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『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

読書感想304  地下鉄道

2021-11-01 14:19:01 | 小説(海外)

地下鉄道

著者    :   コルソン・ホワイトヘッド

生年    :   1969年

出身大学  :   ハーバード大学

出版年   :   2016年

邦訳出版年 :   2020年

邦訳出版社 :   (株)早川書房

受賞歴   :   ピュリッツァー賞  全米図書賞  アーサー・C・クラーク賞など

翻訳者   :   谷崎由依

 

☆☆感想☆☆

 19世紀前半のアメリカ合衆国が舞台。アフリカから奴隷として連れてこられた祖母から数えて3世代目の黒人少女が、奴隷制度のない北部へ逃亡する。黒人奴隷を助ける地下鉄道という組織に助けられて、ジョージア州の綿花のプランテーションからサウスカロライナ州、ノースカロライナ州、テネシー州、インディアナ州、そしてカリフォルニアへ。ここでは地下鉄道は本当に地下を走る鉄道だ。秘密の家の地下と地下を結んでいる。秘密の家は駅でそれを管理する人は駅長。ジョージア州でのプランテーションでの黒人奴隷の生活。奴隷が私有する2平方メートル半ほどの畑をめぐる遺産争いや、お祝いの日のパーティーでの黒人音楽や踊りなど。今につながるアメリカの文化の源流が描かれている。黒人少女コーラ、一緒に逃げることを誘ってくれた少年はシーザー。逃亡奴隷をつるすことで見せしめにする農場主は高額の賞金を懸け、逃亡奴隷を捕まえることを仕事にしているリッジウエイが二人を追ってくる。進歩的なサウスカロライナで解放奴隷を装って暮らし始めた彼らは、居心地の良さに北部へ出立できないでいる。ノースカロライナでは今は亡き駅長の跡をついだ息子夫婦に助けられる。屋根裏部屋に隠れ、毎週前の公園で逃亡奴隷やその手助けをした人のリンチを見ることになる。楽しい時間とすぐに現れる残酷な事実のリフレーン。手に汗を握る展開だが、助かる人が少なく犠牲者が多い。


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