手作り、切り干し大根
「おーい元気か、明日は家にいるかい」と、同級生の長年の友から昨夕電話が入った。
特段の出かける用事もないし、コロナ対策で自宅おこもりを伝えると「ちょっとお邪魔するよ」という。しばらく続く世間話の中で「病み上がりのアンタに自分が作った切干大根と、取れたての里いもを食べさせたい」という本音が聞こえた。
それならわざわざ持ってこさせてはバチが当たる。「こちらから家までもらいに伺うよ」「あんたに来させたら気を遣うからいけん。それに今はアンタが運転できんのだから、奥さんの運転で我が家まで来てもらうの気の毒だ」。結局両方の家の中間点で落ち合うことに決定。
かくして、大きな大根を自分ちの縁側で、日向ぼっこしながら自ら刻んで寒風に晒した切干大根のプレゼントをもらった。もちろん掘り立て洗い立ての里いももどっさり。そのほか、白菜・長大根・蕪・それに今朝の霜の中から取って来た高菜などなど。
都会に住む我が子へ、田舎のじいちゃんばあちゃんが手塩にかけた作り物を発送する温かみと美味しさを味合わせてくれる友の業。
少しだけ難聴があって、電話ではところどころ擦れ違いも生じるが、直接顔を合わせて言葉を交わせばすぐに遠い昔に戻れる暖かい友の存在。
有難い。どんな寒さにも負けない暖をこの胸に届けてくれる。
あと2週間あまりでお互い八十路の旅が始まる。「老い二人」などと言わせず、オイ、オ~イ呼べば答えるオイ二人。他の仲間とも声かけあって、共に先を急がずゆっくりゆっくり、来し方を慈しみ、行く末に小さな夢を描いて「元気でいようぜ!」。別れ言葉はまるで若者。