ほぼ週二 横浜の山の中通信

人と異なる視点から見る

JRは初歩を忘れている

2024年10月11日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

電気機関車の脱線事故は輪軸の嵌め込み異常が原因か?

 

新山口駅において、貨物列車を牽引する電気機関車が脱線する事故がありました。この脱線事故の原因は、電気機関車の車軸が折れたことですが、脱線状況から見て車軸が折れるなんてありえなかった。

 

この事故に関しては、下記のブログ参照してください。

2024年8月14日のブログ「機関車の脱線、保守車両の衝突、基本中の基本がなっていない

 

その後、JR貨物の車両工場で車輪を車軸に挿入する際に、基準値から外れているのにそのままにしていたとか、数値を改ざんしていたことが内部通報で明らかになった。さらに調べると、JR貨物以外の鉄道でも、同じようなことが露見しています。

 

だからといって、これが電気機関車の脱線事故の原因になったかどうかは明らかではない。車輪挿入時に車軸に傷がついて、金属疲労が原因で車軸が折れたかどうかはまだ明らかではない。

 

車輪を車軸に挿入する際の基準ハズレが多い割に、車軸が折れる事例は新山口駅における電気機関車の脱線事故しかないので、脱線事故の原因は別の可能性がある。

 

こういう作業対応は誰もやりたがらない

 

私も会社で基準値を作ったことがあるのでその時の経験から言うと、基準値を外れた時の対応は誰もやりたがらない。基準値を作る技術屋さんはなるべく安全サイドにしようと数値を狭くしようとするし、作業現場はなるべく許容限度が広い方がやり易いので広くしようとする。といって、その限度を証明する作業は手間が掛かり、作業量が膨大になる。それに、苦労して基準値を作っても、その人の評価は上がらない。むしろ、「基準値を広げるような検討をしろ」と言われる。確かにその通りなので、結局基準値を外れた時の対応は誰もやらない。

 

東北新幹線の連結器ハズレはメチャメチャ

 

9月19日、東北新幹線「はやぶさ・こまち6号」が、古川―仙台間を走行中に連結器が外れる事故が起きました。「はやぶさ・こまち6号」は、前10両が「はやぶさ」で後ろの7両が「こまち」です。盛岡駅で「はやぶさ」の後ろに秋田から来た「こまち」を連結して東京駅まで運転する。盛岡駅での「はやぶさ」と「こまち」の連結は、お互いの先頭車の先端が開いて、普段は格納されている連結器が現れ、自動で連結される。当然ながら、この連結が解除されることは無く、実際に開業から今までこういう事故は無かった。

 

その後の調査でJR東日本は連結器を解除するスイッチの近くで金属の切り屑(ドリルで金属に穴を開けた時に出るクネクネした金属屑)を見つけたと発表した。この切り屑をスイッチの接点につけると連結器が外れる現象が再現したそうなので、確かでしょう。

 

電気接点近くに金属の切り屑を放置するなんてありえない

 

ところで、スイッチのような電気接点近くに金属の切り屑を放置するなんてありえない。金属の切り屑が動いて、電気接点に付着する可能性があるので、製造時に切り屑が出ても、普通は取り除くはず。メーカーで取り除き忘れた? それとも、取り除くのをサボった?

 

他の新幹線の編成をチェックしたら、何台かで金属の切り屑が見つかったとJR東日本は言っています。新幹線は複数のメーカーが製作しているので、切り屑を放置した車両メーカーは特定のメーカーに偏っているのかどうか? JR東日本は、発表していない。

 

もし、特定のメーカーに偏っていたのなら、そのメーカーの製造作業を見直すことが必要。特定のメーカーに偏っていないのなら、切り屑が残らないように製造時の作業手順を見直す必要がある。

 

2024年10月11日

 


蒲蒲線のいろいろ

2024年09月15日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

日本経済新聞の地図のチョンボ

 

日本経済新聞のJR羽田アクセス線の記事を読んでいたら、記事の地図に存在しない路線が描かれていた。それは、このブログで何回も書いている蒲蒲線。どこかで使った蒲蒲線の地図を流用したと思われるけど、蒲蒲線を消し忘れている。

 

蒲蒲線の路線図に間違いが多い

 

蒲蒲線に関する記事に、東急多摩川線が東急蒲田駅付近から、真っ直ぐ京急蒲田駅に向かっている路線図を時々見ますが、これは間違いです。南北に長い京急蒲田駅の南端の地下に駅を作るので、乗り換えに時間を要する。2022年6月14日の「蒲蒲線に予算?東京都は金持ち!」ではNHKの地図の誤りを指摘しています。

 

蒲蒲線、それとも東急空港線? 大田区の思惑

 

ところでこの路線、蒲蒲線というより東急空港線というべきです。蒲蒲線というと、東急蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶ路線の様に誤解しますが、大田区の本来の目的は大田区役所のある東急蒲田駅(JR蒲田駅に隣接)と羽田空港を連絡すること。京急蒲田駅と連絡することは目的ではない。実際に京急蒲田駅付近には、大田区産業プラザ以外にこれといった施設はない。私も当初は、蒲蒲線という名前から、東急蒲田駅と京急蒲田駅を繋ぐ路線の様に思い込み、誤解していた。

 

この誤解は、大田区が意図したものだったのか、それとも意識していなかったのか? 京急蒲田駅(多分)には小学生の描いた蒲蒲線が出来た時の画が貼ってありました。小学生を出しにするなよ!という印象でした。

 

その蒲蒲線ですが、京急空港線に乗り入れる見通しが立たず、京急蒲田駅付近までの計画しかたっていません。ということで、空港線と呼ぶのは憚れるので、あえて蒲蒲線にしておきます。

 

当初の大田区の計画は経済合理性が全く無かった、今も?

 

当初の大田区の案(下の図の上側)を見ると、京急空港線から分岐して京急線が東急多摩川線の蒲田駅の地下に来るものでした。これでは、京急が新線の大部分を作ることになる。

(下の図の下側は2017年当時の案です。これらの図は、大田区案を参考に私が描きました)

 

 

前から言っているけど、東急蒲田駅と羽田空港を結ぶ新線を作って得をするのは東急です。京急はむしろ京急本線の利用客が減る可能性があるので損をする。だから、新線に京急が金を出すなんてありえない。計画を作った大田区の経済音痴は明らか。きっと、京急に取り合ってもらえず、東急と相談して作ったシナリオというか計画なんでしょう。この件について、経済誌が何回か好意的に取り上げていたけど、経済音痴の経済紙(今でも潰れていない)でした。

 

蒲蒲線の近況

 

大田区が61%、東急が39%を出資している「羽田エアポートライン株式会社」が蒲蒲線の建設主体です。蒲蒲線の事業費は1360億円と想定していますが、昨今の建設費上昇により、増額が予想されます。2000億円程度になるかも? これだけの費用をかけても効果は疑問です? より便利なJR羽田アクセス線が出来るのに?

 

蒲蒲線の経路

 

大田区が作成した蒲蒲線のイラストが公表されています。ただし、東急とどれだけ詰めたかは分からないので、今後変更があるかもしれません。今までのイラストも変更されています。このように蒲蒲線の計画のイラストが複数出ていますので、私が一番可能性のあるイラストを選択しました。これによると、東急多摩川線の矢口渡駅付近から複線で地下に入り、現在の東急蒲田駅の地下に東急多摩川線と蒲蒲線の蒲田地下駅を作る。東急の蒲田地下駅から京急蒲田駅近くの蒲蒲線の地下駅までは単線です。

東急蒲田駅の池上線プラットホームは地上にそのまま残り、多摩川線と池上線を連絡する線路は残すようです。そうしないと、池上線は他の東急線から孤立してしまう。旗の台駅で大井町線と立体交差していますが、渡り線はありません。

 

蒲蒲駅間のルートはどこ?

 

下のGoogleマップは、東急蒲田駅・JR蒲田駅付近とそこから800m離れた京急蒲田駅付近です。この写真を見ると、両駅間には家屋やビルがびっしり建っています。

  

両駅を通る道は、地図中のAとBの一方通行の二つの狭い道しかない。

  

この二つの道路、京急の高架下付近のC地点から東急蒲田駅方面を見ると、道路のAとBの狭さが分かる。

  

この道路は狭いので、地下に線路を作るにしても単線しか作れない。AとB両方の道路下にそれぞれ単線を作れば合わせて複線になるけど、費用は増える。計画の見積り1360億円は単線なので、複線にすると2000億円(近年の工事費アップを見込まずに)くらいにはなる。

 

単線の場合、道路Aか道路Bのかどちらの地下を通るか? 道路Aのほうが東急多摩川線からスムーズに入れますが、道路Aのような狭い道の地下に単線でも通せるのかな?

 

京急蒲田駅近くの蒲蒲線の地下駅はどこに?

 

京急蒲田駅は最近高架化されました。狭い土地の駅を高架化したので、3階は横浜方面行、2階は品川方面行になっていて、空港線は2階と3階から単線で出ています。

(下のGoogleマップは京急蒲田駅横の第一京浜から品川方向を見ています)

 

品川から来る電車はそのまま空港線に入るが、横浜方面から来る電車は、蒲田駅で進行方向を逆にして空港線に乗り入れています。空港から来る電車の品川方面行は2階のホームに入るし、横浜方面行は3階に入って進行方向を逆にして横浜方向に進行します。2階と3階から空港線の線路が出ていますが、同じ線路を使って空港へ行く電車と空港から来る電車を通すというややこしい運用をしています。

 

京急蒲田駅近くに出来る蒲蒲線の地下駅は、どこになるのか? 東横線の電車が多摩川線を経由して蒲蒲線に乗り入れるという計画なので、これらの電車に対応するプラットホームが必要です。東横線の電車は8両(長さ160m)か10両(長さ200m)なので、200m+αが必要。

 

京急本線の高架下(およそC地点)と国道15号線(第一京浜)の地下だけでは200mに足らない。C地点付近から、細長い敷地の大田区産業プラザの地下まで使うと、200mほどのプラットホーム(図中青紫線D)は作れる。大田区産業プラザは壊して建て替えですね。

 

蒲蒲線地下駅が大田区産業プラザ付近とすると、京急蒲田駅の空港線プラットホームまで少なくとも150m歩き、地下から2階か3階の空港線プラットホームまで登ることになる。これが羽田に向かう人たちに受け入れられるかどうか? JR羽田アクセス線との競争ですね。

 

蒲蒲線のダイヤ

 

東急蒲田地下駅から、京急蒲田駅近くの蒲蒲線の地下駅まで、約800mを単線で作ると、この区間は10~15分間隔でしか電車を運転できない。東急多摩川線はもっと短い間隔で運転しているので、多摩川線の3両連結の電車の大部分は東急蒲田地下駅止まりで、東横線から多摩川線をノンストップで直通してくる8両か10両の電車が蒲蒲線に直通することになる。もしかして、目黒線(地下鉄南北線、都営三田線が乗り入れている)の電車も直通してくるかもしれない。

 

現状の東急多摩川線は駅のホームが18m車4両対応なので、20m車の8両か10両の電車が乗り入れても、駅に停車できない。それで、直通してくる電車は田園調布駅から東急蒲田駅まで6駅をノンストップで走ることになる。そうすると、どこかの駅で、3両連結の多摩川線の電車を退避させる必要があり、そのための工事が必要です。現在、待避線はありません。

 

蒲蒲線を利用する人の見込み

 

【想定】

・山手線西側の人を想定

(東側の人は、新しく出来るJR羽田アクセス線や、品川から京急が使える)

・りんかい線大井町付近からJR羽田アクセス線への橋渡し線は完成している

 (埼京線は、大崎駅からりんかい線、JR羽田アクセス線へと直通し羽田に)

・西武池袋線と東武東上線の東横線直通電車の一部が蒲蒲線にも直通する

 

湘南の人

  ⇒ 東海道線・横須賀線で横浜駅、ここで京急へ(乗り換え1回)

横浜の山側の人(東急田園都市線や東急大井町線沿線の人)

  ⇒ 渋谷に出て山手線で品川、京急へ(乗り換え2回)

  ⇒ 渋谷に出て、東横線から蒲蒲線、京急空港線(乗り換え2回)

  ⇒ 渋谷に出て、埼京線からJR羽田アクセス線(乗り換え1回)

横浜の海側の人(東急東横線より海側の人)

  ⇒ 京急本線・空港線で(乗り換え0回)

東急東横線沿線の人 

  ⇒ 渋谷に出て山手線で品川、京急へ(乗り換え2回)

  ⇒ 渋谷に出て、埼京線からJR羽田アクセス線(乗り換え1回)

  ⇒ (沿線の横浜市の人)東横線で横浜、京急本線・京急空港線(乗り換え1回)

  ⇒ (沿線の東京都の人)東横線から蒲蒲線、京急空港線(乗り換え1回)

西武池袋線・東武東上線沿線の人

  ⇒ 池袋に出て山手線で品川、京急へ(乗り換え2回)

  ⇒ 副都心線・東横線直通に乗り蒲蒲線、京急空港線(乗り換え1回)

  ⇒ 池袋に出て、埼京線からJR羽田アクセス線(乗り換え1回)

西武新宿線沿線の人

  ⇒ 新宿や高田馬場に出て山手線で品川、京急へ(乗り換え2回)

  ⇒ 新宿に出て、埼京線からJR羽田アクセス線(乗り換え1回)

京王線沿線の人

  ⇒ 新宿に出て、山手線で品川、京急へ(乗り換え2回)

  ⇒ 新宿に出て、埼京線からJR羽田アクセス線(乗り換え1回)

  ⇒ 新宿三丁目から副都心線、東横線直通に乗り蒲蒲線、京急空港線(乗り換え2回)

小田急線沿線の人

  ⇒ 新宿に出て山手線で品川、京急へ(乗り換え2回)

  ⇒ 新宿に出て、埼京線からJR羽田アクセス線(乗り換え1回)

  ⇒ 海老名から相鉄線で横浜、京急へ(乗り換え2回)

埼京線沿線の人

  ⇒ 埼京線からJR羽田アクセス線(乗り換え0回)

地下鉄南北線、都営三田線沿線の人(目黒線が蒲蒲線に直通する場合)

  ⇒ 地下鉄南北線、都営三田線から目黒線、蒲蒲線へ、京急空港線(乗り換え1回)

  ⇒ いろいろ乗って、品川に出て京急へ

  ⇒ いろいろ乗って、JR羽田アクセス線へ

 

これを見ると、

・東横線・蒲蒲線利用者と京急本線利用者は競合する。蒲蒲線が出来ると京急本線利用者は減る。将来、京急空港線に東急が乗り入れると、乗り換えの手間が減るので、さらに京急本線利用者は減る。

・東横線・蒲蒲線とJR羽田アクセス線、京急は競合するので、どれを利用するのかは、電車の本数や所要時間、料金、乗り換えの手間など利便性による

 

東急沿線でも、一部の東横線沿線を除くと、蒲田は結構行きづらい。結局、東横線に乗り入れている西武池袋線や東武東上線、副都心線沿線の人が如何に利用するかということかな。 

 

利用者から見ると、いろいろなルートがあるのは選択肢が増えて有難い。経営面から見ると、JR羽田アクセス線、京急、それに東横線・多摩川線・蒲蒲線直通、それに空港直通バスのどれが利益を挙げるか、興味深い。

 

2024年9月15日

 


りんかい線はおおもて

2024年09月09日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

りんかい線とは?

 

東京の「りんかい線」はJR山手線・埼京線・池袋新宿ラインの大崎駅から新木場駅までの7駅で、ほとんどが地下です。下のGoogleマップでは、オレンジ色の線で、大崎駅から埼京線の電車が乗り入れています。「りんかい線」は東京都が91.32%、JR が2.41%、その他が残りを出資する東京臨海高速鉄道(株)が経営しています。

 

JR羽田空港アクセス線が工事中

 

現在、田町駅付近から分岐する休止中の貨物線「大汐線」(上のGoogleマップで青紫の線)を経由し、海底トンネルで羽田空港に至る「羽田空港アクセス線」の工事中で、2031年に完成予定です。これが出来ると、山手線の東側、例えば常磐線や東北線の電車が羽田空港に直接乗り入れることが出来るので、利便性が大きく向上する。

 

千葉方面からのりんかい線が羽田空港アクセス線に乗り入れ

 

JR東日本は、りんかい線から大汐線への橋渡し線(上のGoogleマップで赤線のA)の工事も着工していて、羽田空港アクセス線と同時に開通させると報道されています。

 

新木場駅(上のGoogleマップで上右端)は、東京メトロ有楽町線、JR京葉線、武蔵野線の駅もあるが、各線との直通運転は無く、乗り換えが必要です。しかし、JR京葉線とりんかい線の線路は繋がっており、技術的には直通は可能なので、直通が出来れば千葉方面から羽田空港は乗り換えなしで便利になる。しかし、JR京葉線ーりんかい線ーJR羽田空港アクセス線となると、運賃計算が難しくなるという金銭的な問題が残ると書いている記事もある。

 

大崎駅からのりんかい線と羽田空港アクセス線との接続は後回し

 

大崎駅からのりんかい線と羽田空港アクセス線の接続(上のGoogleマップで赤線のB)は後回しになっています。これが出来ると、山手線の西側(渋谷や池袋など)から羽田アクセス線に直通できるので、非常に便利になる。京急空港線や東急の蒲蒲線構想に配慮したのでしょうか。

 

都営臨海地下鉄乗り入れ

 

東京都は、臨海部の人口増加に対応するために、「都営臨海地下鉄」構想を持っている。この「都営臨海地下鉄」は東京駅付近から東京ビッグサイト付近までの7駅を予定しています。そして、東京駅方面では、秋葉原まで来ている「つくばエクスプレス」を東京駅付近まで延伸して線路を繋ぐ構想もある。

 

東京ビッグサイト方面では、「りんかい線」と接続する構想もある。「都営臨海地下鉄」沿線には車両基地を作るような土地も無いので、「りんかい線」との接続は必要と思われる。

この「都営臨海地下鉄」は2040年の開業を目指すということで、かなり先です。

 

りんかい線はおおもて

 

上記の構想全てが完成すると、「りんかい線」にはJR埼京線、羽田アクセス線、京葉線、そして「都営臨海地下鉄」や「つくばエクスプレス」の電車が直通することになり、大賑わいです。

 

2024年9月9日

 


機関車の脱線、保守車両の衝突、基本中の基本がなっていない

2024年08月14日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

貨物列車の脱線は機関車の車軸が折れていた

 

7月24日に、JR山陽線新山口駅構内で福岡貨物ターミナルから東京貨物ターミナルへ向かっていた24両編成の貨物列車の先頭の機関車が、発車直後に脱線した事故があった。電気機関車はEF210形の341号機。(東京新聞、テレビ西日本から引用)

 

EF210形は貨物用電気機関車の主力機種で、車体横に「桃太郎」と描かれているので直ぐにわかる。(全車両に描かれているかは不明)国の運輸安全委員会の調査で、機関車の一番前の車軸(両側の車輪を取り付けている軸)が折れていたことが分かった。調査員は詳しく話していないが、その発言から推測すると、車軸と車輪の接合部が破損していた?

 

デフォルメして描いています。車軸は黒い部分。

 

事故のあった日のTVでは、貨物列車の出発直後だったので、ポイントの切り替えミスが原因かも?(私もありうると思っていた)と言っていたが、機関車の車軸が折れたとはありえない! もっとも、脱線して折れたのか、折れたので脱線したのか、不明だけど、そもそも車軸が折れるなんてありえない。

 

脱線の不審な理由

  • 発車直後なので、それほど速度が出ていない
  • 341号機は数年前に製作された比較的新しい機関車
  • 車軸は脱線くらいで折れない
  • 脱線以前に、車軸が折れていたなんて、さらにありえない

 

運輸安全委員会は341号機と同時期に製造された機関車も調べるとしているが、その結果は未だ報道されていない。また、ポイントが正常に動作していたのかも報道されていない。

 

しかし、車軸が折れるなんて今までの大きな事故でも聞いたことが無い。酷い話なのは日本の劣化かな?

 

新幹線の保守車両同士の衝突

 

7月22日の深夜、東海道新幹線の豊橋駅と三河安城駅の間の上り線で、保守用の車両が走行中に、停車していた別の保守用車両に衝突し2台とも脱線しました。JR東海は、衝突した車両の運転士がブレーキ操作をしたものの何らかの原因で利かず減速できなかったと説明している。(日テレから引用)

 

保守用の車両のブレーキが利かず減速できなかった? 

 

停車していたのはマルチプルタイタンパー(枕木の下の砕石を突き固める車両)で、これに6両の砕石運搬散布車を牽引していたモーターカー(小さい機関車)が衝突した。したがって、ブレーキが利かなかったのはこのモーターカー+砕石運搬散布車です。

 

このモーターカー+砕石運搬散布車のブレーキは2系統無かったのかな? 自動車でも2系統あるように、鉄道車両にも2系統あるはずだけど? 2系統目のブレーキは効きが弱くて、減速したけど止められなかったのかな? (あるメディアには、非常ブレーキをかけたけど止まらなかったという記事が出ていた)

 

上記の文を書いた後に、予想よりも早く8月5日にJR東海が原因を発表しました。その発表と他の情報から、おおよその状況を書きます。

 

ブレーキが効かずに衝突した保守車両は、砕石運搬散布車6両の前後にモーターカーを2両と1両連結した計9両編成でした。モーターカー3両のブレーキは異常が無かった。砕石運搬散布車3両は破損が酷くてブレーキの作動を確認できなかったが、破損していない3両を確認したところ、ブレーキをかける制輪子が摩耗し、ブレーキ力が大きく低下していた。このことからすると、破損が酷い3両の制輪子も摩耗していた可能性がある。

 

この事故の最大の問題は、作業前にブレーキ力の確認をしなかったこと。作業前にブレーキ力の確認をするのは基本中の基本であるが、今回はそれを省いていた。一部の報道では、ブレーキの確認がメーカーの作業指針と異なるからと書いた記事もあるが、本当にそうなのかな? 私が思う一番の問題は、作業前にブレーキの効きを確認しなかったこと。プロとしてはありえない。

 

基本中の基本がなっていない

 

車軸が折れていたり、ブレーキの効きを確認しなかったり、基本中の基本がなっていないね。ありえないチョンボです。

 

2024年8月14日

 


リニアの開業延期の原因は静岡県の問題だけでは無い

2024年05月18日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

リニアに関する私のブログ

 

リニアは、生きているうちに完成しないと思っているので、今まで好き勝手にいろいろ書いてきた。

 

2015年7月4日のブログ「リニアは手荷物検査が必須

2015年4月21日のブログ「やっぱり心配!長大トンネル内の事故

2014年12月13日のブログ「リニアに乗っていたら地震が・・・そこはトンネル!

2013年11月20日のブログ「リニア新幹線は横浜住民に便利か?6~リニアは一私企業が作るもの?~

2013年10月7日のブログ「リニア新幹線は横浜住民に便利か?5~リニアは名古屋のために作る?~

2013年09月23日のブログ「リニア新幹線は横浜住民に便利か?3~乗換は面倒~

2013年09月20日のブログ「リニア新幹線は横浜住民に便利か?2(追補)

2013年05月22日のブログ「リニア新幹線は横浜住民に便利か?1

 

これらのブログを見てもらうと分かるように、私はリニアに懐疑的です。大昔に作った計画を無批判に実行するのには抵抗感があるし、昔のイベントの二番煎じのような計画にも懐疑的です。この二つの条件が重なると、さらに懐疑的になる。

 

例えば、私は東京オリンピックにも懐疑的でした。結局、コロナ感染症の影響もあって、所期のイメージと大きく様変わりした東京オリンピックになってしまった。コロナ感染症が無くても、所期の目的を達成したでしょうか?

 

私は大阪万博にも懐疑的ですが、どうなることやら。私は1970年の大阪万博にも行っていませんが、あれは成功だったのでしょうか? 2020年の東京オリンピックにしても、2025年の大阪万博にしても、昔のイベントの焼き直しと言うか二番煎じのようなイベントなので賛成しかねます。

 

東海道新幹線の焼き直しのような、大昔の計画に唯々諾々と従うリニア新幹線にも賛成しかねます。

 

2027年の開業が無理なのは素人でもわかる

 

最近、静岡県知事が失言で辞任したことで、「これでリニア新幹線を作る障害が無くなった」と喜んでいたり、メディアに書いていたりする人がいる。これを絶好のチャンスと思ったのか、それとも印象操作したいのか、JR東海は、リニア新幹線の開業予定を2027年から、2034年以降(明確な期限は公表していない)に延期した。

 

だいたい、今の工事の進捗で2027年の開業なんて無理なのは素人でもわかる。2027年の開業を信じていた人がいれば手を挙げて欲しい。例えばJR東海が既に発表している様に「山梨県駅と長野県飯田市の『座光寺高架橋』を新設する工事では完成が2031年になる見通し」です。

 

リニア新幹線の全体的な工期の遅れは、2024年03月28日の「週プレNEWS」の「開業は早くても10年遅れの2037年!? リニア新幹線建設の悲惨な現状!!」と言う記事(ネットで見られる)を参照。この中で、遅れている工事の例を挙げている。

 

・神奈川県相模原市に建設予定の「リニア車両基地」

工期11年の計画だが、用地買収が未完で未着工

・着工されたトンネルの工区は約68㎞

トンネル区間は約211㎞

・未着工の橋脚は600本以上

山梨県で完成した橋脚は22本

 

リニアは習熟運転に時間がかかる

 

産経新聞によると、現在の東海道新幹線のレールの敷設が終わったのは、昭和39年の開業の3カ月前。東海道新幹線では、従来技術の延長で高速運転が実現したので、習熟運転は3カ月で済んだ。リニア新幹線は従来技術の延長ではないので、習熟運転は3カ月で済むだろうか。

 

リニアの営業用列車が実際の路線を走って見ると、技術的な問題が起きないとは限らないし、その検討と対策が長引くこともある。リニアは山梨県の実験線で経験を積んでいるにしても、実際の走行距離はもっと長いし、経路もほとんどがトンネル。それに、実験線で使用している車両は実際の営業に使用する車両でもないだろうし。

 

運賃は上がる

 

試験車の中間車は、車体長が24.3mで定員60名。1列の座席が4人掛けなので、15列と今の東海道新幹線よりも、ゆったりしている。その分、リニアの運賃は高くなるはず。

 

リニアは東京・名古屋・大阪の中心部に駅があり、航空機より所要時間が短縮できそうなので、リニアの運賃は航空運賃より高額になると思う。ただしそして、航空機並みに手荷物検査をすることになる。

 

2024年5月18日