先日、そば打ち体験なるものに一日入門した。一日と言っても正確には3時間そこそこ。
粉から練り上げて延ばして切って、ゆで上げどんぶりそばにして試食する一連のコース。
ホンの短い時間に本当においしい、腰のあるそばを作ろうなど思うこと自体おこがましい。
当たり前のことではある。何十年と鍛え上げたそば打ち職人でさえ、そば粉の産地、輸送日数、その日の温度湿度など、味が変化する要因はいくらでもあるという。
初めてそば粉を見て「えらく白い粉ですねー」というと「それはつなぎのメリケン粉、こちらがそば粉」と、冷やかな目で、少し灰色がかった如何にもまずそうな粉を出された。
その程度のドが付く素人に、誰も期待はしていないが、本人たちは大まじめで取り組んだ。
江戸時代も半ばを過ぎたころから通り名として親しまれた「ニハチそば」。値段が16文であったことから2×8のニハチそばというのが一般的なようである。
が、どっこい、そば粉を8につなぎのメリケン粉が2の割合が、最も無難に腰もあって味わいもある。この2:8という比率からニハチそばになったという。
諸説諸々いまだにニハチの確かな語源が定まっていないというのが面白い。
コツその1.8:2の粉をまんべんなく如何に均一に混ぜるか。
コツその2.水を足す量とタイミング。これを失したら先ずいいそばは出来ない。
コツその3.一つひとつの作業を丁寧に、優しく、思い込めてこねる。
聞いた通りにやり上げたつもりでも、はてさて出来栄えや如何に。
長短大小バラバラだけど やっぱりあんたの そばがいい・・・(オリジナル)
信州信濃の新そばよりも わたしゃあんたの そばがいい・・・(使い古し)
所詮こんなもんだ。太かったり細かったり、長かったり短かったり・・・
試食の席で「上出来よね~」というオネエ様の声に一同大笑い。そば打ち体験のお粗末。