前駐米大使の起用は米国との仲を改善するサインか?
誰かが、前駐米大使の秦剛氏を外相に起用したのは、中国が米国との関係を改善しようとするサインと書いていたが、そんなわけ無いだろう。中国外相の秦剛氏は、駐米大使の時代は大人しくしていたが、その前の報道官時代は「戦狼」と言われていたように、対外的にキツイことを言っていた。彼は親米ではないし、米国と太いパイプがあるわけではない(多分)。
「戦狼外相」に関しては既に書いている。
2023年02月04日の「戦狼外相秦剛氏」
2023年01月15日の「行き当たりばったりの習近平は失脚する」
中国外務省の報道官会見なんてゴミ
中国外務省報道官の記者会見なんて、何の権限も無い小役人が適当にしゃべっているのに、日本のメディアが何で取り上げるのか、と書いて来た。例えば
2022年06月20日の「中国外務省の小役人」
中国外務省の発表
中国が飛ばした気球を米軍が撃ち落とした事件で、中国外務省報道官の記者会見での発言を、時事通信、産経新聞、日テレ、テレビ朝日などから集めました。(全部ではない) 中国外務省の報道官なんて、使い走りの小役人なのに高い演台の上で偉そうに話している。だいたい、中国政府の他部門の役人や中国共産党が中国外務省の小役人に情報を流してくれるか、大いに疑問がある。それでも、報道官の話から中国外務省の動きだけは分かる。
3日午後 (アメリカ上空を気球が飛んでいる頃)
状況を「確認中」として、「臆測や大げさな騒ぎ」を控えるよう内外メディアにくぎを刺していた
「米国とともに冷静、慎重にこの問題を処理することを望む」
3日夜 (中国の気球であることを認める)
「米国内に誤って入ったことは遺憾」
「不可抗力で米国に誤って入った」
4日
「米国の一部の政治家やメディアが(気球の)問題を利用して中国を攻撃していることは、断固反対だ」
(気球は)「民生の気象研究用」
ブリンケン氏の訪中延期は「米国の事情であり尊重する」
「米国の一部の政治屋、メディアがこれにかこつけて中国を攻撃、中傷することに断固反対する」
5日
気球を撃墜したことについて「強烈な不満と抗議」
「中国は検証を経てこの飛行船が民間用で不可抗力により米国に進入し、完全に意外な状況であることをすでに何回も米国に知らせた」
「米国防総省報道官もこの気球が地上の人に軍事的・身辺的に脅威にならないと明らかにした。こうした状況で米国が武力を動員して過剰反応を見せたことは国際慣例を重大に違反したもの」
「中国は関連企業の正当な権益を断固保護するだろう」
7日 (韓国の中央日報)
「この気球は米国のものではなく中国のもの」
「中国政府は引き続き自身の正当で合法的な権益を決然と守るだろう」
全世界の記者たちは気球の所有企業、細部設備、後続調査の是非などに対する質問をしたが「関連情報がない」「状況が分からない」と答えなかった
気球は「侵入」したのではなく、「漂流」したものであり、「偵察用」ではなく「気象観測用」
「米国は冷静かつ専門的で、武力を使わない方式で妥当に処理すべきだった」
「米国がついに武力を動員したのは明白な過剰反応」
7日
気球は「中国のもので、アメリカのものではない。中国政府は自身の正当で合法な権利を断固として守る」
13日
「アメリカの気球が去年の1月1日以来、十数回、中国の領空に侵入していた」
「アメリカの気球を撃墜したのか」との記者の質問に対して「責任ある専門的な措置を取った」
アメリカこそが「最大のスパイ国家だ」
10日以降に撃墜された3件の飛行物体について「状況を把握していない」
「昨年来、米国の気球は10回あまり、中国の領空を違法に飛行した」
中国の6企業・団体を禁輸リストに追加する制裁については、「強い不満と断固反対」
15日
以前に日本に飛来した気球について、日本が中国に抗議したことに対して「日本は確固たる証拠がないのに中国の顔に泥を塗った。それに対して中国は断固として反対する」
戦狼外相は苦しくなってきた
当初、戦狼外相は気球問題で波を立たせないよう目論んでいたが、アメリカがそうはならなかったので、徐々に元の性格が表に出て来た。中国外務省の報道官は、これくらい外に向かってあること無いことを言わないと、中国国内から批判を浴びる。しかし、これでアメリカとの関係改善は元の木阿弥になってしまった。
だいたい、中国の中央政府や地方政府の情報を中国外務省の小役人が把握できるわけが無いのに、報道官が中国を代表するかのように振る舞うのは越権行為。
戦狼外相は、やはり「戦狼」を前面に押し出さなくては、目立たない。米国を相手にすると今回の様に手強いので、これからは御しやすい日本に対してさらに「戦狼」の面を押し出してくる。
2023年2月16日