ほぼ週二 横浜の山の中通信

人と異なる視点から見る

地震の話その9~「東京大震災」では無い関東大震災~

2014年10月28日 | 地震・火山

大正12年に発生した「関東大震災」は、関東地方に大きな被害をもたらしました。

前回も引用した武村雅之著「未曽有の大災害と地震学~関東大震災~」2009年古今書院刊によると、横浜の被害が東京よりも大きかったと言われています。もちろん、東京は人口が多いので絶対数では多いが、人口比で比べると横浜の方が多くなります。

 

例えば、関東大震災の震度分布は、下記の資料に載っています。

http://www.himoji.jp/database/db06/about-keq.html

これをみると、震度は神奈川県南部の方が東京より強かったのがわかります。

関東大震災の震源が相模湾北西部だったので、神奈川県南部の方が東京より震度が大きくて当然です。

 

次の表は、冒頭に紹介した本に載っている関東大震災の横浜と東京の被害のデータです。

    

 この表の最下欄にあるように、横浜の死者・行方不明者を人口比でみると、東京の約二倍です。

また、横浜の家屋の全壊率も、東京より数値が大きい。この項の「横浜公園」は、関内駅前の現在の横浜スタジアムのある一帯です。

出火件数も横浜の方が多いが、大規模な火災にはならなかったようです。

表にはありませんが、東京では火災による死者・行方不明者が多かったが、神奈川県では建物の倒壊や土砂災害によって亡くなられた方が多いのも特徴です。

 

神奈川県では、紡績工場の建物(木造)が多く倒壊しました。根府川付近の土砂崩れでは、列車を海中に流したり、多数の家屋を押し潰して、多くの犠牲者を出しました。

したがって、神奈川の人は東京の人より注意が必要です。特に、埋め立て地に住んでいる人は。

2014.10.28


東大は大丈夫か? ~インプットに比べてアウトプットが少ない~

2014年10月28日 | 研究および大学

東京大学は、日本No.1の大学である。都内の交通至便な地域に広大な敷地を持ち、多数の教員と多数の学生を有し、多額の予算を使う立場です。

東大の主目的は官吏養成であり、国家公務員総合職試験の合格者は、ダントツの一位です。それに、国家的な規模の技術開発、例えば原子力開発やロケット開発を担ってききました。

また、東京大学の人たちは、自分たちはダントツの実力を持っているのを自覚しているのでしょう。

 

下の表は、旧帝大の一部と東大の比較です。

 

教員

職員

院生

学部生

東京大学

3793+1972=5765

3878+584=4462

13768人

14003人

京都大学

2777+629=3406

2655+811=3466

9256人

13421人

北海道大学

2057

1853

6030人

11390人

名古屋大学

1701+778=2479

3386+1095=4481

6347人

9926人

東北大学

3174

3195

6757人

11060人

(注)教員と職員の項で、+の後の数字は、有期雇用者数

(注)データは、各大学のホームページから(大学は数値が明確な所から選びました)

 

 この表を見ると、教員・職員・院生では、東大がずば抜けています。ちょっと非常勤の教員が多いのが気になりますが。

問題は、この規模に対してそれ相応の実績を上げているかです。例えば、評価が比較的容易な理科系において、圧倒的な業績を上げているでしょうか?

ノーベル賞受賞者を出身大学別に見ても、ノーベル賞受賞の研究業績を産んだ当時の所属をみても、東大は見劣りします。

 

そしてここからは主観的になりますが、先端研究はそれほど得意では無いように思えます。例えば、コンピューターやインターネットで、東大は先駆的な業績を上げたでしょうか? かろうじて、坂村健教授のTRON? ゲームを除くと、コンピューターやインターネット技術で、顕著な業績を上げていないのは、東大だけでは無い日本全体の問題ですが。

 

東大が得意なのは、金と人を大量に投入する力ずくの技術のように思えます。逆にいうと、東大は金と人を大量に集めることが出来ると言うべきでしょうか。このように、多額の予算を使い、多数の人を掛けていながら、先端技術開発はその割に成果が上がっていないように思えます。

 

ここで書いたことは、主観的な印象なので、順次データを示しながら書きたいと思います。

2014.10.28


何か出来ないか迷う、おばあさん三題

2014年10月28日 | まち歩き

牧志市場でソラマメを売るおばあさん

昔々、旅行で訪れた沖縄・那覇市の牧志の商店街でのこと。牧志の商店街は、那覇のメインストリートの国際通りを少し入った、商店が多く集まった地域です。日中は買い物客で人通りも多く、那覇でもにぎやかな場所です。

夜も遅くなり、周囲の店のほとんどは閉まっていて人通りも少ない頃、道が二又に分かれる場所で、腰の曲がったおばあさんが台車に山盛りのさや入りソラマメだけを乗せて、その後ろに座っていました。朝に収穫してここまで運んできて、周囲の店が閉まってから売り始めたのでしょうか? 台車いっぱいの大量のソラマメは、今日中に売れるのでしょうか?

 

乳母車を押してゆっくり歩くおばあさん

10年くらい前でしょうか、京都での話。商店街へ行く途中、ゆっくり歩くおばあさんを見ました。そのおばあさんは、腰が曲がっていて、乳母車を押していました。乳母車の中には、子供では無く、商店街で買った品物が入っていました。

私が商店街で買い物をして家へ戻る途中、そのおばあさんがゆっくり歩いているのに追いつきました。先ほど見かけてから20分ほど経っていましたが、50mほどしか進んでいませんでした。

 

ガードレールに手をついて、ゆっくり歩くおばあさん

これは、ここ横浜で見かけた最近の話です。駅へ向かって歩いていると、スーパーの近くで腰が直角に曲がったおばあさんが、歩道のガードレールにつかまりながら、ゆっくりゆっくり歩いていました。京都で見かけたおばあさんよりもゆっくり歩いていました。買物袋を提げていないのでスーパーでは無いし、近くの病院の診察時間は過ぎているし、行先は不明です。

生きていくのは大変だなあと思いつつ、こういう時はどうしたら良いのか、いつも悩みます。

 

2014.10.28


御嶽山の思い出

2014年10月14日 | 地震・火山

10年くらい前に、車で御嶽山を訪れたことがあります。谷が深い木曽谷を岐阜県側から登ってきて、木曽福島付近から王滝川沿いに御嶽山の方向にしばらく行くと、視界が広がり、かなたにすくっと立っている白い御嶽山が見えました。(写真参照)

その見事な山容に感心し、霊場になっていることに納得しました。

 

20051009

木曽谷は深い谷で視界が遮られる一方、御嶽山周辺は開けていて、その対比が面白いと思いました。

 先日の最初の噴火をTVの映像で見ていると、高く上がった噴煙の下の方に小さな黒い物体(実際はかなり大きいはず)が飛んでいるのが見えたので、これは沢山の人が亡くなるのではと思いましたが、こんなに多くなるとは!

 

 ところで、京都大学の名物教授の鎌田浩毅氏の書いた富士山噴火に関する著書に、「火山噴火は予知出来る」と書いてあったが、ウソでした。彼に変わって弁解すると、マグマ噴火なら、山体が膨張するなどの前兆現象が出るが、今回は水蒸気噴火だったので前兆現象がほとんど無かったと言うことでしょうか? 

 地震の予知が出来ないのは仕方無いが、噴火予知はできると期待していたのに、火山も無理そうです。そうであるなら、素人も対策を考えなきゃならないという心構えができます。

 

 東大の地震研究所が、関東大震災の2年後の1925年に出来て来年で90年。地震研が出版したシリーズ本の前書きには、地震研設立時の方針である地震・火山研究よりも、地球科学(地震・火山を含めた地球内部構造の科学)を研究するとも読める言葉が載っています。いっそ、「地震研究所」では一般市民に誤解されるので、「地球科学研究所」に名称を変更してはいかがでしょうか? そうすれば、皆さんが余計な期待を持たないと思う。

 

話はかわりますが、吉幾三の「俺ら東京さ行くだ」の替え歌で、「俺ら大手町へ戻るだ」(自作)を紹介します。

地震はダメ 火山もダメ

天気予報もそれほど当たって無ェ

金も無ェ 力も無ェ

愛宕の山をぐーるぐる

朝起きて 霞が関まで

二時間ちょっとの散歩道

電車無ェ 役所無ェ

クレーム一日千度来る

俺らこんな役所いやだ 俺らこんな役所いやだ

大手町が良いだ 大手町が良いだ

銭コァ貯めで 大手町に戻るだ

 

2014.10.14


科学の捏造は、今に始まったことでは無い~1977年の科学朝日から~

2014年10月14日 | 科学・技術

本棚を整理していたら、埃が被った「科学朝日」の197710月号が出てきました。ペラペラとページをめくっていると、「科学者の「うそ」を解剖する」という記事がありました。筆者は立正大学教授の中村禎里氏。この記事から、研究者の不正のいくつかを簡単に紹介します。

                   

①九州大学医学部の「慢性腎炎治癒報告事件」(1968年)

  内容が書いていないので、詳細不明

 

②ウォリン(米)による調査報告(1976年)

論文を発表した37人の研究者に、ウォリンがそのデータを提示するように依頼し、そのうち、32人の研究者から回答があった。

21人の研究者は、データを提出できなかった

・研究者から提出された7件のデータを精査すると、3件から論文を無効にするデータが見つかった。

 

 ジェームズ・ロバーツ(英)による調査報告(1976年)

ロバーツが専門誌の読者にアンケートを依頼し、199人から回答があった。このうち、92%の人は、「研究上の不正の事実を直接または間接的に知っている」と回答した。

その不正の種類は、

・データを操作して、好都合な値にする →74

・実験を粉飾する →17

・捏造 →7

・故意に解釈を捻じ曲げる →2

 

④遺伝学で有名なメンデルのデータ捏造

実験データが、その遺伝が出現する期待値にありえないほど近い。彼の助手かメンデル本人がデータを作ったか、あるいは、ちょうど良いデータが出た時点でメンデルは研究を打ち切った、と推測されている。

 

幻のピルトダウン人

イギリスのアマチュア学者のドーソンが、1911年にイギリスのピルトダウン(地名)の地層から、古い骨を発見した。これがピルトダウン人とされたが、1950年前後に、発見された骨が偽造品とされた。

 

カンメラーの獲得形質遺伝説

オーストリアの生物学者カンメラーは、1920年以前に、「獲得形質の遺伝」を証明した。

「獲得形質の遺伝」の一つの例は次のようなものです。陸上で交尾する「サンバガエル」に、数世代にわたり水中での交尾を強制すると、ついには水中交尾の習性を持つカエルと同じような黒ずんだ婚姻瘤が、「サンバガエル」の手に形成されるというもの。

ところが、1926年の「ネイチャー」に、このカエルの標本は捏造とする論文が発表され、これが長らく信じられてきた。しかし、1971年に出版された本「サンバガエルの謎」で、ケストナーは、カンメラーは誰かに陥れられたのであって、カンメラーは無罪であると主張した。

 

 これらの記事を読むと、昔からいろいろな疑惑があって感心します。えっ、あの有名なメンデルまでもと思いました。こうしてみると、不正は生物学に関連した分野が多いような印象を受けますが、やり易いのでしょうか?

 

話は変わりますが、「陽月秘話」http://imogayu.blogspot.jp/ の2014928日の項に、次のような話が書いてあります。

最近亡くなられた経済学者の宇沢弘文氏の思い出として、宇沢氏が中国共産党幹部の前で、

「資本主義には市場原理があって限界があるが、社会主義の搾取には限界が無い」

と言い放ったという話が載っていました。大笑いした後で、よう言うなあと思った逸話ですので、これをもじってみました。

「実験には金・人・時間に限界があるが、捏造には限界が無い」

というのは、いかがでしょう。二番煎じはパンチが弱いかなあ。

2014.10.14

 

下から2行目に一部付け加えました、

2014.11.07