蒲蒲線に関する朝日新聞の記事について調べてみました。
不動産会社の桃源社がJR蒲田駅横の国鉄用地を落札した後、そこにビルを建てた。しかし、その費用を払えなかったので競売になり、大田区が落札して区役所としたのは、既にブログに書いている。
2021年2月8日の「大田区役所の地下に・・・は、鉄道フェイクニュース」
週刊東洋経済の記事について
2025年2月6日のブログ「蒲蒲線の現在」に引用した週刊東洋経済の記事「蒲田から蒲田へ『たった800m』の新線に集まる期待 渋谷~羽田空港『新空港線』メリットと実現への課題」に、大田区は桃源社に「『将来地下駅を作る余地を残す』と認めさせた」と朝日新聞の記事に書いてあるそうです。
「将来地下駅を作る余地を残す」とは?
「将来地下駅を作る余地を残す」とはどういうことなんでしょう? より具体的な要望を出したんでしょうか? 例えば、想定ルートにかかるビルの地下部分は作らないとか、基礎の杭の間隔をトンネルが通せるように広げるとか。そして、桃源社はその約束を実行したんでしょうか?
そこで、先ず朝日新聞の元の記事を捜してみました。「桃源社 蒲蒲線」で検索すると、2件がヒットしました。蒲蒲線に関する他の記事はヒットしませんでした。
2004年2月13日の朝日新聞東京版の記事
「『蒲蒲線』夢へ一歩、大田区(04年度各区予算案)」
<5行省略>
東急・JRの蒲田駅と京急蒲田駅は約800メートル離れている。区の構想では、現在地上2階部分のホームで発着している東急多摩川線を地下化し、そのまま京急蒲田駅付近を通して京急空港線につなげる。線路幅が異なるので「乗り入れ」はできず、大鳥居駅などで乗り換えが必要になる。
区交通事業本部の担当者は「蒲田だけの話ではない。池袋と渋谷をつなぐ地下鉄13号線が2012年度には東急東横線に乗り入れる予定だから、それが多摩川線とも相互直通運転になれば、埼玉方面から羽田空港へのアクセスが飛躍的に良くなる」と意義を語る。
区は、15年以上前に「東西鉄道網整備調査」をして、同じような路線の検討をした。88年には東急・JR蒲田駅前の桃源社ビル(現区役所)建設にあたり、同社に「将来地下駅を作る余地を残す」と認めさせた。
<3行省略>
1998年9月15日朝日新聞東京版の記事
「蒲田駅から1分の新庁舎 来月6日に業務開始 大田区役所」
<5行省略>
ビルは地上十一階、地下四階、延べ床面積四万一千平方メートル、桃源社が四千八百二十二平方メートルの国鉄貨物積み下ろし跡地(大田区蒲田五丁目)を六百五十六億円で落札後、さらに二百億円をかけて建設したが、工事代金が支払えずに競売になり、九十六年、入札を前に今度は同区が百七十二億円で買収した。新庁舎としての改修費は約三十億円。<数文字省略>、地下三階分を駐車場にした。
<7行省略>
「将来地下駅を作る余地を残す」具体例は無し
2004年の記事には、「将来地下駅を作る余地を残す」という記述があるだけで、桃源社への具体的な要望は書いて無い。大田区は具体的にどのようなことを依頼したのか、これでは分からない。
桃源社は約束を守ったとは思えない
1998年の記事では、桃源社の作ったビルは地下四階なので、かなり深い。区役所の敷地全部が地下四階まであるのかな。それとも、東急多摩川線の延長部分が通りそうなルート部分だけはビルの地下部分が無いのかな? 私は大田区役所の地下部分の構造が分からないし、大田区役所や地下駐車場の中に入ったことが無いので、何とも言いようがない。
そういう前提で私の意見を言わしてもらうと、桃源社は「将来地下駅を作る余地を残す」という大田区との約束を守ったとは思えない。もっとも私の意見より、大田区の担当部署に聞いた方が結論は速い。週刊東洋経済のライターは大田区の担当部署に聞いて欲しかった。
大田区は得をしたけど、建て替えの時期が来る
桃源社は、土地を656億円で落札し、200億円でビルを建設したので、合計856億円。大田区は、この土地とビルを172億円で落札し、30億円で改修したので合計202億円。大田区は随分得をしたようです。ただし、当時はバブルの弾けた頃なので、桃源社が購入した価格は相場より高かったはずです。
ところで、大田区の資料によると、桃源社がビルを建てたのが1992年なので、今年で33年になる。建て替えには早いが、あと10年も経つとビルの建て替えが課題になりそう。どうするのかな? 今の場所で建て替えするのか、他の場所に新築移転するのか? 今の場所は地下駅用にして、区役所は別の場所に移るという方法もある。
(付録)東急発表の疑問
東急が2025年1月17日に発表した「新空港線整備に向けて営業構想の認定を申請」に理解し難いことが書いてありました。
それは、蒲蒲線が出来ると
中目黒―京急蒲田36分が23分に短縮
自由が丘―京急蒲田37分が15分に短縮
とある。現行の所要時間で、蒲田駅から遠い中目黒駅の方が自由が丘駅より、所要時間が1分短い。何で?
NAVITIMEで見ると
中目黒―京急蒲田(恵比寿、品川経由)で32分
自由が丘―京急蒲田35分(大井町、品川経由)で35分
若干東急発表と所要時間が異なりますが、現行の所要時間は品川あるいは大井町経由の京急線ルートのようです。JR蒲田駅前からバスで京急蒲田駅付近まで移動するルートでは無いようです。
2025年3月24日