
読書感想106 ニューイングランドへ、ようこそ<o:p></o:p>
著者 ロナルド・イェーガー<o:p></o:p>
出身地 アメリカ合衆国ミシガン州<o:p></o:p>
現住地 アメリカ合衆国ニューハンプシャー州<o:p></o:p>
ワシントン<o:p></o:p>
出版年 1994年<o:p></o:p>
邦訳出版年 1997年<o:p></o:p>
邦訳出版社 (株)創元社<o:p></o:p>
翻訳者 鷲見徹也<o:p></o:p>
感想<o:p></o:p>
アメリカの中西部ミシガン州の農家で育った著者は、ニューイングランドのニューハンプシャー州の田舎町ワシントンで一軒の古い農家を購入する。本書が書かれた時より30年ぐらい前の1960年代である。その農家は築200年は越えているもの。農家に付属している土地は100エーカー(40ヘクタール、東京ドーム8.5個分)という広大なものである。著者は別荘として使用し始めたその農場を通じてニューイングランドを知るようになっていく。土地が花崗岩の固い岩でできていて、農業に適さないために、農民たちは中西部に移住し、ニューイングランドの農業は衰退し、ここワシントンでも最盛期には千人を越えていた人口が200人を割り込んだ時期もあったという。現在は自然を求める人々が移住してきて600人ぐらいまで回復している。またここは、二つの別々の家族によって何代も農業が続けられてきたが、最終的に放棄された農場である。そうした農場はニューハンプシャー中に溢れている。放棄された農場は森が浸食し、野生動物が闊歩する世界へ変貌を遂げている。小さい町なので、救急救護活動や消防活動も全部ボランティアの手にゆだねられている。そして町政を決定するのは、年に1回開かれるタウン・ミーティングだ。直接民主主義で朝から夜遅くまで話し合われる。イギリスから移住してきた清教徒たちに起源をもつ伝統ある制度だ。<o:p></o:p>
人間の手が離れると自然に戻るスピードは速いということや、自然との闘いで人間のほうに勝ち目がないというのが、著者の実感を通して伝わってくる。アメリカのよき伝統が残っているコミュニティを居住者たちが大切にしている。本書にはこういう所に住んでみたくなるという雰囲気がある。
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