読書感想265 真夏の雷管
著者 佐々木譲
生年 1950年
出身地 北海道
出版年 2017年
出版社 (株)角川春樹事務所
☆☆感想☆☆
北海道札幌の大通署のお馴染みの刑事たちが活躍する警察小説。シリーズの8弾。ことの発端は、JR北海道の札幌駅のひとつ東側の苗穂駅に近い跨線橋の上から、列車の通過や苗穂車両基地を見ていた鉄道好きの少年が、鉄道に詳しい男に出会ったことからである。そして、生活安全課の小島百合巡査部長は、老舗煙管店で精密工作用のドライバーセットを万引きした小学校6年生の少年を補導する。少年はすきを見て逃走する。一方、刑事三課の佐伯宏一警部補は藻岩山の山麓にある園芸店で硝酸アンモニウム30キロの盗難事件を追う。硝酸アンモニウムは爆弾の材料になる。小さい事件がいくつか結びついて爆弾テロ事件の発生の可能性にたどりつくが、だれが、いつ、どこでかがわからない。
舞台が札幌で、地図も載っている。それで事件を視覚的に追いやすい。犯人が潜んでいた山間部は、最近のニュースで羆が出没している南区に当たる。危険なところだ。犯行を実行する前に羆の餌食になってしまうだろう。本書が書かれたときには、あまり羆の出没はなかったのかもしれない。