電動キックボードは、「電動スクーター」とか「電動スケーター」とも呼ばれていて、既に下記のブログで取り上げている。
2018年6月20日のブログ「またシェアか? アメリカで流行る電動スクーター」参照。
その後の電動キックボードのシェアリング事業は、否定的な報道と背定的な報道が出て混沌としていたが、日本では新型コロナウイルスを理由に撤退したようです。
電動キックボードの課題は
・乗り物としての法的規制をクリアできるか(日本では原付並みの扱い)
・屋外に放置するので、盗難・破壊・無断放置などのリスクを防げるか
・電池交換などのバックアップ体制を効率良く低コストで準備できるか
日本での電動キックボードの実証実験は?
週刊ダイヤモンド2020年1月18日号に「来るか!?電動キックボード旋風」という特集記事が出ていた。この特集の中に実際に電動キックボードを使用した体験が載っていた。
日本では公道で走る場合、原付免許と方向指示器などの装備が必要。それにヘルメット着用で、歩道走行は禁止。ただし、埼玉の浦和美園駅周辺では実証実験が行われており、規制が緩められている。浦和美園駅から埼玉スタジアムまで、実際に電動キックボードを使用したところ、車道走行は道路の凹凸で不安定になるので無理。このような車輪の小さな乗り物は、路面の凹凸の影響を大きく受けるので、車道走行が危ないのは始めからわかっている。
じゃあ歩道を走れれば?という声が聞こえてきそうだけど、電動キックボードは時速20Kmでるので、歩行者は危ない。今でも歩道を飛ばす自転車のガキや電動自転車のオバサンがいるが、「スピードを出すなら車道を走れ!」と言いたくなるくらい危険。
それに、基本料金の他に1分25円という時間料金も高い。10分で250円なので、現地に着いたら直ぐに乗り捨てる必要がある。
ドイツでは電動キックボードは人気?
「ドイツで『イースクーター』が大流行中! 人気加速の理由」がネットメディアの“GetNavi”の1月12日付に載っている。こういうところもあるんだ。
電動キックボードの大手運営会社がリストラ
「電動スクーター業界、次なるフェーズへ。Limeが複数都市から撤退」という記事が1月16日付の「ギズモード・ジャパン」に載っている。内容は「電動スクーターの(運営会社)Limeが、従業員約100人を解雇、サービスを提供していた10を超える街から撤退」と伝えている。
電動キックボードは日本では成功しない
日本で原付相当という規制がある限り、広まることは無い。世界の都市の中には、便利に使われる可能性があるが、それには規制が緩く、整備された道路や歩道などの条件が整っていることが必要。
そもそも、電動キックボードは原付相当という日本の規制がおかしい。電動キックボードはどうみても電動アシスト自転車並みかそれ以下でしょう。しかしながら、スピードを上げて歩道を走る電動アシスト自転車は怖いので、何らかの規制が必要なのは確か。
(話は飛びますが、原付のエンジンを乗せた4輪カートがヘルメット無しで公道を走ることができるのは全くおかしい。道路交通法なんて矛盾だらけ。頭の悪い旧運輸省の犯罪です。いつか取り上げたい)
じゃあ、アメリカや中国でシェア電動キックボードやシェア自転車は成立するか?
私はアメリカや中国のシェア電動キックボードやシェア自転車に懐疑的です。日本は自販機大国といわれているが、それは治安が良いから。世界では自販機を屋外に設置できる国は少ない(らしい)。屋外に自販機を設置するとすぐに壊されて商品や現金を盗まれる国がある。こういう国では、屋外に放置するシェア電動キックボードやシェア自転車は壊される可能性が高い。金を払うくらいなら、壊してしまえば良い。中国のような監視社会なら何とかなるかもしれないが、それでも使用する前に制御系を壊してしまえば良い。したがって、これらの国ではシェア電動キックボードやシェア自転車は永続的なビジネスとして成立するはずが無い。
などと考えていたら、4月14日の日経産業新聞に「コロナ、移動シェア直撃 サービス終了・休止相次ぐ」という記事が出た。この記事によると、
・埼玉の浦和美園駅周辺で実証実験を行っていたウィンド・モビリティ・ジャパン(本社はドイツ)は、4月末でさいたま市と千葉市のサービス終了
・Azitは東京でのサービスを5月7日まで休止(その後は不明)
・Luupや米国のLimeは日本での実証実験を白紙に
と撤退を強く匂わせている。新型コロナウイルスを理由に挙げているけど、これは口実。この時期の撤退は、新型コロナウイルス以前からビジネスモデルとして成り立っていなかったというべきで、ビジネスモデルとして無理があった。
2020.05.30