ほぼ週二 横浜の山の中通信

人と異なる視点から見る

政令指定都市に道府県名は必要か?

2021年06月13日 | 社会・経済

「京都府京都市」とか、「神奈川県横浜市」と書かされた

 

私の2017年12月04日のブログ「なぜ京都人は住所を『京都府』から書かないのか? 京都事情その48」に書いたように、京都市だけでなく、横浜市、大阪市などの政令指定都市は、住所名に京都府や神奈川県、大阪府などの府県名を省略できるはずと書いた。

 

TV以外で、政令指定都市に府県名を付け足した住所など、今まで見たことが無かった。TVに、「大阪府大阪市」とか「京都府京都市」とか出て来ると失笑する。今ふと思ったけど、「神奈川県横浜市」は見たことが無いな? 東京のTVだから? 大阪のTVでも見たことが無いような? 

 

(京都市民が「京都府」から書かない理由は、私のブログにも書いたように旧市街の住所表示が長くなるという別の理由もある)

 

ところが最近、一部の銀行や年金関係で「京都府京都市」とか、「神奈川県横浜市」と書かされることがあった。また、昔の手書きの戸籍謄本は「京都市」とか、「横浜市」から始まるけど、デジタル化された戸籍謄本は「京都府京都市」とか、「神奈川県横浜市」になっている。

 

「東京都」の場合

 

東京都の場合、区部は「東京都・・区」と書くだろうし、東京都の区部以外の地域に政令指定都市が無いので「東京都・・市」、「東京都・・町」、「東京都・・村」と書くはず。したがって、東京都の場合はこの書き方とは関係ない。

 

札幌市の場合

 

札幌市の場合も北海道から始めるのだろうか? 北海道に知り合いはいないので、インターネットで調べると、「マピオン」や「NAVITIME」「MapFan」などのアプリは「北海道札幌市」と書いている。しかし、札幌市役所のホームページにある市役所の住所は「札幌市・・」で北海道は省いている。

 

察するに、「マピオン」や「NAVITIME」「MapFan」などの地図アプリには、共通して使っている住所ソフトがあって、この住所ソフトが、諸悪の根源なんだろうな。

 

法律的根拠は?

 

それで、道府県名を書く書かないの法律的根拠をインターネットで調べてみた。

 

(1)法務省の「登記申請(債権譲渡登記・質権設定登記の申請)に当たっての留意点」には、「市名が都道府県名と同一の場合政令指定都市の場合を除き,都道府県名を省略することはできません」とある。

 

ということは、「市名が都道府県名と同一の場合や政令指定都市の場合」は、道府県名を省略できる。ただし、「登記申請(債権譲渡登記・質権設定登記の申請)」の場合しか、この記述が当てはまらない。

 

(2)行政書士 みやこ事務所のホームページには、住民基本台帳事務処理要領からの抜粋として、「この場合において都道府県の名称は、指定都市等においては省略してもよい」という記述が載っている。

 

「この場合において」という限定の意味は、このホームページの記述からは私には理解できなかった。また「指定都市等」の「等」は、「市名が都道府県名と同一の場合」であると、このホームページは判断している。

 

法律は上記2件しか挙げられなかったけど、政令指定都市の場合に道府県名を省略できるという明確な根拠は無いような。ただし、上に書いたように一部の書類には根拠が書かれている。こういう明確な基準が無い場合、現場(窓口)の人は安全サイド(要は、国民に負担がかかるような)の書き方を指示してくる。

 

窓口は安全サイド

 

道府県名を書くのは手書きだと面倒だけど、デジタル化した文書では、京都府や神奈川県、大阪府などの道府県名を足しても手間はかからない。つまり、一部の銀行や年金関係のように、利用者に道府県名を書くよう要求しても、自分たちに手間はかからないが国民は窓口で手書きする場合が多いので手間がかかり面倒。

 

上に書いたように、道府県名を入れるソフトが存在して、それを使っているアプリがそのまま道府県名を書くようになっていると推測する。道府県名を書くソフトになった理由は、政令指定都市だけ道府県名を省略すると、ソフト作成に手間がかかるからかもしれない。あるいは、ソフト作成者が政令指定都市(東京は政令指定都市ではない)に居住した経験が無く(ということは、東京者か田舎者)、道府県名を省略できることを知らなかったかもしれない。私は後者かなと推測している。

 

(参考)

・各市役所のホームページに載っている市役所の住所で、道府県名を省略している政令指定都市

 

大阪市役所のホームページに載っている、市役所の住所は、「大阪市・・」です。

堺市役所のホームページに載っている、市役所の住所は、「堺市・・」です。

京都市役所のホームページに載っている、市役所の住所は、「京都市・・」です。

横浜市役所のホームページに載っている、市役所の住所は、「横浜市・・」です。

川崎市役所のホームページに載っている、市役所の住所は、「川崎市・・」です。

神戸市役所のホームページに載っている、市役所の住所は、「神戸市・・」です。

福岡市役所のホームページに載っている、市役所の住所は、「福岡市・・」です。

北九州市役所のホームページに載っている、市役所の住所は、「北九州市・・」です。

新潟市役所のホームページに載っている、市役所の住所は、「新潟市・・」です。

広島市役所のホームページに載っている、市役所の住所は、「広島市・・」です。

 

・各市役所のホームページに載っている市役所の住所で、道府県名を付けている政令指定都市

 

名古屋市役所のホームページに載っている、市役所の住所は、「愛知県名古屋市・・」です。

仙台市役所のホームページに載っている、市役所の住所は、「宮城県仙台市・・」です。

相模原市役所のホームページに載っている、市役所の住所は、「神奈川県相模原市・・」です。

(あとの政令指定都市は省略)

というわけで、名古屋市と仙台市、相模原市が少数派です。いずれも県名と市名が異なっていますが、仙台市は宮城県、名古屋市は愛知県と誰でも知っているでしょ? 相模原市は無理かな?

 

2021年6月13日

 

(他の政令指定都市について)2021年6月14日

千葉市、さいたま市、静岡市、浜松市、岡山市、熊本市のホームページの市役所の住所は、県名を省略しています。札幌市は上に書いてあるように、道を省略しています。

結局、政令指定都市20市中で、道府県名を省略しているのは17市、県名を付けているのは3市となります。

 

政令指定都市以外の県庁所在地の市は?

・県名を省略している市

青森市、秋田市、長野市、岐阜市、金沢市、奈良市、和歌山市、山口市、大分市、佐賀市、鹿児島市

(石川県の金沢市以外は県名と同じ名の市ばかりです。特に、「鹿児島県鹿児島市」は勘弁してよと言いたくなるので、県名を省略するのは当然)

・県名を付けている(県と同じ名前の市)

福島市、山形市、富山市、福井市、徳島市、高知市、宮崎市、長崎市

(これらの市は県名と同じなので、省略しても良いと思うけど?)

・県名を付けている(県と異なる名前の市)

盛岡市、前橋市、宇都宮市、水戸市、甲府市、津市、大津市、高松市、松山市

(これらの市は、県名と異なるので県名は必要だろうなと思う)

 

(追記 2021年12月27日)

これは、役所のデジタル化は役所にメリットはあっても、一般国民に負担を強いるという例です。

 

 

 

 

 

 

 

 


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