ほぼ週二 横浜の山の中通信

人と異なる視点から見る

沖縄の重武装化は外交だけで解決できるか

2021年10月29日 | 国際・政治

自衛隊は北方警備を重視

 

昔はソ連(今のロシア)の脅威に対応するために、自衛隊は北海道に多くの人員と装備を配置していたし、現在も続いている。

 

最近は中国の脅威が高くなってきているので、自衛隊は空白地帯だった南西諸島にも基地を新設している。例えば、数年間に新設あるいは計画された自衛隊の基地は、北から以下の通り。ただし、沖縄本島の基地は除いている。島が小さいので、自衛隊基地の規模も小さい。中国に攻撃されたら、ひとたまりもない。しかし、奄美諸島や先島諸島の地勢的重要性は、中国の立場で見れば明らか。台湾にも近く、中国の軍艦が外洋に出ていくときはこの付近を通らざるを得ない。

 

奄美大島

・陸上自衛隊

   奄美駐屯地:350人、中距離地対空誘導ミサイル。2019年開設。

   瀬戸分屯地:210人、地対艦誘導ミサイル。2019年開設。

・航空自衛隊 

   昭和50年から。

   警戒管制に必要な無線中継所の運用、保守と基地業務(ホームページから)

・海上自衛隊

   奄美基地分遣隊、少なくとも昭和37年から。

 

宮古島

 ・陸上自衛隊 宮古島駐屯地

  宮古警備隊、2019年から、現在約700名、地対艦誘導弾・地対空誘導弾部隊(予定)

 ・航空自衛隊 宮古島分屯基地

  米軍からレーダー設備を引き継ぐ、航空自衛隊の最西端、最南端の基地。

 

石垣島

 ・陸上自衛隊 石垣島駐屯地

  2022年開設予定、警備部隊、中距離地対空ミサイル、地対艦ミサイル部隊など約570人を予定。

 

与那国島

 陸上自衛隊 与那国駐屯地

  2016年開設、約150人、情報収集が主任務の沿岸監視隊、電子戦部隊が配置予定

 

中国の海軍や空軍の活動が活発になってきているし、中国共産党や中国政府は台湾の統一を公式的に主張しているので、その影響が南西諸島に及ぶのは仕方がない。アメリカや日本が悪いわけではなく、中国が悪いだけ。

 

中国との問題を外交だけで解決できるか?

 

こういう中国の脅威に対抗するには、沖縄の米軍や自衛隊の軍事力の強化だけでなく、外交で中国とやり合えば良いと言う人たちがいる。しかし、良く考えてください。外交下手の日本政府に中国と渡り合って解決できる力があるか? 無いと思う。外交で何とかしたい気持ちは分かるが、日本の外交では無理。

 

中国は善人か?

 

こういう人たちは、なぜかアメリカには悲観的なのに、中国には楽観的。中国は善人ではなく、アメリカと同じくらい悪人です。

 

前にも書いたけど、日曜日夕方のTBSの番組。そこでは、中国と米国の経済的衝突は起こりえない、起きるとしたら偶発的な軍事的衝突なので、日本と中国のホットラインをちゃんとしていれば基地強化の必要は無いと話していた。どこか昔に聞いた、手垢のついたような話。TBSの中国観は昔から変わっていない。

 

2021年10月29日

 


中国の援助は本当に援助なのか?

2021年10月26日 | 国際・政治(中国)

自民党が苦戦?それとも単独過半数?

 

メディアによって、自民党が苦戦しているとか、単独過半数を取れるとか、いろいろ言われている。新型コロナウイルスが激減しているので、自民党に有利だと思う。自民党政府のおかげではないと思うが。

 

香港からの移住は昔から

 

一国二制度が崩れたから、香港市民が他国に移住しているとTVで言っていたが、香港市民は昔から移住していた。昔、私が仕事でアメリカへ出張した時、カナダ行きの飛行機は中国人(香港人と言うのかな?)でいっぱいだった。英国の植民地香港が中国に返還される頃だった。

 

習近平を天皇陛下と会見させても何の役にも立たなかった

 

昔、習近平が主席に就任する前に日本を訪問した時、天皇陛下と会見する予定はなかった。しかし、習近平の要請で外務省などの関係者が奔走したのか、習近平は天皇陛下と会見することが出来たが、前例を無視して天皇陛下と会見させたと批判された。

 

その後、習近平は日本に何かお返しをしてくれたのかな? 天皇陛下との会見に奔走した外務省は、その後中国から何かメリットがあったのかな? その後の経過を見ると、日本側にメリットがあったと思えない。日本人は、つくづくお人好しだと思う。

 

ハンガリーに中国の大学

 

2021年6月19日の 日本経済新聞に「大学誘致に抗議デモ、親中ハンガリー、国民反発強める」という記事が出ていた。

 

短くまとめるために一部加筆して引用する。

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首都ブダペストに誘致する中国・復旦大学(上海市)のキャンパスの建設費は推計15億ユーロ(約2000億円)。このうち13億ユーロ(約1730億円)を中国が融資する。2024年までの開校を目指しハンガリー議会は、復旦大に国有地を寄付する案を承認した。

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これを勝手に解釈すると、中国は約1730億円を融資(つまり金を貸す)し、ハンガリー政府は約270億円と国有地を出して中国の復旦大学をハンガリーに作ることになる。結局、中国は約1730億円を貸す代わりに、タダで中国の大学をハンガリーに作ることが出来る。

 

ハンガリーから見ると、約270億円と国有地を出して、中国の大学を作ることになる。これって、ハンガリーにとって何か有利なことがあるのかな? そんなに中国の大学を作りたいのかな?

 

昔昔、日本が主に東南アジアに金を貸していろいろな工事を受注した時、日本のメディアは日本が金を出して、人も出しているのでは現地の国の役に立たないとしきりに書いて批判していた。しかし、現在の中国が世界でやっていることは、日本のメディアが昔日本のやり方を批判したことと同じことなのでは? じゃあ、何で中国のやっていることを日本のメディアは批判しないのだろうか? 数年前の朝日新聞は「日本のメディアだから、日本のことを書く」と書いていた。中国を批判したくないのかな? 言うことが適当すぎる!

 

昔ながらのTBSの中国観

 

日曜日夕方のTBSの番組で、自衛隊の南西諸島の基地強化についてやっていた。そこでは、中国と米国の経済的衝突は起こりえない、起きるとしたら偶発的な軍事的衝突なので、日本と中国のホットラインをちゃんとしていれば基地強化の必要は無いと話していた。どこか昔に聞いた、手垢のついたような話なので呆れてしまった。

 

TBSの年寄りの中国観は昔から変わっていないようです。

 

2021年10月26日

 


揺さぶり死の犯人を無罪にしないぞ!

2021年10月23日 | ニュース

揺さぶり死の裁判で無罪判決が続いている

 

揺さぶり死の裁判で、無罪判決が続いているという記事が出ていた。日本経済新聞2021年5月29日の記事の一部を要約して引用する。

 

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硬膜下血腫、網膜出血、脳浮腫の兆候があるとして、虐待が疑われて起訴されたが、暴行以外の可能性を指摘されて無罪になる例が増えている。

 

・2017年1月、町田市での事件

長女の頭を激しく揺さぶって急性硬膜下血種などの障害を負わせて死亡させたとして起訴。東京地裁の一審では、硬膜下血腫や骨折は父親が事件後に長女を抱えて動かしたとき(動かしただけで、硬膜下血腫や骨折するのかよ!)や心臓マッサージで生じた可能性(心臓マッサージって本当かよ?)があると指摘して無罪。

二審では「一審は正当」と控訴を棄却

 

・2019年1月の大阪地裁の判決

急性硬膜下出血について、「揺さぶりなどを推認するものではない」と無罪判決。

 

・2019年1月の大阪高裁の判決(上とは別の事件)

症状は病気の可能性があるとして逆転無罪。

 

厚生労働省の調査で、虐待による「乳幼児頭部外傷」の疑いで全国の児童相談所が対応した件数が2019年度に243件(全てが死亡事件では無さそう)にのぼった。

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揺さぶり死の証明が難しいのは明らか

 

そりゃそうだ。揺さぶり死が発生する時は、赤ちゃんとその親(片親の時もあるし、カップルの時もある)しかいない。片親が一人の時に揺さぶって死亡させた時は、片親が事実と異なることを言っても、赤ちゃんは死んでいるし、第三者がいないことが多く証明が難しい。カップルの時は二人が口裏を合わす(阿吽の呼吸とか、忖度があって当然だし、一方が口裏を合わすよう脅すこともあるかもしれない)ことで揺さぶり死を否定すれば、直接の証拠はないので証明はやはり難しい。

 

裁判では、揺さぶり死で死んだ子供の検死結果で裁判するしかないが、これが否定されれば他に状況証拠しか無い。裁判官は、安全な方に判断するから、無罪が続いても驚くことは無い。新聞記者は、弁護士の言葉を引用して、「無罪になった!」と嬉しそうな記事を書いているけど、それで良いのか? (新聞記者は、新聞のスペースが記事で埋まれば良いだけの話で、自分は関係ない)

 

揺さぶり死の犯人を放置するのか?

 

記事にあるように、児童相談所が把握している範囲で、1年間に243件もあると言うことは、児童相談所が把握していない事件を入れるともっともっと多いはず。

 

今のままでは、揺さぶり死はやったもの勝ちだし、嘘を言ったもの勝ち。邪魔な赤ちゃんを殺そうとすれば、刃物で刺したり、栄養失調で殺したりすると証拠が残るが、強く揺さぶって殺せば、外傷はないので裁判で無罪になる。しかし、これで良いのか?

 

犯罪者を正当に罰するには、どうするか?

・全家庭に監視カメラをつける

 死角があれば意味がないし、設置費用が高額だし、現実的でない

・状況証拠を集める

 いつも虐待していたとかの近所の情報を集めて、検視結果を補強する。しかし、こういう揺さぶり死の起きる家庭は近所づきあいは無いだろうし、外から家庭の中まで知るのは無理かも。

・検視の精度を上げる

 これができるかどうか? 赤ちゃんで実験するわけにはいかないし?

・事前に防ぐ

 児童相談所などが近隣からの通報の相談に乗ったり、虐待の情報を集めたりする

・揺さぶり死が起きたら

 「検視を行い、データを集める」

 

何とかしてかわいそうな赤ちゃんを無くすために

 

もちろん、揺さぶり死を有罪にすることも大事だけど、それを事前に防ぐ工夫も必要。しかし、世の中には悪い奴がいる。こいつらが赤ちゃんを強く揺すって殺せば罪に問う必要がある。これらのデータを積み上げていけば、より確実な証拠にする必要があるし、そのようになってゆくと信じます。

 

2021年10月23日

 


韓国系アメリカ人女性高官が経歴詐称で国務省を辞任

2021年10月20日 | 国際・政治(朝鮮・韓国)

この件は少し古い話ですが、あまりに酷い話なので紹介します。これほどのことは、日本人女性はやらないし、できないと思う。韓国の女性(国籍はアメリカのようです)だからできるとしか言いようがない。

 

2019年11月20日のNewsweekが配信した記事(筆者は松岡由希子さん)の要約は以下の通り。

 

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30代半ばという若さでトランプ大統領に抜擢され、2019年4月にアメリカ国務省紛争安定化担当副次官捕に就任した韓国系アメリカ人のミナ・チャンは、一部メディアで経歴詐称の疑いが報じられたことを受けて、11月18日、ポンペオ国務長官に辞表を提出した。

 

チャンの経歴には虚偽や誇張がある

自身の主張とメディアの調査結果を示す。

 

1)ハーバード大学経営大学院(HBS)を卒業

⇒7週間の短期プログラムを受講しただけで学位は取得していない

 

2)アメリカ陸軍戦略大学を卒業

⇒4日間のセミナーに参加したのみ

 

3)代表を務めていた非営利団体「リンキング・ザ・ワールド」は、海外に多数の学校を建設し、ドローンを活用した災害対応にも取り組んでいた

⇒そのような活動実績は認められなかった

 

4)「リンキング・ザ・ワールド」の公式動画では、チャンが米誌タイムの表紙を飾ったことを画像付きで紹介

  ⇒タイムは「この表紙は偽物である」との公式な見解を発表

 

5)チャンの辞表では、一連の経歴詐称疑惑について「当てつけだけの誹謗中傷で、私の経歴や人格が攻撃された」と主張し、「私の上司は、私を守ることもなく、私が真実に立ち向かい、私に対する濡れ衣について答えることも許してくれなかった」と書いて国務省の対応に不満を示した。

 

6)チャンの辞表では、さらに「国務省のモラルは地に落ち、かつて米国の外交の特徴であったプロフェッショナリズムや同僚間の協調関係は消え去ってしまった」「現時点では、辞任することが、道義上、倫理上、私にとって唯一の選択肢だ」と国務省を厳しく批判した

 

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1)や2)の短期プログラムを受講しただけで、「卒業」したことにするのは、日本でも良くある話。A元首相のアメリカ留学や、K都知事の「カイロ大学主席卒業」の経歴が怪しいとか、いろいろある。いろいろあるが、いずれも他国への留学の話であって、調査が難しい。それに比べると、同じアメリカ国内の大学や大学院は調べ易いのに、経歴を偽るとは神経が図太すぎるのか、世間をバカにしているのか? (直ぐバレるのがわからないような人が国務省の高官の仕事を遂行できるのかな?)

 

3)の非営利団体の活動実績詐称も良くある話?なので置いとくとして、4)の「タイム誌の表紙」はスゴイ。なぜスゴイかというと、調べれば直ぐにわかるから。これが、中国の雑誌とか、イギリスの雑誌なら調べるのに時間がかかるけど、アメリカの雑誌、よりにもよってタイム誌でっせ。アメリカ国内のどこの図書館にもタイム誌のバックナンバーくらいは置いてあるのでは?

 

5)と6)の「イタチの最後っ屁」の強気もスゴイ。ここが日本人と違うところ。経歴を偽って勤めていた政府機関をこう堂々と誹謗中傷するかなあ? 頭の出来が違う! 「盗人猛々しい」とはこのこと。こういう人は国務省を辞めても、また胡散臭い非営利団体を作って生き抜くんだろうな。

 

日本人女性で、ここまで出来る人はいないと私は信じる。

 

2021年10月20日

 


インドネシア高速鉄道の現状は?

2021年10月17日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

インドネシア高速鉄道とは

 

インドネシア初の高速鉄道は、首都ジャカルタとバンドン間の142キロメートルを結び、設計速度は350Km/時で、中国から4900億円の借款(借金)をした。バンドンは山間部にあって比較的涼しく、人口がインドネシアで三番目に多い都市。この高速鉄道、初めは日本が関わっていたが、最終的に中国が工事を受注したという経緯があり、日本のメディアは批判的な記事を書いている。

 

この高速鉄道の起工式は2016年1月にジョコ大統領も出席して行われたが、用地買収の遅れなど、いろいろの要因が重なり、当初開業予定の2019年から予想通り大幅に延期された。

 

インドネシア高速鉄道に関する今までのブログ

 

このインドネシアの高速鉄道は、私のブログでも何回か書いている。

2015年10月18日の「インドネシア新幹線は中国が建設へ

2016年02月24日の「インドネシア新幹線は日本が引き受けるべきか?」

2016年06月14日の「中国の高速鉄道計画、ロス・ラスベガス間は中止、インドネシアは?

 

高速鉄道に好意的な中国の経済雑誌「財新」の記事

 

週刊東洋経済の2021年6月19日号は、中国の経済雑誌「財新」の記事「インドネシア初の高速鉄道、22年末運転へ」を紹介している。「財新」の記事を一部加筆修正して紹介する。

 

「土木工事は全体の83%が完了した。全線で13カ所あるトンネルのうち8カ所がすでに貫通し、主要区間の大部分の連続高架橋およびその支柱の施工は完了した。今年6月からはレールの敷設を開始し、年末にはすべての高架橋の建設を完了する予定」

 

と書いていて、2022年末に開通する見込みが立ったという記事。「財新」は中国の雑誌なので、中国寄りの内容になっている。

 

高速鉄道に批判的な日本経済新聞の記事

 

今年2021年1月22日の日本経済新聞には、「着工5年、遠い開業、中国主導、計画甘く」という記事が載った。ここには「工事の進捗は、2020年12月の時点で65%弱」とある。

 

遅れの原因は

・土地収用が2016年末の予定が2020年にずれ込んだ

・新型コロナウィルスで中国人スタッフが帰国した

・相次ぐ大雨による災害

であるが、インドネシア政府は2022年中の開業を目指していると書いている。

 

これからが大変

 

本当の問題は、バンドンまでの高速鉄道が開通してからで、バンドンからどの方向に高速鉄道を延伸するのか、しないのか、それとも? ジャカルタとバンドン間は142キロメートルで、日本で言えば東京と軽井沢間のような距離。こんな短距離では、高速鉄道の発展性は無いし、経営も厳しい。

 

ジャワ島で人口の多い地域は、ジャワ島北部沿岸の平野地帯。ジャワ島で人口の多い都市は、北部西端にある首都のジャカルタ、北部東端のスラバヤ、山間部のバンドンの順番。したがってジャワ島の高速鉄道は、人口の多いジャカルタからスラバヤを、北部沿岸の平野を通るべきだった。しかし、ジャカルタとスラバヤ間は約700キロ離れているので、工事費が高くなりすぎるという課題があり、より近いジャカルタとバンドン間に決まった経緯がある。

 

しかし、現在の高速鉄道の終点のバンドンは山の中にあるので、高速鉄道を延伸しようとすると工事費が高くなるし、バンドンから先は人口の少ない地区を通る。そして、スラバヤまで延伸しようとすると500キロ以上になり、北部沿岸地帯を通るよりも工事費は膨張する。

 

これを日本に例えると、東京から軽井沢まで新幹線を作ったのは良いけれど、そこから大阪まで延伸するようなもの。初めのボタンの掛け違いが、踏んだり蹴ったりの結果になりそう。どうするのかな?

 

金を返すのは不可能

 

上記のような文を書いていたら、2021年9月30日のJBpressで、立命館アジア太平洋大学客員教授の塚田俊三氏が「中国にさらわれたインドネシア高速鉄道プロジェクトはいま…」を書いているのを見つけた。この記事では、特に金銭面での解析を詳しく行っている。今後の問題点を挙げて、借金を返すのは不可能と書いている。

 

さらに、2021年10月14日の日本経済新聞には「高速鉄道 中国案のツケ インドネシア、費用膨張で税金投入検討」と言うインドネシア特派員の記事が出た。インドネシア政府は、当初総工費を55億ドルと見積もったが、少なくとも79億7千万ドルになるという見積もりが出てきて、税金投入が必至という記事。

 

また2021年7月15日の現代ビジネス「中国受注の『インドネシア高速鉄道計画』ここへきて問題噴出の自業自得」と言う記事があり、バンドンまでの高速鉄道の工事遅れなどの問題点を紹介している。ここでは工事の進捗率を74%としている。

 

 

工事の進捗は?

 

これらの記事から工事の進捗を引用すると、

2020年12月(日本経済新聞) 65%弱

2021年6月(財新)      83%

2021年7月(現代ビジネス)  74%

2021年10月(日本経済新聞) 79%

 

となり、中国の財新は日本メディアより甘い数字になっている。どちらの記事も2022年末の開業と書いているが、もしかしたら日本メディアは2022年末開業も厳しいと書きたかったのかもしれない。

 

2021年10月17日

(補足 2021年10月18日)

わかりにくいもしれないので補足します。

インドネシア高速鉄道は、本来は人口密度の高い北岸部を首都ジャカルタから人口第二の都市スラバヤを繋ぐルート(図中①)を作るべきでした。しかし、両都市間は約700キロメートル(東京と岡山や広島まで)と長いので工事費がかさむなどの問題があり、ジャカルタとバンドン間のルート(図中②)になった経過がある。

しかし、上に書いたようにバンドンまで完成したとしても、そこから先に延ばすのが問題。北岸に戻り、スラバヤを目指すルート(図中③)は、バンドンを経由した分、さらに時間や費用がかかることになる。あるいは、観光地のボロブドールや古都のジョクジャカルタを目指すルート(図中④)もあるが採算がとれるかどうか。いずれのルートも問題が多い。