2016.01.15の「蒲蒲線は実現しない!~JRはどうする?~」を書いていて、蒲蒲線よりも「こっちはどうなの?」と思った相鉄・東急直通線のことを書いておきます。
相鉄・東急直通線、門外漢にとっては突然に出て来た印象です。東急が新横浜駅に乗り入れると言う噂が大昔からありましたが何十年も実現しませんでした。
ところが数年前に、初めて相鉄・JR直通線の話題が新聞に登場した時は、相鉄線の西谷駅の近くを通る東海道貨物線に接続する連絡線を造り、相鉄が横浜駅(相鉄の利益源です)を経由せずに、都心へのルートを確保しようということでした。それからしばらくして、突然に相鉄・東急直通線が新聞に登場して驚きました。同じ方向に二つも路線が必要なのかと。私の印象では、相鉄・JR直通線の計画が出て来たので、東急が焦って割り込んだのでは?と推測しています。
先ず相鉄が東京へ向かうルート二つを紹介します。下図は、その説明です。
❶JRルート(相鉄の電車が直通、JRの電車は乗り入れる?)
相鉄西谷駅⇔相鉄・JR直通線⇔羽沢駅⇔東海道貨物線⇔横須賀線‐山手貨物線?
JR東海道貨物線の先は、横須賀線を経由して山手貨物線(埼京線や湘南新宿ラインの電車が走っている)に乗り入れると思われます。その場合、相鉄の電車はJRに乗り入れる一方、JRの電車は相鉄線に入るのでしょうか?
➋東急ルート(相鉄・東急の電者が直通)
相鉄西谷駅⇔相鉄・JR直通線⇔羽沢駅⇔相鉄・東急直通線⇔日吉駅⇔東横線(渋谷・新宿)
⇔目黒線(目黒)
東急は、日吉駅で東横線と目黒線に接続します。
建設する鉄道は以下の通り。「相鉄・JR直通線」はその名に反して東急も通ります。
(注)相鉄:相模鉄道、横浜~二俣川~海老名、二俣川~湘南台が路線
沿線に住んでいない横浜市民は、運転免許の更新で利用するくらい?
JR・羽沢駅:東海道貨物線の羽沢駅、新横浜駅近くの貨物だけの駅
東海道貨物線:東海道線とは別の線、鶴見付近で合流
東急・日吉駅:東横線の途中駅、目黒線の終点
東急・目黒線:以前の目蒲線の北半分を日吉まで延伸、目黒駅で地下鉄に乗り入れ
・目黒線乗り入れの問題
目黒線(以前の目蒲線の北半分)はチンタラ走る6両連結(設備は8両まで対応可能)のワンマン運転です。乗り入れ後は8両編成になる?ようですが、ワンマン運転のまま? 目黒で接続している地下鉄のメトロ南北線・都営三田線も変更することになるのでしょうか? それとも目黒駅までしか直通せず地下鉄には乗入れない?
・東横線乗り入れの問題
東横線は10両と8両で、相鉄線も10両と8両なので調整すれば可能でしょう。 それよりも東横線は既にかなりの頻度(ラッシュアワー時には1時間あたり約30* 24本なので2* 2~3分間隔となり、ほぼ限界です)で電車が運転されているので、増発は無理です。そうすると、元町・中華街発の電車の一部を相鉄線直通電車に変更する? そうであれば東横線の混雑がさらに増すことになる。
<相鉄・東急直通線の疑問>
・JRルートも東急ルートも渋谷・新宿に向かう
結局、JRに乗っても東急に乗っても、同じような所に行くことになる。相鉄沿線から東京方面に通勤する人がそんなにいるのかなあ?
・こんなに近い路線が二つ同時に認可されるとは?
共倒れを防ぐために、近い路線の認可は難しいはずだけど? こういうことは、今まで無かったと思う
・東急の都心に近い部分は既に大混雑
いくら郊外の路線を増やしても、山手線に近い部分の路線が従来のままでは、混雑が増加してノロノロ運転や遅延が増えるだけでは?
・沿線の土地を開発して利益を上げる従来の鉄道会社の収益モデルが使えない
途中駅は「新綱島」「新横浜」「羽沢」だけで、「新綱島」「新横浜」は既に住宅が建て込んでいる。残るは「羽沢」だけ。この鉄道は儲かるのでしょうか?
<最近の鉄道記事に思う>
最近、雑誌や新聞などのメディアに多くの鉄道関係の記事が出ていますが、多くは記事と言うよりか鉄道の広報のようで、あまり役に立たない。内容を見ると、利用者の立場から書いたと言うよりは鉄道会社の立場で書いているようで、まるで鉄道会社の広報誌を読んでいるようです。
例えば、最近の某経済誌の記事の中に、先に相鉄-東急の直通構想があって、後からJRへの直通構想が出て来たと書いてあったが、私の印象は違っていて、上に書いた通りです。事実認識を疑いたくなる。またこの同じ記事を読んでいると、この人実際に東横線や目黒線に乗ったのかな?と疑問が湧きます。例えば、相鉄と東急で線路幅は同じでも車体の幅の違いを指摘していますが、目黒線がワンマンということも東横線が増発出来ないことも書いていない。鉄道の広報から聞いた話でまとめている様な気がする。
2016.01.21
2016.05.30 *印の東横線のラッシュアワー時の電車の本数を訂正しました
2019.10.23 本日のコメントに「相鉄と東急の相互乗り入れは、当時の中田・横浜市長のごり押し」とある。なるほど。
続きはこちら。
相鉄、東急直通は当時の中田市長のごり押しの結果です。新横浜の開発を目論む市長が東急ルートを作らないとJRルートの補助金を出さないと言いだしたのです。これは憶測でも噂でも無く当時新聞で報道された事実ですので念の為。補助金抜きではJRルートの実現も危ぶまれた相鉄がしぶしぶ承諾したのです。このおかげで相鉄の建設費は減りましたが横浜市の負担は一桁増え相鉄も利用者もお荷物を抱えることになりました。実際今でもラッシュ時に20000系が来ると狭い車体で混雑しているのにこれが8連になったら誰も乗りませんよw