、戦後のイギリス。この時の状況をより詳しく勉強しようと思っていますが、一般向けの適当な本が見つかりません。
仮に、預金金利とインフレ率の逆ザヤ1%が10年続いたとしても、単純な計算で、日本の債務は1割しか目減りしません。もっと逆ザヤを大きくかつ長期間続けないと、日本の債務は眼に見えて目減りしません。
(預金量と債務を同額と仮定した場合。長期金利は、いろいろなところに効いてくるので、正確ではありません。あくまで目安です。経済学者で、このような計算をした人はいないのでしょうか?)
「金融抑圧」が長期間続いた場合、その副作用が明らかでないので、現在は不気味な恐ろしさを感じるだけです。
逆に、こんな逆ザヤを10年以上の長期間続けられるのでしょうか?
参考情報のリンクを挙げておきます。
BNPパリバ証券河野龍太郎氏のコラム
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPTYE94M05620130523
http://jp.reuters.com/article/vcJPboj/idJPTYE9BF05Q20131216
PIMCOという会社の資料
https://japan.pimco.com/JP/Insights/Pages/A-New-Era-of-Global-Financial-Repression-JPN.aspx
池田信夫氏のコラム
http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2013/11/post-753.php
2014.03.01
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