大正12年に発生した「関東大震災」は、関東地方に大きな被害をもたらしました。
前回も引用した武村雅之著「未曽有の大災害と地震学~関東大震災~」2009年古今書院刊によると、横浜の被害が東京よりも大きかったと言われています。もちろん、東京は人口が多いので絶対数では多いが、人口比で比べると横浜の方が多くなります。
例えば、関東大震災の震度分布は、下記の資料に載っています。
http://www.himoji.jp/database/db06/about-keq.html
これをみると、震度は神奈川県南部の方が東京より強かったのがわかります。
関東大震災の震源が相模湾北西部だったので、神奈川県南部の方が東京より震度が大きくて当然です。
次の表は、冒頭に紹介した本に載っている関東大震災の横浜と東京の被害のデータです。
この表の最下欄にあるように、横浜の死者・行方不明者を人口比でみると、東京の約二倍です。
また、横浜の家屋の全壊率も、東京より数値が大きい。この項の「横浜公園」は、関内駅前の現在の横浜スタジアムのある一帯です。
出火件数も横浜の方が多いが、大規模な火災にはならなかったようです。
表にはありませんが、東京では火災による死者・行方不明者が多かったが、神奈川県では建物の倒壊や土砂災害によって亡くなられた方が多いのも特徴です。
神奈川県では、紡績工場の建物(木造)が多く倒壊しました。根府川付近の土砂崩れでは、列車を海中に流したり、多数の家屋を押し潰して、多くの犠牲者を出しました。
したがって、神奈川の人は東京の人より注意が必要です。特に、埋め立て地に住んでいる人は。
2014.10.28