最近、東京オリンピックや海外からの観光客誘致、公共事業による景気刺激の理由で、成田空港―東京駅-羽田空港を直結する鉄道の構想が出ています。
この構想では、
①成田の国際線と羽田の国内線の乗継の改善
②東京駅からの成田と羽田へのアクセスの改善
の効果が見込まれ、成田空港-36分-東京駅-18分-羽田空港で、両空港間は54分です。
結論を先に言うと、①の改善効果は限定的、②は全くの無駄です。
①成田の国際線と羽田の国内線の乗継の改善について
成田空港・羽田空港のさらなる拡張は、時間と多額の費用が必要なので、直ぐには困難です。しばらくは現行の成田空港・羽田空港で運用して行く他に手が無いので、次善の策と言うことでしょうか?
成田空港-羽田空港の両空港を行き来する人は、国内線と国際線の乗継客ですが、果たしてどれくらいの人数になるのでしょうか?
今でも両空港間は、「京成線または北総線―都営浅草線-京浜急行線」で、1時間半強で繋がっています。(東京駅は通りません)
海外の空港、例えばロンドンのヒースロー空港も国際線専用で、ターミナルは五つあり、乗継には「最低90分」必要と案内にはあります。ヒースロー空港は増築を重ねているので、利便性に劣ると言われていますが、同じ空港内で「最低90分」は長いと感じます。
韓国ソウル郊外の国際線用の仁川空港は、日本の空港から行くと国際線なので、同じ空港内での乗継になるわけですが、時間が合わないと、乗継便の出発時間まで数時間待たされることもあるようです。
このように、同一空港内での乗継でも、必ずしも便利では無いようです。
したがって、成田空港-羽田空港間が1時間半強でも決定的に不利ではなさそうです。それより、移動時に重い荷物を長い距離運んだり、載せたり降ろしたりすることを、極力少なくすることが重要と思います。
②東京駅からの成田と羽田へのアクセスの改善について
東京駅を経由するメリットは、新幹線や在来線の利用客でしょうか?
現在、東京駅から羽田空港に行くには、品川駅でJRから京急に乗り換えて30分強です。他に浜松町で、JRからモノレールに乗換えるルートもあります。
総武線東京駅から成田空港まで、JRで1時間弱です。しかし、総武線東京駅は、本来の東京駅からかなり遠いという大問題があります。
新しい東京駅の位置が重要
新しい「成田空港―東京駅-羽田空港」を直結する鉄道の問題は、新しい東京駅の位置でしょう。現在でも、東京駅で成田エキスプレスに乗換えるには、地下道を延々と歩かされ、総武線東京駅(東京駅と言う名前で良いのかと疑うほど遠い)に着いたと思ったら、地下深くまで何回もエスカレーターに乗る必要があり、私は一回で懲りました。その後は品川駅(総武線ホームが新幹線の隣の地上なので近い)で乗換えています。
新しいアクセス線東京駅も、きっと本来の東京駅から遠くなると思います。なぜなら、東京駅付近の地下はいっぱいで、近くに作れないから。(総武線東京駅が遠い理由について、新聞にこの理由が載っていました)
したがって、新アクセス線東京駅が、本来の東京駅の近くに設置できない限り、新アクセス線に東京駅を設置するメリットはありません。
2014.06.28