旧来の木造家屋の多くが倒壊
今回の能登元日地震では、旧来の木造家屋の多くが倒壊している。TVで見た限り、一階がつぶれて二階が一階の位置に来ている。理由として、耐震構造でないとか、屋根が瓦で重たいとか、地震のゆれの周期が1~2秒で木造家屋が壊れやすかったなどと言われている。
耐震構造の家屋も倒壊
また報道によると、旧来の木造家屋だけでなく、震度6強以上でも倒壊しないとする耐震基準を満たしたとみられる家屋の全壊も多数確認されているそうです。今までの地震によって住宅へのダメージが蓄積していたとの見方があるが、耐震基準に合致していても倒壊する場合があるのは当たり前。それは、耐震基準が過去の地震の震動を基準にしているから。
耐震基準と言っても、従来の地震を参考にして、揺れの周期とか、揺れの大きさ、揺れの持続時間を決めて、シミュレーションなり、実験を行っている。しかし、地震は場所によって周期も違うし、揺れの大きさも違うし、揺れの持続時間も違うし、その土地の地盤の構造も違う。したがって、ある地震に対する耐震基準を満たしていても、別の揺れが来れば倒壊することも当然ある。
昔の実験で予想外の結果が出た実験を思い出した
そういえば、過去のブログで思惑通りの結果が出なかった実験を思い出した。それは、鉄筋コンクリートの建物を揺らす実験で建物に損傷が起きたし、木造三階建を揺らす実験では見事に倒壊した。
コンクリート7階建ての建物が損傷
2015年2月2日のブログ「鉄筋コンクリートの建物を揺らした実験が新聞によって結論が違う」では、
・鉄筋コンクリート7階建ての建物の模型を揺らして耐震性を見る実験
・実際の木造三階建を揺らして耐震性を見る実験
の二つの実験を紹介しています。
このブログで紹介した震動実験はこちら。
http://www.bosai.go.jp/hyogo/research/movie/movie-detail.html#25
鉄筋コンクリート7階建ての建物は、壁に穴が空いたり、一階の柱が折れ曲がったりしていたが、建物が崩壊することは無かった。ただし、この実験では、ビルの下部が揺らす台にどのように固定されていたか、説明を読んでも分からない。もしかしたら、地盤上に建物を作るような模型での実験であれば、このビルは倒壊していたかもしれない。
木造三階建も危ない
木造三階建の実験では、「長期優良住宅」1棟と柱の接合部を弱くして「長期優良住宅」を満たさなくした住宅が1棟の計2棟を、震度6強相当で20秒揺らした。そうすると、「長期優良住宅」は見事にひっくり返りましたが、「長期優良住宅」を満たさなくした住宅は倒壊を免れたという想定外の皮肉な結果になってしまった。
この実験では、建物は揺らす台にしっかりと固定されているように見えるが、説明に記載されていないので分からない。もしかしたら、建物の強度の実験なので、固定してあったかもしれない。
今後の大地震では被害は想定より酷くなる
今までも、過去の地震で新しい知見を得て、新しい地震対策を行ってきた歴史がある。将来の地震で、ビルの倒壊が起きなければ幸運ですが、ビルの倒壊が起きる可能性は大きいと見るべきです。また、最近建てられた木造住宅は安心かというとそうでもないと思う。
と言いながら、建てられて30年以上経過している私の家も耐震補強するべきですが、なかなかやろうという気が起きない。耐震補強しても限度はあるし、倒れても仕方ないと思っているところがある。
2024年1月19日